Telecom Network Automation のご紹介: Google Cloud で 5G のクラウド ネイティブな自動化を実現
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2023 年 2 月 28 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
スケーラブルな 5G ネットワークの構築と管理は、特に従来の自動化手法では複雑になりがちです。ネットワーク機能をコンテナ化して集中型クラウドやエッジクラウドで実行するだけでは、クラウドに期待されるコスト削減効果と運用効率を最大化できません。
この 2 年間、複数の通信サービス プロバイダ(CSP)が、クラウドにおける復元力に優れ、効率的かつスケーラブルなネットワーク インフラストラクチャを低コストで構築するためのオープンかつクラウドネイティブな自動化ソリューションを求めて、Google Cloud に関心を寄せてきました。
このようなご要望にお応えして、本日、Mobile World Congress 2023 バルセロナにおいて、Telecom Network Automation のプレビュー版を発表しました。Telecom Network Automation は、シンプルなインテント ベースの宣言的アプローチにより、5G のデプロイとクラウド インフラストラクチャやネットワーク機能の管理を自動化するソリューションです。
Telecom Network Automation は、Google が管理する Nephio(Linux Foundation のオープンソース プロジェクト)のクラウド実装です。一般的な自動化テンプレートを使用して、シンプルながらキャリア グレードの Kubernetes ベースで、マルチクラウドやマルチベンダーに対応する、クラウドネイティブなインテント ベースの自動化を実現します。
Nephio は、Google が長年にわたって構築し、先導してきたオープンソース プロジェクトの最新形です。Google Cloud と Linux Foundation は、2022 年 4 月に 24 の創設メンバーとともにNephio を設立しました。現在、Nephio コミュニティは立ち上げ時の 3 倍の規模に成長しています。Google は Nephio コミュニティにシードコードを提供しており、2023 年上半期には Nephio の次のリリースをサポートすべく、さらなる貢献を予定しています。
次世代のクラウド ネイティブなネットワーク自動化
Telecom Network Automation により、CSP はついに自社向けに設計されたクラウドネイティブなネットワークの自動化を実現できるようになります。
従来の Infrastructure-as-Code の自動システムは、「いったん設定したら後はおまかせ」手法に基づいています。これには、ネットワークのオンデマンド スケーリングのサポート、構成ドリフトの制限、運用コストの最適化が行えないという重大な制約があります。
こうした制約に対処するために、制御ループベースの自動システムが注目を集めています。ただし、制御ループベースの自動化の従来の命令型メカニズムには、複雑なルール、トリガー、ポリシーが必要になる場合があります。このようなポリシーの適用は、構成を適用する能力がなくては、必ずしも保証されません。
Telecom Network Automation は、これらの構造を使用して巨大なグローバルの本番環境ネットワークを運用している Kubernetes、Nephio、Google の長年にわたる先駆的取り組みの強みを活かすことによって、命令型モデルのギャップに対処できる、制御ループの自動化の宣言型かつインテントベースのメカニズムをサポートしています。
Telecom Network Automation により、CSP はネットワーク全体をすばやくデプロイして、1 つの画面で簡単に管理できます。
Telecom Network Automation のアーキテクチャの中心にあるのが、Kubernetes Resource Model と Configuration as Data の管理アプローチです。インテントの調整を伴う宣言型機能を搭載しているため、ユーザーのインテントがランタイム環境と一致することが保証されます。このアプローチでは、クラウドネイティブなネットワーク レイヤ(クラウド インフラストラクチャ、ネットワーク機能のデプロイ、ネットワーク機能の構成)全体で均一性と整合性のあるライフサイクル管理が実現します。
Telecom Network Automation は、Nephio コミュニティに合わせた標準のカスタム リソース定義(CRD)とプラグイン対応の Kubernetes オペレーターを使用します。標準の CRD は、ベンダーの相互運用性の問題を緩和し、オープン性を取り入れるのに役立ちます。
サービスの信頼性と運用上のアジリティを向上
Telecom Network Automation は、クラウド インフラストラクチャとネットワーク機能のゼロタッチ プロビジョニングを提供します。これにより、ネットワークの可用性と復元性が向上し、メンテナンスによるダウンタイムが削減されます。
一括表示のユーザー インターフェースから、0 日目(初期構成)、1 日目(デプロイ)、2 日目(継続的デプロイと運用)に対応できます。
大規模な構成管理を簡素化して継続的に調整を行う GitOps アプローチを採用しています。Telecom Network Automation は Kubernetes 機能を利用しており、構成のバージョニングやタグ付けに加えて、インテント ドリフトの測定などの追加機能をサポートしています。
組み込みの CI / CD による「シフトレフト」理念を取り入れています。クロス バージョンのベンダー固有のテスト、送信前の構成検証をサポートし、テスト フレームワークをマルチステージ リリース適格性パイプラインに統合して、欠陥が本番環境に漏れるのを防ぎます。
段階的な展開と自動ロールバックをサポートし、CSP にフックを提供して大規模なライブ ネットワークでの展開を管理できるようにします。
Telecom Network Automation のこれらの機能を総合して、CSP はシステム アップデートを制御する能力を維持しながら、ゼロタッチ プロビジョニング(ZTP)への道のりを進めることができます。
クラウド ネイティブな統合ネットワークへ
Telecom Network Automation は Google Cloud の通信サービス ポートフォリオの一部で、Google Distributed Cloud Edge(GDC Edge)および Google Kubernetes Engine(GKE)と統合して、Google Cloud のお客様に統一された豊富な自動化エクスペリエンスを提供します。
Telecom Network Automation は、マルチドメインの自動化をサポートしており、複数のベンダーのネットワーク機能を Google Cloud インフラストラクチャにデプロイできるだけでなく、サードパーティのサービス オーケストレーション システムと連携してエンドツーエンドのデプロイにも対応できます。Telecom Network Automation は、ノースバウンド統合用のすぐに使える自動化ブループリント、CI / CD ツール、UI、API 一式が組み込まれ、主要な構成要素をサポートしているため、自動化を迅速に行えます。この包括的なクラウドネイティブの自動化アプローチにより、お客様の自動化への道のりを簡素化し、スピードアップできます。
さらに、Telecom Network Automation は Telecom Data Fabric と統合して、高度な制御ループを可能にし、自動化を使用してデータを実行に移します。Telecom Network Automation と Telecom Data Fabric を組み合わせることで、セルフマネージドの自律的ネットワークの利点を生かし、運用の複雑性と費用の軽減に役立てることができます。Google Cloud のこれらの高度な機能により、CSP はお客様に高速なネットワークを提供することができます。
多くの CSP が、Telecom Network Automation の設計パートナーかつ早期テスターとして、Google Cloud と積極的に連携しています。詳細については、Telecom_Network_Automation@google.com までお問い合わせください。
- Google Cloud プリンシパル ソフトウェア エンジニア Kaushik Bhandankar