Compute Engine の説明: VM に合ったライセンス モデルの選択
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2020 年 8 月 6 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
先日、ワークロードに合った Compute Engine のマシン ファミリーと、マシンタイプの選択に関するガイドを投稿いたしました。技術仕様が明確になった時点で、ライセンスを適切に付与する方法と使用するイメージの種類を特定し、それぞれのオプション間のトレードオフを評価する必要があります。これは、重要なプロセスです。どのライセンスをどのように選ぶかによって、将来のオペレーションやアーキテクチャを決定する際のプロセスに別の複雑さの側面が加わる可能性があるためです。
Compute Engine では、お客様のクラウドの取り組みをサポートするために、さまざまなライセンス オプション(以下の表を参照)を通じてライセンスに柔軟性を持たせ、コンプライアンスのサポートを提供しています。
ご利用いただける 4 つのライセンス オプションとそれぞれの利点および考慮事項について、詳しく見ていきましょう。ライセンスまたはソフトウェアの権利に関する具体的な疑問点については、貴社の法務チーム、ライセンスの再販業者またはライセンス提供者にお問い合わせください。
オプション 1: Google Cloud が提供するイメージとライセンスを使用する
最も簡単な方法として考えられるのは、ライセンスを Google Cloud から購入することです。Compute Engine では、従量課金制ライセンスがアタッチされたビルド済みイメージを提供しているため便利です。こちらをご利用いただくと、使用許諾契約とライセンス義務を最小限に留めることが可能です。また、弾力性のあるワークロードに適した従量課金制請求の利点を活用できます。
さらに、Google Cloud のプレミアム Compute Engine イメージとライセンスを使用すると、以下の Google Cloud の特長により、オペレーションの負担を大幅に軽減できます。
- ベースイメージに対する継続的な更新とパッチの提供
- ライセンスの報告とコンプライアンスの管理
- ソフトウェアで必要なサポートに Google を活用することでサポートモデルを簡素化
Compute Engine のプレミアム イメージとライセンスは、Linux と Windows の両方のワークロードでご利用いただけます。適切なライセンスの報告とコンプライアンスを確保するため、これらのイメージから作成されたすべての VM は使用状況に基づいて自動的に課金されます。
Microsoft Enterprise Agreement または Red Hat Cloud Access のライセンスをお持ちでない場合を考慮し、このモデルでは、ワークロードに合わせてスケーリングできる従量課金制ライセンスと、プレミアム サポートをご利用いただけます。ここでは、Google Cloud とサードパーティのソフトウェア ベンダーとの関係が活用されています。サードパーティの固定的な定額制契約とは異なり、従量課金制ではワークロードが急増した際も必要になった分のみが課金の対象となります。
従量課金制ライセンスの場合、Compute Engine では、ライセンスが組み込まれた以下のプレミアム イメージを提供しています。
- Red Hat Enterprise Linux(RHEL と RHEL for SAP)
- SUSE Linux Enterprise Server(SLES と SLES for SAP)
- Microsoft Windows Server
- Microsoft SQL Server
Microsoft SQL Server を除き、これらのイメージに関連付けられたすべてのライセンスは 1 秒刻みで課金され、最小課金時間は 1 分です。SQL Server イメージも 1 秒刻みで課金されますが、最小課金時間は 10 分です。料金について詳しくは、プレミアム イメージの料金に関するドキュメントをご覧ください。
オプション 2: Google Cloud が提供するライセンスで独自イメージを使用する
Google Cloud が提供する従量課金制ライセンスを利用して独自イメージをインポートしたい場合、Compute Engine では、仮想ディスクをインポートするか、仮想アプライアンスをインポートして Compute Engine が提供するライセンスを指定し、イメージにアタッチできます。このモデルでは、Compute Engine でカスタム イメージをご利用いただけます。また、適切な Compute Engine のドライバのインストール、従量課金制ライセンスでの Compute Engine の使用が可能です。このインポート プロセスを通じて作成されたすべてのイメージには、Compute Engine のプレミアム イメージと同様に、適切なライセンスがアタッチされます。適切なライセンスの報告とコンプライアンスを確保するため、これらのイメージから作成された VM は自動的に課金されます。
Google Cloud ライセンスで独自イメージを使用する利点には、次のようなものがあります。
- 独自のカスタム イメージを使用できる
- Google Cloud によってライセンスの報告とコンプライアンスが管理される
- ベンダー ソフトウェアでサポートが必要な際に Google を活用できるため、サポートを簡素化できる
このオプションは、Linux(RHEL)と Windows のワークロードの両方でご利用いただけます。また、使用許諾契約とライセンス義務を最小限に留め、弾力性のあるワークロードに適した従量課金制請求の利点を活用していただけます。
オプション 3: 独自のライセンスまたはサブスクリプションで Google Cloud が提供するイメージを使用する
独自のライセンスまたはサブスクリプションでも、Google Cloud のイメージを使用できます。SUSE Linux Enterprise Server を選択すると、Google Cloud Marketplace で BYOS(独自のサブスクリプション)サポートを使用できます。この方法で、既存の Linux オペレーティング システム ベンダーの使用許諾契約やサブスクリプションを利用しながら、独自のイメージを起動できます。BYOS を利用するには、ソリューションをデプロイする際にベンダーのウェブサイトでライセンスの登録を行う必要があります。このモデルでは、ライセンス費用はベンダーから直接請求され、インフラストラクチャの費用に対して別途 Google Cloud から請求されます。
なお、Windows Server または SQL Server では、独自ライセンスでは独自イメージの使用が必須なため、このオプションをご利用いただけません。独自の Windows のライセンスをご利用になりたい場合は、以下の詳細をご覧ください。
Google Cloud が提供するイメージと独自のライセンスまたはサブスクリプションを使用した場合、次のことが可能です。
- プリインストールされているソフトウェア パッケージで Google Cloud Marketplace のソリューションを使用できる
- 既存の使用許諾契約を再利用できる
- Google Cloud に支払うのは、インフラストラクチャの費用のみ
オプション 4: 独自のイメージと独自のライセンスを使用する
最後に、Google Cloud では、お持ちの有効なライセンスで独自のインポート済みイメージを使用できます。このオプションでは、BYOL(お客様所有ライセンスの使用)を指定して、仮想ディスクか仮想アプライアンスをインポートできます。ほかの BYOL または BYOS オプションと同様、この方法で作成されたイメージで請求されるのは、インフラストラクチャの費用のみです。有効な Red Hat Enterprise Linux または Windows Server などの Microsoft 社製アプリケーション(SQL Server など)のライセンスをご使用のお客様が、この方法をご利用いただけます。
Red Hat Enterprise Linux で既存の RHEL イメージをインポートするには、イメージ インポート ツールでお持ちのライセンスを指定します。これらのワークロードは、Compute Engine の単一テナントノードのマルチテナント VM か、単一テナント VM のいずれかで実行できます。
Windows ライセンスの場合も、同様にイメージ インポート ツールを使用して独自イメージをインポートできます。Microsoft 社製アプリケーション サーバーをソフトウェア アシュアランス(SQL Server は含むが、基盤となる OS は含まれない)付きで実行している場合は、ライセンス モビリティで既存のライセンスを利用できます。ただし、Windows OS ライセンスに関しては、ソフトウェア アシュアランスの有無にかかわらず、Compute Engine の単一テナントノードか Google Cloud VMware Engine で利用できる専用ハードウェア上での BYOL Windows Server または BYOL デスクトップ OS の実行に制限されます。
単一テナントノードを使用すると、お客様のワークロード専用の物理 Compute Engine サーバーでインスタンスを起動できます。また、基盤となるハードウェアでの可視性が確保され、ライセンス使用と必要な報告がサポートされます。単一テナントノードで実行する場合は、ホスト メンテナンスのさまざまな構成で、最新のホストの更新情報を受信しつつ、物理サーバー アフィニティのライセンス上の制限をサポートできます。これらの方法について詳しくは、単一テナントノードに関するドキュメントをご覧ください。
独自のライセンスまたはサブスクリプションで独自イメージを使用する利点は、以下の通りです。
- 既存の購入済ライセンスを再利用することで、ライセンス コストを削減できる
- 単一テナントノードで CPU のオーバーコミットを使用すると、1 物理コアあたりのライセンスに対して仮想化権利を無制限に活用できる
- ライセンスの報告とコンプライアンスの遵守に Compute Engine ツールを活用できる
ただし、この方法を実行する前に、以下の項目を検討してください。
- 単一テナント インフラストラクチャでのサポートとツールは Compute Engine により提供されますが、ライセンスの有効化と報告およびコンプライアンスについては、お客様ご自身の責任のもとで行っていただく必要があります。
- Windows Server の BYOL では、Compute Engine の単一テナントノード形式の専用ハードウェアを使用する必要があります。
- 単一テナントノードが提供するメンテナンス ポリシーの構成を使用して、お客様はライセンス要件を満たすようメンテナンス動作を調整します。
ライセンスについて
特定のワークロード用に適切なイメージとライセンスを選択するには、実行中のオペレーティング システムやアプリケーション、既存のライセンスの有無、活用したいイメージやベンダー関係など、関連するさまざまな要因に配慮する必要があります。このブログ記事を通じて、ご利用になるすべてのオプションについてご理解いただければ幸いです。ライセンス料金について詳しくは、以下のリソースをご覧ください。
- インスタンスと Compute Engine リソースを作成した場合の推定料金を Google Cloud Console で確認する。
- Google Cloud 料金計算ツールで、プロジェクトの総コストの見積もりを確認する。
- Cloud Console の料金表で料金情報を表示、ダウンロードする。
- Cloud Billing Catalog API を使用して、プログラムから SKU 情報にアクセスする。
- プレミアム イメージの料金で費用を把握する。
Google Cloud 上で Microsoft のワークロードにライセンスを割り当てる方法について詳しくは、SoftwareOne によるガイドを参照してください。
-プロダクト マネージャー David Cheng / プロダクト マーケティング マネージャー Adam Levin