コンテンツに移動
サステナビリティ

二酸化炭素排出に配慮したデータセンターに対する Google のアプローチ: データセンター フリートの集中管理

2025年10月1日
Praneet Arshi

Program Manager, Cloud Supply Chain Sustainability

Joel Miller

Technical Program Manager & Lead, Central Fleet

※この投稿は米国時間 2025 年 9 月 11 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

データセンターはクラウドのエンジンであり、私たちの日常生活を支える情報を処理して保存しています。デジタル サービスの成長に伴って Google のデータセンターも拡大しており、Google は責任を持ってデータセンターを管理するよう努めています。Google はインフラストラクチャをハードウェアとしてだけでなく、ソフトウェアによって抽象化されたハードウェアとして、フルスタック レベルで考えており、これがイノベーションを可能にします。

Google は以前、技術インフラストラクチャ ハードウェアの最適化によってデータセンターにおけるカーボン フットプリントを削減する取り組みについてご紹介しました。このブログでは、社内のリソース管理システムをマシン エコノミーから、より持続可能なリソースとパフォーマンスのエコノミーに移行するのに役立った「中央フリート」プログラムについてご紹介します。

中央フリートとは

Google の中央フリート プログラムは、処理能力、メモリ、ストレージなどのコンピューティング リソースをより効率的かつ持続可能な方法で管理および割り当てることができるリソース分配アプローチです。Google 内の個々のチームやプロダクト チームがそれぞれ物理マシンを注文して管理するのではなく、最も必要とされる場所に動的に分散できるリソースの集中プールとして機能します。

いわば、カーシェアリング サービスのようなものです。1 日に数時間しか使わない車をそれぞれが所有するのではなく、共有フリートなら、より少ない台数の車を多くの人がより効率的に利用できます。同様に、Google の中央フリート プログラムでは、コンピューティング リソースが常に使用されるようにして、無駄を最小限に抑え、新しいマシンの調達の必要性を減らしています。

仕組み: リソース エコノミーへの移行

フリート中心のアプローチは、リソースのプロビジョニングと管理の方法を根本的に変えます。チームがより多くのコンピューティング能力を必要とする場合、特定のハードウェアを注文するのではなく、中央フリートから「割り当て」を注文します。これにより、コンピューティング リソースが代替可能、つまり交換可能で柔軟になります。たとえば、チームは特定のサーバーモデルではなく、一定の処理能力やストレージ容量を要求します。

この「インテントベース」の注文システムによって、需要を満たす方法の幅が広がるのです。Google の中央フリートは、既存の在庫を使用するか、大規模に調達することで、リクエストをインテリジェントに処理できます。これにより、コストと環境への影響を低減できます。また、不要なリソースを返却して他のチームに再割り当てできることで、無駄をさらに削減できます。

これらはすべて、Google のフルスタック インフラストラクチャと、Borg クラスタ管理システムを基盤として、物理ハードウェアを単一の代替可能なリソースプールに抽象化することで実現しています。このソフトウェア レベルのインテリジェンスにより、インフラストラクチャを静的なマシンの集合体ではなく、流動的で最適化可能なシステムとして扱うことができ、効率が大幅に向上します。

フリートの集中管理によるサステナビリティのメリット

中央フリートのアプローチは、サステナビリティとサーキュラー エコノミーに対する Google の幅広い取り組みに沿ったものです。既存のハードウェアの使用を最適化することで、二酸化炭素排出量を削減できます。たとえば、2024 年には、Google の中央フリート プログラムにより、約 260,000 トンの CO2e に相当するエンボディド インパクトを持つ新しいコンポーネントやマシンの調達を回避できました。これは、ガソリンを燃料とする一般的な乗用車が走行する距離に換算すると、約 10 億 6,000 万 km に相当します1

この柔軟なフルフィルメントにより、リソース効率が向上し、二酸化炭素排出量が削減されます。その理由は次のとおりです。

  • 電子廃棄物の削減: 再割り当てと再利用によってマシンの寿命を延ばすことで、新しいハードウェアを製造する必要性を最小限に抑え、電子廃棄物の量を削減します。

  • 製造時の二酸化炭素排出量の削減: 新しいサーバーの製造には、製造時の二酸化炭素排出量が伴います。新しいマシンを作成しないことで、関連する CO2e 排出を回避できます。

  • エネルギー効率の向上: フリートを集中管理することで、利用可能な最も電力効率の高いハードウェアにワークロードを戦略的に配置し、データセンター全体のエネルギー消費を最適化できます。

  • 循環型経済の推進: このモデルは、循環型経済の原則を実践した好例です。直線的な「採取、製造、廃棄」モデルから、再利用と長寿命化を重視するモデルへと移行しています。

フリートの取り組みは、社内の効率化プロジェクトにとどまりません。サステナビリティを中核的なビジネス上の意思決定に組み込むことを具体的に示すものでもあります。インフラストラクチャの管理方法を見直すことで、AI とクラウドの需要の高まりに対応しながら、より持続可能な未来への道を開くことができます。詳しくは、sustainability.google をご覧ください。


1. 回避された排出量の推定値は、2024 年に Google の中央フリート イニシアチブによって節約されたマシンとコンポーネント リソースに、社内の LCA 排出係数を適用して計算されました。推定される回避排出量を EPA の温室効果ガス換算計算ツールに入力して、ガソリン車(乗用車)の平均走行距離に換算しました(2025 年 8 月にアクセス)。データおよび主張は、独立した第三者により検証されていません。

Praneet Arshi、クラウド サプライ チェーン サステナビリティ担当プログラム マネージャー

Joel Miller、テクニカル プログラム マネージャー兼リード、中央フリート

投稿先