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サステナビリティ

環境への影響を測定、削減するための新しいツールの発表

2021年10月14日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2021 年 10 月 12 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

Google Cloud は、業界で最もクリーンなクラウドでお客様をサポートいたします。この 4 年間、Google Cloud は使用する電力の 100% に相当する再生可能エネルギーを購入してまいりました。また、この規模の企業としては初めて、24 時間 365 日のカーボンフリー エネルギー化を2030 年までに実現するというさらに大きな目標に取り組んでいます。24 時間 365 日のカーボンフリー エネルギー化を目指す一方で、Google Cloud は、デジタル アプリケーションやインフラストラクチャを脱炭素化するためのお客様による直接的な取り組みも支援しています。また、あらゆる業界のお客様と連携し、各組織が直面する業界特有の気候変動に関する課題に対して、新しいソリューションを開発しています。本日は、カーボンフリー ソリューションのポートフォリオの拡大と、すべての企業がより持続可能性の高い未来を築くための助けとなる新たなパートナーシップを発表いたします。

まず、お客様に Google Cloud Platform の使用による総炭素排出量をお知らせする新しいサービス、Carbon Footprint をリリースします。このツールは、すべての GCP ユーザーを対象に Cloud Console で提供を開始しています。ご利用は無料で、クラウドの使用による総炭素排出量を測定、追跡、レポート化できます。もちろん、Google Cloud の使用による運用上の正味排出量はゼロのままです。環境、社会、ガバナンス(ESG)に関するレポートの必要性の高まりに伴い、企業は従業員や役員、顧客に気候変動に関する目標の達成度合いを示すための方法を求めています。Carbon Footprint を使用することで、外部への情報開示に必要な、エネルギー関連の総炭素排出データにワンクリックでアクセスできます。

AtosEtsyHSBCL’OréalSalesforceThoughtworksTwitter のようなお客様との共同開発により、Carbon Footprint のレポート作成機能には透明性に関する新しい基準が導入されており、気候変動に関する目標の達成に役立つものとなっています。クラウドの総炭素排出量を、プロジェクトごと、製品ごと、地域ごとに経時的に監視でき、二酸化炭素排出量の削減に役立つ指標を IT チームやデベロッパーに提供できます。詳細な計算方法を公開しているため、監査者やレポートチームは、自社のクラウドの炭素排出量データが GHG プロトコルのガイダンスを満たしていることを確認できます。

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「知識の力と技術革新の力の組み合わせは、私たちが直面している気候変動の危機に積極的に対応するうえで重要な役割を果たしています。Google Carbon Footprint のレポート機能により、Atos は炭素排出量のデータを Decarbonization Data Platform にフィードして、Google Cloud Platform による炭素排出量の削減見込みを顧客に示しています。炭素排出量の透明性、軌道計画、データ分析に新たな基準をもたらすこのレポート機能を使用すると、顧客の気候変動に関する目標の達成を支援できます。また、達成に向けた取り組みを加速させることも可能です。」- Atos 脱炭素化ビジネスライン責任者 Nourdine Bihmane 氏

「パブリック クラウドの使用に関する環境フットプリントを測定して把握できる能力は、当社の持続可能な技術ロードマップの主軸の一つです。Google Cloud Carbon Footprint を使用することで、当社の持続可能なインフラストラクチャ アプローチとアーキテクチャの原則による影響を直接追跡できるようになりました。」- L’Oreal サステナビリティ IT 部門責任者 Hervé Dumas 氏

デジタル インフラストラクチャによる炭素排出量は環境フットプリントの一部に過ぎません。しかし、気候変動による最悪の結果を回避するのに必要な炭素排出削減量の達成度合いを測定するには、IT に関連する炭素排出量を正確に把握する必要があります。お客様が Google Cloud 以外の部分も含む組織全体での排出量を把握できるようにするため、Google Cloud は Salesforce Sustainability Cloud と提携し、Google Cloud Platform の排出量データを Salesforce の炭素会計プラットフォームに統合いたします。

「私たちは前例のない気候変動の問題に直面しており、世界中の企業が、顧客や利害関係者の高まる期待に応え、環境への影響を抑えるために、持続可能性を事業の中核に据える必要に迫られています。Google Cloud と Salesforce Sustainability Cloud が協力すれば、両社に共通する顧客の排出量正味ゼロに向けた取り組みを加速できます。データ主導のインサイトと視覚化を活用して炭素排出量を追跡および削減できるため、持続可能な変化を促進することが可能となるのです。」- Salesforce Sustainability Cloud ゼネラル マネージャー Ari Alexande 氏

情報から行動へ

Google Cloud の使用に伴うエネルギー消費に関連するカーボン フットプリントのデータが参照可能になったことを受け、Google Cloud は、二酸化炭素排出量の測定だけでなく削減にも役立つツールの提供に取り組んでいます。Google Cloud リソースの保存先としてよりクリーンなリージョンを選択できるようにするため、先日、二酸化炭素排出量が低いリージョンを示すアイコンをリリースしました。このアイコンを見た新規ユーザーは、他のリージョンよりもクリーンなリージョンを選ぶ確率が 50% 以上高くなっています。こうしたユーザーのアプリケーションは、長期的に見て二酸化炭素排出量が少なくなります。

現在の Google Cloud ユーザーの皆様のために、Active Assist Recommender に、費用、パフォーマンス、セキュリティ、管理性という最初の 4 つの中核的なカテゴリに加えて、サステナビリティに対する影響のカテゴリを新たに追加することを発表いたします。まずは、放置プロジェクト Recommender で、アイドル状態のリソースを取り除くことにより削減できる総二酸化炭素排出量を見積もることが近日中に可能になります。放置プロジェクト Recommender は、機械学習により、API や、ネットワーキング アクティビティ、請求、クラウドサービスの使用状況、その他のシグナルに基づいて、放置されている可能性が高いプロジェクトを高い信頼度で特定し、それらの放置プロジェクトへの対処について実行可能な推奨事項を提供します。このようなプロジェクトを削除することで、費用の削減、セキュリティ リスクの低減だけでなく、二酸化炭素排出量の削減も実現できます。8 月に Active Assist で Google Cloud プラットフォーム全体のすべてのお客様の集計データを分析したところ、合計で 60 万 kgCo2e 以上が、クリーンアップまたは再利用対象として推奨されるプロジェクトから発生していました。お客様にこれらのプロジェクトを削除していただければ、二酸化炭素総排出量を将来大幅に削減できます。Active Assist の詳細については、こちらのブログをご覧ください。

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この機能がリリースされると、ユーザーの Carbon Footprint ダッシュボードに、排出量を削減するための推奨事項カードが表示されます。ユーザーは関連付けられたプロジェクトを調べて、排出量削減のために削除することを選択できます。

気候変動レジリエンスを高めるためのソリューション

多くのお客様は、今日ビジネスが自然環境に与える影響、将来気候変動がビジネスに及ぼす影響という難題に直面しています。このような問題に対応するには、地球に関する豊富なデータセット、優れた分析ツール、生じ得る結果を予測するためのよりスマートなモデルが必要です。10 年以上にわたり、Google Earth Engine は、ハイパースケールのコンピューティング能力と、世界最大級の衛星画像データカタログにより、科学者やデベロッパーを支援してきました。本日、Google Cloud Platform の一部として Earth Engine のプレビュー版を発表いたします。これにより、Earth Engine にアクセスし、BigQuery などの他の地理空間対応プロダクトと Earth Engine を組み合わせることが可能になりました。Google Cloud を通じて Earth Engine の強力なプラットフォームを企業に提供することで、Google の強みを最大限に提供してまいります。

この 1 年にわたり、Google Cloud は多数の組織と連携し、BigQuery や Cloud AI Platform などのツールと Earth Engine テクノロジーを併用して、責任ある商品調達、持続可能な土地管理、二酸化炭素排出量削減のための新しいソリューションを開発してきました。企業は Earth Engine を使用することで、異常気象や人為的な活動による地表の変化を追跡、モニタリング、予測できるため、運用費用の削減、リスクの低減とリスク管理の改善、気候変動の脅威に対するレジリエンスの向上が可能になります。この新しいサービスには、Earth Engine の固有のデータ、分析情報、機能が含まれており、フルマネージドかつエンタープライズ クラスのエクスペリエンスと高い信頼性が備わっています。

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お客様と連携してサステナビリティ イニシアチブを推進する中で、気候変動の長期的な影響に対応するための効果的な計画を立案するには、地球観測データが不可欠であることが明らかになっています。地理空間とサステナビリティのユースケースを拡張するために、Google Cloud は CARTOClimate EngineGeotabNGISPlanet とのパートナーシップを拡大し、各社のデータとコア アプリケーションを Google Cloud に取り込んでいます。

これらの各パートナーが、既存のプラットフォームとデータセットを Google Cloud でグローバルに利用できるよう提供することにより、サステナビリティ イニシアチブを提供する重要なデータとアプリケーションへの低レイテンシで信頼できるアクセスが可能になります。水の利用可能状況、農業データ、気象リスク、広範囲にわたる日々の衛星画像を Earth Engine と BigQuery に統合することで、ビジネスと地球のサステナビリティに関するより高い目標を達成できます。

気候変動に関する目標の達成を全力で支援

上記の各ツールにより、Google Cloud は、持続可能性の高いテクノロジー手法を採用するうえでお客様が直面している障害の克服に取り組んでいます。持続可能性の高いアプリケーションやインフラストラクチャの構築は容易ではありません。お客様は困難な優先順位付けや技術的な課題に直面しており、気候変動対策には費用がかかるという現実も認識しています。

しかし今後は、このようなことに悩む必要はありません。このたび、Google Cloud はサステナビリティに関して次のことをお約束します。Google Cloud の各チームは、組織で持続可能性の高いデジタルの未来を築くうえでお客様が直面している障害を排除することに尽力します。そのために、気候変動に関する目標を達成するための取り組みの支援に速やかに着手いたします。具体的には以下を行います。

  1. デジタル トランスフォーメーションのプロジェクトとワークショップでは、サステナビリティ チームが計画策定の場に必ず同席します。このようにしてお客様のクラウド テクノロジーの使用をサポートすることで、持続可能性の高い未来を築くお手伝いをいたします。

  2. デベロッパーがアプリケーション開発の早い段階で持続可能性の高いオプションを選択できるよう、二酸化炭素排出量が低いことを示すシグナルを Google Cloud のプロダクトにネイティブに組み込みます。

  3. 他の重要業績評価指標により、二酸化炭素の影響が一貫して測定されるようにします。また、お客様が Google Cloud で使用する ROI モデルや価値評価で、二酸化炭素の社会的費用を活用して、二酸化炭素排出量の影響を予測します。

  4. 二酸化炭素の影響について透明性を保つために、第三者が確認したレポートと手法を公開し、お客様がレポートや情報開示に使用するデータを信頼できるようにします。

  5. 引き続き業界と連携してベスト プラクティスの策定を進めます。これには、新しいマスタークラス「Sustainable IT - Decoded」などの教育リソースが含まれます。このマスタークラスは Intel と共同で作成したもので、サステナビリティのソートリーダーの専門知識を学ぶことができます。

今後 10 年間、私たちは気候変動の最悪の結果を回避するために力を合わせて取り組みを行う必要があります。Google Cloud は、誰もが地球環境に貢献できるテクノロジーの構築において、大きな進展を遂げてきました。皆様が今後そのテクノロジーを使って何を実現するのか、拝見するのを楽しみにしております。Google Cloud のサステナビリティに向けた取り組みについて詳しくは、こちらのページをご覧ください。

- クラウドの持続可能性担当 Chris Talbott

- Google Earth Engine プロダクト マネージャー Joel Conkling

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