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通信

Telecom Data Fabric のご紹介: データの価値を引き出す

2023年3月3日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 2 月 28 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

通信サービス プロバイダ(CSP)は、クラウドに移行してネットワークをモダナイズすることで、次世代の革新的なサービスを提供しようとしています。こうしたネットワークのシステムとサービスは大量のデータを生成します。CSP は、プロダクトやユーザー エクスペリエンスを向上させ、データドリブンな自律的ネットワークに移行するために、生成した価値あるすべてのデータから分析情報を引き出す方法を見つける必要があります。それにはまず、さまざまなネットワーク要素、クラウド インフラストラクチャ、運用およびビジネスのサポート システムからデータを簡単に抽出できるようにしなくてはなりません。さらに厄介なことに、このデータは現在、複数のデータレイクやウェアハウスに加え、オンプレミス、プライベート、ハイブリッドのクラウド環境の間で分散していて、複数のベンダー独自の形式で保存されています。

このたび、Mobile World Congress 2023 Barcelona において、Telecom Data Fabric のプレビュー版をはじめ、いくつかの新しい通信プロダクトを発表しました。Telecom Data Fabric はデータと分析のプラットフォームで、CSP がデータアセットの活用、データに関する課題の解決、イノベーションの迅速な市場投入、ネットワークの効果的かつ効率的な運用を行えるように設計されています。

BTDeutsche TelekomElisaVodafone などのお客様は、Google Cloud の豊富なデータと AI / ML 機能を利用し、クラウドとネットワークの変革への取り組みにすでに着手しています。Telecom Data Fabric を使用すると、CSP は簡素化された自動データ プラットフォーム、すぐに使えるデータ キュレーションのアダプター、再利用可能なデータモデル、AI / ML ツールの力を生かして、データの変革をさらに推進できます。また、実用的な分析情報とネットワーク オペレーションのための予測分析、データ最適化ネットワーク計画、強化されたカスタマー エクスペリエンス管理、省エネなど、さまざまなサードパーティ アプリケーションを有効にすることもできます。

加速するデータ価値に対する新しいアプローチ

CSP はデータの活用に関して、さまざまな独自の課題に直面しています。CSP のレガシー データ パイプラインは一般に、進化する通信規格、マルチベンダー形式、クラウドベースのアーキテクチャ、制御ループの自動化に対応できるように設計されていません。さらに、CSP のデータ処理は通常、各ドメイン所有者に委任され、それぞれが独自のデータツール、管理、プロセスを使用しています。こういった責任とツールの分断により、データサイロやデータの重複だけでなく、組織全体で価値あるデータを再利用できない事態を招く可能性があります。また、CSP は適切な形式でのデータの収集、クリーニング、変換、保存に膨大な時間を費やすことが少なくありません。そうしたデータの使用に費やされる時間に比べ、不均衡なほど多くの時間を消耗しているのです。CSP が抱える問題は、複雑なデータ共有、ガバナンス、主権、プライバシーによっていっそう悪化しています。

このような問題を CSP が克服するために役立つ、Telecom Data Fabric のデータ分析およびデータ管理の幅広い自動化機能を見てみましょう。

https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/1_Telecom_Data_Fabric.max-2000x2000.jpg

包括的かつ効率的でシンプルなデータ管理

Telecom Data Fabric は、データ管理と AI / ML における Google の中核となる強みに基づいて構築されています。そのため、CSP は Google Cloud データAI / ML の複数のプロダクトを活用して、すぐに使える自動化されたアプローチで通信データの管理と分析を加速させることができます。また、Telecom Data Fabric の自動化により、CSP はデータの品質、プライバシー、セキュリティを損なうことなく、データの収集、処理、活用を迅速に行えます。

Telecom Data Fabric は、さまざまなソースからデータを収集する複数のメカニズムと、ネットワークおよび CRM の多様なデータをキュレートする豊富なデータ アダプターを提供します。また、データを保存し、さまざまなアプリケーションへのアクセスを容易にする統合されたオープン データモデルも提供します。

Telecom Data Fabric は Dataplex と統合して、一元化されたセキュリティとガバナンスに加え、ビジネス上の背景に基づく分散データ全体の統合検索とデータ検出をサポートします。

Telecom Data Fabric は、異なるプロダクトをつなぎ合わせるのではなく、CSP とシステム インテグレータ(SI)にエンドツーエンドのデータ管理および分析プラットフォームを提供します。このプラットフォームは、すぐに使えるように自動化、統合、オーケストレーションされているため、構築と保守が容易です。

価値の高いデータを迅速に取得

Telecom Data Fabric は BigQuery の統合オープン データモデルに対応しており、標準モデルと複雑な独自モデルの間のギャップを解消できます。この統合データモデルは反復性を実現するので、CSP は Vertex AI と ML ツールを使用して機械学習(ML)モデルを迅速に構築、デプロイ、スケールできます。Telecom Data Fabric を使用すると、CSP はデータアクセスをきめ細かく制御できるので、組織全体で選択的かつ安全にデータを公開できます。さらに、Telecom Data Fabric API と Google Cloud データ プロダクトにより、そのデータをさまざまなアプリケーションで簡単に使用できます。

統合された自動化

Telecom Data Fabric は Google Distributed Cloud EdgeGKE との統合によって、Google Cloud インフラストラクチャのすぐに使えるデータ収集の仕組みを実現しています。また、Google Cloud 通信ポートフォリオの別のプロダクトである Telecom Network Automation とも統合されており、クローズド ループ作動を通じてデータ分析情報に基づいた動作が可能になっています。これらの高度な機能は、セルフマネージドの自律的ネットワークに向けた大きな一歩となります。

堅牢な通信データ エコシステム

Telecom Data Fabric は、複数のパートナーの分析および AI / ML アプリケーションと統合されています。複数の CSP と ISV が、Telecom Data Fabric の設計パートナーかつ早期テスターとして、Google Cloud と積極的に連携しています。詳細については、telecom_data_fabric@google.com までお問い合わせください。


- Google Cloud、通信担当エンジニアリング ディレクター Sanjeev Tyagi
- Google Cloud、通信担当プロダクト マネージャー Shilpa Sinha
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