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アプリケーション開発

損害保険ジャパン、Gemini Code Assist 導入で開発スピードアップ!~内製化で DX を加速~

2024年10月30日
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Google Cloud Japan Team

損害保険ジャパン株式会社(以下、損害保険ジャパン)では、AI コード アシスタント「Gemini Code Assist」の活用で、内製開発チームの生産性が大きく向上しました。

今回は、損害保険ジャパンの石川様、眞方様、中野様、杉本様に、Gemini Code Assist 採用の取り組みについてお伺いしました。


石川隼輔氏は、DX 推進部 開発推進グループのリーダーを務めています。

眞方篤史氏は、DX 推進部 開発推進グループ のチーフエンジニアです。技術スタックの決定や、アーキテクチャの構築等を担当しています。

杉本海氏は、DX 推進部 開発推進グループ のエンジニアです。SOMPOグループのシステム専門会社のSOMPOシステムズからの出向者であり、インフラエンジニアとして、システムの構築やアーキテクチャの検討を担当しています。

中野孝祐氏は、DX 推進部 開発推進グループ のエンジニアです。SOMPOグループのシステム専門会社のSOMPOシステムズからの出向者であり、開発スタッフとして、日々コードを書いています。

利用している主なサービス:
Gemini Code Assist、Cloud Run、Workflows、Firestore、BigQuery、Vertex AI など

利用している主なソリューション:
アプリケーションのモダナイゼーション


デジタル化が加速する現代において、企業は常に変化に対応し、新たなサービスを迅速に提供していく必要があります。損害保険ジャパンも例外ではなく、従来からの代理店販売に加え、Web でのオンライン販売やデジタルを活用した業務改革など、デジタル施策を積極的に展開しています。

変化への対応と開発スピードの向上

これらの施策を迅速かつ効率的に開発するために、損害保険ジャパンは DX推進部 開発推進グループを立ち上げ、内製開発体制を強化しています。

当初は、デジタル施策に関わる開発を外部企業に委託することもありました。しかし、それでは、ビジネスの要求に答えられるスピードでの開発ができなかったり、ノウハウが内部に残らず、コミュニケーションコストも増加するという問題もありました。

そこで、DX 推進部では内製化組織を立ち上げ、SOMPOシステムズからの出向者も含めて、少数精鋭のチームでスタートしました。その後、外部から専門性の高い人材を採用し、Google Cloud Japan が提供する Tech Acceleration Program (TAP) に参加するなどしてチームを強化することで、クラウドネイティブなアーキテクチャを構築するなど、さまざまな開発を内製化できる体制を構築しました。

開発はアジャイル開発で進められており、ビジネス部門、開発部門が一体となってプロジェクトを進めています。これは従来の外注中心の開発体制では難しかった、スピード感と柔軟性を重視した取り組みと言えます。

実際に、損害保険ジャパンでは内製開発によって様々なプロジェクトに取り組んでいます。例えば、全社員を対象とした AI チャットシステム「SOMPO AI Chat」、Web保険共通プラットフォーム「MiraCraw」、そして営業店向けの保険契約に関する質問応答システム(通称:教えて!SOMPO)にLLMの機能を取り入れた「おしそん LLM」などがあります。特に「おしそん LLM」は、生成 AI を活用した最新のプロジェクトであり、営業店の業務効率化に大きく貢献することが期待されています。

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内製開発の利点について、石川様は次のように話します。

「まず、外部委託に比べて開発スピードが向上します。要件定義から開発、テスト、リリースまで、一連のプロセスを社内で迅速に進めることができるからです。

次に、開発のノウハウを社内に蓄積できる点も大きな利点です。内製化によって、知見を社内に残し、再利用性を高めることができます。標準化や共通化を進めることで、開発効率の向上や保守性の向上に繋がります。

さらに、生成 AIのような新しいテクノロジーを活用したプロジェクトにおいても、柔軟かつ迅速に対応できる点も内製化の利点です。特に、AI を活用したシステムやユーザーエクスペリエンスの開発は、実際にやってみないとわからない部分が多く、試行錯誤しながら改善していく必要があります。内製化であれば、小さく始めて試しながら大きくしていくという、柔軟な対応が可能になります。」

Gemini Code Assist の活用と効果

Gemini Code Assist は、Google Cloud が提供する AI コードアシスタントです。開発者がより迅速で効率的に、高品質で安全なアプリケーションを構築できるよう、様々な支援機能を提供します。Google の生成 AI である Gemini モデルを使用して構築されており、IDE 内で開発者に生成 AI アシスタントを提供します。自動コード補完、コード生成、自然言語チャットなどの機能が含まれます。

石川様のリードするDX推進部開発推進グループでは、今年5月より Gemini Code Assist の利用を開始しました。具体的には、「おしそん LLM」の開発プロジェクトで、以下のように活用されています。

  • テストコードの生成: テスト工程において、テストコードを Gemini Code Assistを利用して作成されています。「従来は 1 つのコンポーネントに対してテストコードの作成に約半日かかっていたところ、Gemini Code Assist の導入により 50% 程度短縮されました。今から Gemini Code Assist がない時代には戻れない」と、中野様は話します。
  • インフラ構築に関わるコード生成: IaCの環境で利用している Terraform のコード作成、修正やエラー対応に活用されています。杉本様によると、「従来は 1 環境あたり 2 ~ 3 日かかっていた作業時間が 短縮され、コストが約 20% ~ 30% 削減できました。」とのことです。
  • その他:ドキュメントに書かれていないコードの解説に利用することで、調べる時間を大きく短縮できたり、良いコードの例を知ることで、精度の高いコード作成ができる、といったこともあります。

このような活用を通して、以下のような効果をあげています。

  • 開発スピードの向上:条件やケースによるものの、従来の開発と比較して、10 〜 20%は向上しているとみています。数日予定していた作業が、すぐに完了したケースもありました。
  • 少数精鋭体制の実現: チーム全体のスキルセットが向上し、開発効率が向上したことで、少数精鋭体制での開発が可能となりました。「私たちのチームでは、私を含めわずか 2 名の開発メンバーでプロジェクトを進めていました。メンバーには新卒 3 年目の社員もおり、経験豊富なエンジニアと比べるとスキルに差がありました。しかし、Gemini Code Assist を導入することで、テストコードの作成やコーディングの品質向上などが実現し、少ない人数でも効率的に開発を進めることができました。」と眞方様は話します。
  • 人材育成: 若手エンジニアでも Gemini Code Assist の支援を受けることで、質の高いコードを効率的に開発できるようになり、チーム全体のスキル向上に繋がります。また、経験者やベテラン技術者が若手エンジニアを指導する工数の削減につながるという効果もありました。

このように、Gemini Code Assist は、開発チームにとって様々なメリットをもたらしています。特に、少人数体制やスキルにばらつきがあるチームにおいては、その効果が顕著に現れると言えるでしょう。

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左から杉本様、中野様、眞方様

更なる活用拡大と DX 推進

損害保険ジャパン様は、今後も Gemini Code Assist の活用を拡大していく予定です。

  • 開発プロセス全体への適用: 現在は主にコーディングの場面で Gemini Code Assist を活用していますが、今後は要件定義から設計、テスト、デプロイ、問題管理といったソフトウェアライフサイクル全体に適用範囲を広げていくことで、さらに高い効率化を実現できると考えています。特に、要件定義からコードへ落とし込む部分やテストシナリオからのコード自動生成などが期待されています。
  • 新たなユースケースの発掘: テストシナリオからのコード自動生成や、コンテナ作成など、Gemini Code Assist を活用した新たなユースケースの発掘にも積極的に取り組んでいく予定です。

損害保険ジャパン様は、Gemini Code Assist をはじめとする Google Cloud の先進的なテクノロジーを活用することで、内製開発体制を強化し、DX をさらに推進していくことを目指しています。

損害保険ジャパン株式会社
「“安心・安全・健康”であふれる未来へ」をパーパスとし、自動車保険を中心とした損害保険事業を展開しています。130年を超える歴史で培った国内損害保険事業の顧客基盤や、海外事業で得た専門性を活かし、お客様のニーズに合わせた多様な保険サービスを提供することで、安心・安全な社会の実現を目指しています。

SOMPOシステムズ株式会社
SOMPOシステムズ株式会社は、2011 年 4 月 1 日に株式会社損保ジャパン・システムソリューションとエヌ・ケイ・システムズ株式会社が合併し、2016 年 10 月 1 日に現社名に変更。SOMPOグループのIT戦略子会社としてSOMPOシステムズのパーパスを 2022 年 4 月に定め、"安心・安全・健康であふれる未来に向かって、プロアクティブな「企画・提案」と高い「IT技術力」「ITソリューション力」で、お客さまにとって快適な体験を実現・追求する。" というパーパスを企業理念とするパーパス経営を継続しています。

DX 推進部開発推進グループ リーダー
石川隼輔 様

DX 推進部開発推進グループ
眞方篤史 様

DX 推進部開発推進グループ
中野孝祐 様

DX 推進部開発推進グループ
杉本海 様

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