CoreLogic がアプリケーション プラットフォームをモダナイズし、Google Cloud の費用を節約した方法
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2023 年 9 月 28 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
CoreLogic は、グローバルな不動産情報、分析、データ対応ソリューションを提供する大手プロバイダであり、コンテナ ランタイムを使用して Google Cloud 上で 25,000 を超えるビジネス クリティカルなアプリケーション インスタンスを実行しています。最近、いくつかの Google Cloud テクノロジーを実装した結果、業務効率が 30% 向上し、ビジネス ユーザーのアプリケーション パフォーマンスとデータの可用性が向上しました。詳しくは以下をご覧ください。
スケーラブルで費用対効果の高い最新のアプリケーション プラットフォームを求めて
CoreLogic の不動産データは、50 年間に及ぶ 55 億件を超える不動産記録へのアクセスを提供することで、不動産専門家、金融機関、保険会社、政府機関、その他の顧客を支援しています。さらに、CoreLogic は、米国のエスクロー付き住宅所有者 10 人中 8 人の合計 1,520 億ドルの納税を処理しています。
こうした業務を推進するために、同社は 1,000 を超えるアプリケーション エコシステムを運用しています。過去数年間、CoreLogic は主にオンプレミス データセンター内でホストされている商用 Cloud Foundry ソフトウェアを使用してこれらのアプリケーションを実行してきました。
CoreLogic のビジネスとデータの成長が加速するにつれて、商用 Cloud Foundry の導入フットプリントが急速に拡大し、ライセンスと運用の費用が増加していました。さらに、CoreLogic は拡大するデータ処理ニーズに対応するためにインフラストラクチャをスケールしました。データ空間におけるイノベーションとリーダーシップを目指す取り組みを通じて、CoreLogic はアプリケーション プラットフォームのニーズに応える代替ソリューションを模索し始めました。
最先端のアプリケーションプラットフォームを採用
アプリケーションをホストするためのさまざまなクラウドおよびオンプレミスのオプションを検討した結果、CoreLogic は、コンテナ ランタイム プラットフォームとして Google Kubernetes Engine(GKE)を選択しました。CoreLogic は Google Cloud と緊密に連携し、GKE スタックを使用してこれらのアプリケーション エコシステムをモダナイズしました。
新しい Google Cloud ベースの最新のアプリケーション プラットフォームにより、CoreLogic は顧客のビジネスニーズを満たすことができます。このプラットフォームは信頼性、復元性、スケーラビリティが高く、CoreLogic は情報に基づいた意思決定に必要な高品質のデータと分析を顧客に提供できます。以下に、プラットフォーム上に構築された CoreLogic の主要な分析プロダクトの例をいくつか示します。
- Discovery Platform: 不動産および不動産テクノロジーに関する CoreLogic のコアマーケット、住宅ローン貸付業者、マーケティング担当者、保険会社などの企業が不動産に関するインサイトを発見、統合、分析、モデル化して重要なビジネス上の意思決定を迅速に行うことを可能にする不動産分析プロダクト。
- 気候危機分析: 政府機関や企業が不動産業界に及ぶ気候変動の物理的リスクを測定、モデル化し、軽減できるように設計されている。
- CoreLogic の Total Home ValueX™(THVx): 不動産評価への新しいアプローチである最新の自動評価モデル。THV は精度と信頼性が高いため、CoreLogic が評価をより迅速に作成できるようになり、顧客は自信を持ってビジネス上の意思決定を行うことができます。
つまり、Google Cloud への移行は必要という次元を超えており、Kubernetes などの業界標準の採用と革新的なテクノロジーへの投資という CoreLogic の広範な焦点との整合性が高くなっています。
費用と業務効率を 30% 改善
CoreLogic は、この実装により大幅な費用削減と運用効率の向上を実現しました。同社は商用 Cloud Foundry ライセンス費用をすべて削減しただけでなく、Google Cloud インフラストラクチャの確約利用割引などの費用削減機能による継続的な節約も実現しました。
Google Cloud への移行の一環として、CoreLogic は複数のプラットフォーム機能を有効にし、インフラストラクチャによる支出をビジネス目標に合わせて調整し、無制限のスケールと最適化を通じて運用効率を実現しました。
- このプラットフォームは 1 秒あたり数万のリクエストを処理し、数十テラバイトのアプリケーション データを操作します。GKE 自動スケーリングを主要なイネーブラーとして使用すると、アプリケーション コンテナは自動的にスケールアウトとスケールインを行い、アプリケーション トランザクションの急増に迅速に対応します。
CoreLogic は GKE ノードプールを使用して、特定のワークロードに合わせてインフラストラクチャ オプションを微調整します。CoreLogic の Google Cloud インフラストラクチャは、このようなワークロードの分散とスケールアウトに非常に適しています。
- GKE のフルマネージド コントロール プレーンは、Google のサイト信頼性エンジニア(SRE)とそれらエンジニアの持つ信頼性に関するベスト プラクティスによって裏付けられています。これにより、運用上の労力が軽減され、生産性を向上できます。CoreLogic チームは Cloud Foundry のコントロール プレーンとデータプレーンを自己管理しなくてよくなり、より価値のある作業に専念できるようになりました。こうした変更の結果、同社は、Google Cloud で GKE を実行するための、より生産的な開発とエンジニアリングを担う人材を惹き付け、維持できるようになりました。
- CoreLogic は GKE Workload Identity も採用し、アプリケーション ワークロードにつき、Identity and Access Management(IAM)サービス アカウントを管理せずに Google Cloud サービスにアクセスできるようにしました。
より高いアプリケーションのパフォーマンスと可用性を実現
CoreLogic の顧客は CoreLogic アプリケーションに依拠して重要な意思決定を行っているため、プラットフォームの稼働時間は CoreLogic のデータおよび分析ビジネスの成功にとって不可欠なものとなっています。自動化とマネージド Google Cloud サービスは、高い信頼性、人的エラーの低減、ビジネス中断の軽減のための基盤となるコンポーネントです。
- CoreLogic は、ゾーン全体が停止した場合でもフォールト トレラントを維持するリージョン GKE クラスタなど、組み込みの GKE 機能を使用して、高可用性や高パフォーマンスなどのサービス信頼性の側面を実現しています。さらに、GKE のノードの自動修復とローリング アップデートにより、ダウンタイムなしのソフトウェア アップグレードが可能になります。
- アプリケーション環境をデータとして定義し、Anthos の構成およびポリシー管理機能を利用することで、CoreLogic は、監査可能性とドリフト管理の向上を実現し、運用ガバナンスを向上させています。
- CoreLogic は Anthos Service Mesh のトラフィック管理とテレメトリを使用して、アプリケーション サービスの完全なオブザーバビリティを実現しています。プラットフォーム チームは、アプリケーション資産全体にわたって統合されたリアルタイムの可視性を実現しています。プラットフォーム オペレーターは、リアルタイムの指標を使用してアプリケーションのトラブルシューティング、構成、最適化を行えるようになりました。
CoreLogic は、サービス リクエストのパフォーマンスを測定し、実行速度の遅いサービスを特定することで、ボトルネックをプロアクティブに解決し、サービスレベルを超えて顧客に利益をもたらしています。
次のステップ
将来を見据えると、CoreLogic には、今後登場するさまざまな Google Cloud のサービスとプラクティスを活用して、次世代の GKE アプリケーション プラットフォーム基盤を構築するという大きなチャンスがあります。同社は、Google Cloud サーバーレス テクノロジーを使用してインフラストラクチャ管理の多くを自動化する、ゼロオペレーション モデルを検討することもできます。そして確実に、同社のビジネスは Google Cloud の ML とデータ分析を活用したさらなるインサイトからメリットを得られる可能性があります。CoreLogic は、AI や ML などの他の Google Cloud サービスを検討することで、より豊富なアプリケーションを構築し、より多くの価値を顧客に提供する体制を整えています。
ご自身の環境をモダナイズする準備はできていますか?Google Cloud アプリケーションのモダナイゼーションに関するこちらのガイドをぜひご覧ください。
-CoreLogic、クラウド プラットフォーム担当シニア ディレクター Shalva Kakauridze 氏
-カスタマー エンジニア Prabhu Thiagarajan