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どのようなプロンプトを作成しますか?「エグゼクティブのための生成 AI ガイド」で早わかり 10 ステップ

2023年10月2日
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Google Cloud Japan Team

Google のエキスパートやパートナーの声を参考に、組織が生成 AI に着手するための 10 のステップと、その他のさまざまな重要ポイントをまとめました。

※この投稿は米国時間 2023 年 9 月 13 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

たった 1 年前ですら、生成 AI の概念はほとんど認知されていませんでした。しかし、現在では、あらゆるテクノロジーの中でも最大かつ最速の推進力となっており、企業のエグゼクティブは皆一様に関心を寄せています。

一方で、多くのリーダーはジレンマに直面しています。

多くのリーダーは、生成 AI が新しい時代を切り開く可能性を秘めたテクノロジーであり、組織運営をあらゆる面で変革する可能性があると認識しています。また、この技術の導入を進める必要性も理解しています。しかし、どんな組織も、新しいテクノロジーへ即座に方向転換することはできません。その技術がここ数か月でようやくエンタープライズにおける実用化も照準に入ってきた、それまで馴染みのなかったパラダイムであればなおさらです。

この機会に対処することが今後の長期的なテーマとなっていくことは明らかですが、現段階では、多くのリーダーが何から着手してよいものか頭を悩ませているというのが実情です。

Google Cloud は、こうした緊急性やニーズに応え、このたび「エグゼクティブのための生成 AI ガイド」というガイドを新たに作成しました。Google Cloud 社内やお客様の声を参考に、業界のベスト プラクティスやトレンドなど、生成 AI についてわかってきたことをわかりやすくまとめたエグゼクティブ向けのガイドとなっております。

ここでは、このガイドの内容を念頭に置きながら、組織が生成 AI 計画の大枠を定めるにあたって役立つ基本的なステップを紹介します。

特定の分野から始める

前述のように、一夜にしてすべてを成し遂げることはできません。最初のステップとして、生成 AI によってメリットを得られそうな分野を絞る必要があります。例としては、カスタマー サービス、患者の受付事務、企業活動、マーケティング資料の作成などが挙げられます。分野を決めるにあたっては、以下のような視点で検討しましょう。

従業員が反復的タスクに多大な時間を費やしている分野は何か?標準化された手順に従っている分野は何か?

生成 AI は、手順の決まっているタスクの自動化、高速化に適しています。たとえば、複数の情報源やマニュアルの情報をまとめる作業などに長けています。このようなタスクを効率化することで、従業員はよりクリエイティブで戦略的な、価値の高い業務に専念できるようになります。

従業員がクリエイティブな作業中に、行き詰りやすい箇所があるか?

生成 AI は、アイデアのヒントをくれたり、適切な文章が思い浮かばないときに助けてくれたり、さまざまな概念を反復して提示してくれたりします。いわば、アイデアを一緒に練り上げていく「いつでも頼れるコラボレーター」のような存在です。

不適切な回答やハルシネーションによって問題が生じる恐れがある分野は?初期のユースケースとして、リスクの低い業務分野は?

生成モデルは確率に基づいているため、ときに不正確な情報や「ハルシネーション」と呼ばれる不合理なコンテンツを出力することもあります(この課題については、以前に詳しく取り上げています)。正確性が重要になればなるほど、インテリジェント アプリのアーキテクチャは複雑になっていくでしょう。基盤モデルにおいて正確性が保証されていないため、デベロッパーは、根拠づけや情報検索テクニックなどの新たなスキルを身につけなければなりませんし、モデルの出力を特定データで調整する必要が出てくる場合もあるでしょう。

生成 AI を使って能力向上を目指す場合は、そのユースケースに求められるのが創造力なのか、それとも正確性なのかを念頭におき、まずは社内プロジェクトで技術を蓄積してから、お客様に新テクノロジーを提供するようにしましょう。

社内に有効活用できそうな大規模なデータコーパスがあるか?従業員が社内にある情報を繰り返し検索しなければならないような分野があるか?

生成 AI は、大量のデータを分析し、人間がなかなか気付けないようなアイデアを示してくれます。たとえば、これまで分析対象外だったデータに潜んでいた有益な情報を示してくれたり、複数のレポートや記事から共通点を浮かび上がらせたりします。こうした分析能力を活用してナレッジベースや検索エンジンを作成し、従業員が必要な情報を簡単に見つけられるようにすることが可能です。

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出典: Google Cloud の調査

特定の職種を検討する

分野を絞ったら、次は、生産性を高めたい職種を検討しましょう。たとえば、カスタマー サービスの場合は、お客様対応担当者が生成 AI を活用して問題を的確に解決する、マーケティング業務なら、コピーライターがメッセージの幅を広げる、といった用途が考えられます。

これまで筆者が数多く見てきた成功事例は、従業員の定着が難しいような職種に目をつけた企業のケースです。このような職種は繰り返し作業が多く、従業員が不満を抱きがちであるため、生成 AI によって単調さを最小限に抑え、より人間的で重要な判断を従業員に任せることで、従業員の満足度、生産性、定着率を向上できる可能性があります。

たとえば、アメリカでは健康保険の適用には事前承認が必要であり、数兆ドル規模におよぶ一大分野となっていますが、簡単な MRI や専門医院への訪問の承認に数時間から数日間もかかることがあり、患者にとっては非常にストレスのたまるプロセスです。これは主に、手続きの大部分が紙ベースであることが原因です。その他の例として、投資覚書の作成業務などでも、同じ情報を繰り返し収集する必要があります。

生成 AI は、こうしたルーチン業務を迅速に行えるようにし、従業員がもっと達成感のある業務に専念できるようにすると同時に、お客様にもプロセスの効率化というメリットをもたらすことができます。

これまで筆者が数多く見てきた成功事例は、従業員の定着が難しいような職種に着目した企業のケースです。生成 AI によって単調さを最小限に抑え、より人間的で重要な判断を任せることができるようになります。

次のステップ

ここまでの生成 AI に対する心構えの説明から、とっかかりのイメージをつかめたのではないでしょうか。しかし、これは最初のステップにすぎません。このガイドブックでは、生成 AI の活用方法を業種ごとに解説しているほか、以下の方法について説明しています。

  • 対象職種の生産性を上げるために必要なデータソースを見極める
  • 専門チームを結成し、生成 AI のパイロットを開発する
  • 目的、目標、成果物、OKR を定義する
  • プロンプトを設計し、UX、UI を検討する
  • 運用計画を立て、大規模な ML モデルの扱い方と管理方法を定める
  • パイロット版のユーザーと用途を増やしていく

生成 AI にすぐに着手したい場合には、「エグゼクティブのための生成 AI ガイド」で詳細をご覧ください。企業が生成 AI によってイノベーションを進めている様子については、AI 分野のユニコーン企業 5 社のリーダーへのインタビューでご覧ください。


冒頭の画像は、Google Cloud で Midjourney を使って「A mixed group of execs looking at a guide to generative ai in Bauhaus style(生成 AI ガイドを眺めるエグゼクティブの混合グループをバウハウス スタイルで)」というプロンプトで作成しました。

- Google Cloud、AI &ビジネス ソリューション担当グローバル VP Philip Moyer

- Google Cloud、AI 編集者 Michael Endler

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