Google Cloud が CCAI および DocAI ソリューションを拡大して価値創出までの時間を短縮
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 10 月 12 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
実質的にすべての企業が 2 つの大きな課題に直面しています。すなわち、より効率的な意思決定のためのデータ整理、そしてよりカスタマイズされた快適なカスタマー エクスペリエンスの実現です。
人工知能(AI)は有用ですが、AI 投資がビジネス上の成果に結実するまでの道のりは単純ではありません。価値創出までの時間を短縮するため、Google は、新たに中核となる 2 つの AI 活用ソリューションをお届けします。
Contact Center AI(CCAI)Insights は現在一般提供されています。CCAI はすぐに使用可能で、そのカスタム モデリング技術によって、コンタクト センター チームがお客様とのやり取りのデータを容易に把握することを可能にします。CCAI Insights は Google Cloud の CCAI ソリューションを拡張するものです。企業は、AI 搭載仮想エージェントや Agent Assist のような機能を通じて、会話型のより快適なカスタマー エクスペリエンスを実現できます。
プレビュー中の Contract DocAI は、ドキュメントの効率的なスキャン、分析、理解を可能にするスケーラブルなクラウドベースの AI プラットフォームである Google Cloud Document AI ソリューションに新たに加わったプロダクトです。Contract DocAI は、最も重要で複雑なドキュメントである契約書のために開発されました。この機能によって契約書の非構造化テキストからインサイトを抽出できるため、契約のライフサイクルを加速して、契約処理にかかる費用を削減できます。
Google は、AI ソリューションによってお客様にビジネス価値をもたらすという流れを受け止め、その結果、これら 2 つのソリューションをご提供することとなりました。
Forrester Consulting が実施した 2020 年の委託調査、「New Technology: The Projected Total Economic Impact™ Of Google Cloud Contact Center AI」によると、CCAI は、セルフサービス リソースと人間のエージェントとの間で顧客を効率的に振り分けることから、平均通話時間が短縮し、手動でのデータ入力が削減されました。この結果、顧客は数百万ドルの節減を実現しています。 たとえば、Google Cloud の CCAI for Chat を導入したコールセンター チームは、同時に対応できる顧客数が最大 28% 増加しました。同時に、顧客からの問い合わせへの対応は 15% 迅速化し、顧客満足度が 10% 改善しました。同様に、DocAI を導入したお客様は、ドキュメント処理の改善、顧客対応の向上を実現できます。その一例が住宅ローン金融会社の Mr. Cooper 社です。同社は、住宅ローンのドキュメント処理効率が 400% 上昇し、チームメンバーと 300 万人を超える顧客の両方のエクスペリエンスを向上させることに成功しています。
今回ご紹介する 2 つのソリューションにより、Google はこれからもそれぞれのお客様のニーズに対応していきます。さらに、すぐに使用可能な AI ソリューションをお届けすることで、AI 投資が変革的なビジネス成果を生むまでの時間を短縮します。
CCAI Insights で顧客の理解を深める
CCAI Insights は、AI により、コンタクト センターの元のやり取りデータを掘り起こして実用的な情報を提供し、カスタマー エクスペリエンスを向上させます。データは、仮想エージェントによるものでも、人間のエージェントによるものでもかまいません。また、次のようなお客様との会話に対する分析が、すぐに使える形で用意されています。
スマート ハイライター: 重要な会話の瞬間を自動的にハイライト表示します。たとえば、エージェントが認証した、問題が解決したことを顧客が確認した、エージェントが顧客を保留にしたなどです。
Cloud Natural Language Processing(NLP)とのインテグレーション: CCAI 内の新しいカスタマー & エージェント センチメント機能で、会話の各部分をスコア付けします。これにより、正の感情と負の感情を把握できます。エンティティ抽出は、日付、プロフィール、連絡先情報、組織、場所、イベント、製品、メディアなどの種類別に、会話内のさまざまなエンティティにラベル付けをします。これにより、データについて報告を行い、スクリプトの改善やエージェントの研修を行って、解決率を向上できます。
CCAI Insights は、そのまま使用できる機能のほかに、会話の分類を支援する次の機能も備えています。
カスタム ハイライター - ルール、キーワード、自然言語のトレーニング フレーズを定義します。これにより、顧客が競合他社や最近の販促製品にいつ言及したかなどを把握できます。
トピックのモデリング - BERT のような先進 NLP 技術を採用しており、教師なしデータモデルを作成して、会話の促進要因の分類を定義できます。
Google Cloud の CCAI ソリューションの一部として、CCAI Insights は、Dialogflow(CX または ES)と Agent Assist が処理した通話やチャットをシームレスに引き継ぎ、どちらの詳細データも pull できます。また、CCAI Insights は、いずれも Google の先進プロダクトである BigQuery と Looker とのネイティブな統合により、データのさらに強力かつ正確な視覚化を実現します。
カナダの通信技術会社である TELUS 社は、CCAI Insights に、同社の分析チームを強化し価値をもたらす大きな可能性を見出しています。
「TELUS 社は、CCAI Insights で 2,000 万件の音声通話を処理して分析することを目指しています。これにより、エージェントは、顧客からの問い合わせをより迅速に、より容易に解決できます。本番運用 1 年目からエージェントの負担軽減によって大幅に費用を節減できるでしょう。また、AI を活用することでお客様の時間を数万時間節減することも目標においています。お客様のニーズを最大限サポートし、セルフサービスとデジタル アプリケーションなどで解決をスピードアップして、オンライン取引をさらに容易にしたいと考えています。これにより、カスタマーケアでお客様が費やす時間が短縮され、カスタマー エクスペリエンスも向上するでしょう。」 - TELUS 社 AI データ & アナリティクス担当ディレクター Mike Kellner 氏
Contract DocAI で契約のライフサイクル管理を加速する
Contract DocAI は Google Cloud の DocAI ソリューションの一部であり、NLP、ナレッジグラフ技術、光学式文字認識(OCR)などのさまざまな AI 技術を採用しています。これらの技術により、大量の契約を正確に解析して、開始日と終了日、更新条件、関係者、契約の種類、訴訟原因発生地、サービスレベル契約などの重要な条項を見つけます。また、Contract DocAI は、重要な条項とそれらの条項間の関連性を自動的に認識することで、審査担当者がより効率的に作業できるように支援します。この結果、契約処理の迅速化と費用削減が可能になるとともに、契約内容の分類と分析を可能にするセマンティックな新しい目を提供します。
契約管理サービスの大手プロバイダである Ironclad 社は、早期に Contract DocAI を採用した企業のひとつです。
「Contract DocAI を使用することで、当社は、既存の契約を取り込む Smart Import を構築しました。これにより、お客様にとって、契約へのアクセスしやすさ、可視性、インサイトが向上しました。現在では、当社のお客様の契約アップロード速度が 75% 上昇するとともに、費用は最大 40% 低減しています。また、Smart Import により、以前はアクセス不可能だった契約データにもアクセスできるようになりました。事業の他の部分でも意思決定が改善および迅速化しています。Google Cloud の Contract DocAI のおかげで、AI のイノベーションに独自で取り組むことに時間、労力、金銭を費やすことなく、当社のお客様により大きな価値をご提供することに集中できます。」- Ironclad 社 CTO Cai GoGwilt 氏
ビジネス成果を AI で加速
これらの新しいソリューションと機能はすべて、AI の能力をより身近にするとともに、ビジネス成果達成への集中を可能にすることで企業の変革を支援します。CCAI Insights の詳細は、ここをクリックしてご覧ください。Contract DocAI の詳細は、ここをクリックしてご覧ください。
より深くご理解いただくため、Google Cloud Next では 2 つのセッション、「CCAI Insights による顧客理解の向上」と「Google Cloud と Ironclad 社が共同でドキュメントのワークフローを改善」を実施いたします。1 つ目のセッションでは、TELUS 社データ アナリティクス担当ディレクター Dinesh Mahtani 氏が、顧客との対話データから得た知見をいかに利用して、より良い製品とサービスにつなげるかをご紹介します。2 つ目のセッションでは、Ironclad 社 CTO Cai GoGwilt 氏が、AI によって契約がプロセスの障害からビジネスハブにどのように変化したかをご紹介します。どうぞご参加ください。
- Cloud AI プロダクト管理ディレクター Craig Wiley