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サステナビリティ

Google Cloud、ライフサイクル評価(LCA)を通じて気候への影響を測定

2025年3月18日
Malcolm Hegeman

Program Manager, Cloud Environmental and Social Responsibility

Stephan Benecke

Head of the Carbon Footprint Team

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※この投稿は米国時間 2025 年 3 月 12 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

Google は、AI がビジネス成長と社会的利益の新たな機会を創出しつつあるこの世の中において、ソフトウェアの最適化、ハードウェアの効率の改善、カーボンフリー エネルギーによる業務のサポートなどの取り組みを通じて、二酸化炭素排出原単位の削減を進めています。

Googleでは、環境への影響を全体的に把握し、最も適切で大胆かつ包括的なソリューションを適用できるよう努めています。この投稿では、二酸化炭素排出量の全体像を把握するための評価手法であるライフサイクル評価(LCA)について説明します。

LCA で環境への影響を測定

LCA は、プロダクト システムやサービスのライフサイクル全体にわたって環境への影響を評価するためのプロセス分析手法です。これには、原材料の抽出や加工、製造、輸送、使用、使用後の処理(リサイクル、廃棄など)といった、すべての工程が含まれます。LCA により、ハードウェア製造のあらゆる段階で排出量を測定し、排出源を特定し、排出量を削減する方法を見出し、世界全体での排出量実質ゼロに向けた取り組みの進捗状況を追跡できます。

Google Cloud のカーボン フットプリント チームは、最高水準の LCA アプローチを開発し、AI/ML アクセラレータ、コンピューティング マシン、ストレージ プラットフォーム、ネットワーキング機器など、Google のデータセンター ハードウェア1のサプライ チェーンに関連する二酸化炭素の総排出量を評価しています。

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図 1. LCA のステージとシステム境界

このアプローチは、グローバルな LCA 基準である ISO 14040/14044 に準拠しており、Google Cloud のデータセンター テクノロジー ポートフォリオと、その基盤となる製造プロセスに合わせて特別に調整されています。また、Google Cloud の LCA 手法は Fraunhofer IZM によって厳密に審査されており、完全性、正確性、業界標準への準拠が保証されています。そのため、さまざまな種類のデータセンター ハードウェアの製造に伴う排出量について、フリートを構成する最小のコンポーネントに至るまで正確に把握することができます。

業界を牽引

Google は、サプライ チェーン パートナー、学術界のリーダー、同業他社と緊密に協力することで、高度に構成可能なライフサイクル インベントリ(LCI)モデルの開発を先導しています。この革新的なアプローチにより、一般的な評価を超えた取り組みが可能になり、半導体、ハードディスク ドライブ、PCBA、熱管理ソリューションなどの重要なコンポーネントについて、詳細でカスタマイズされた環境に関する分析の可能性を広げることができます。

比類のない精度を実現するために、Google Cloud はサプライヤーと直接提携して一次データを収集することで、LCA のデータ収集を変革しています。これは、製造工程全体で発生する直接的な流れ(資源やエネルギーの取り込みや消費といった自然環境とのやりとりなど)を把握することを意味します。これらのカスタム LCI は、環境への影響を正確に測定し、ネットゼロへの取り組みを加速させるための強力なツールとなっています。

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図 2. プロセスレベルでの環境とのやりとり

Google は、精度の向上に加え、一貫性のある LCA ガイドラインの策定に向けた共同作業に参加することで、ハードウェア業界での標準化を推進しています。この取り組みは、一次データの収集を容易にし、製品評価における比較可能性を高める製品カテゴリ規則(PCR)の策定を目的としています。このコラボレーションは、確立された ISO 基準を基盤とし、GHG プロトコルと製品の環境フットプリント(PEF)に準拠することで、環境会計の取り組みの正確性と透明性を高めることを目指しています。

最近の LCA 調査では、Google の Tensor Processing Unit(TPU)について、ライフサイクル全体にわたる環境への影響を評価しました。その結果、新しい指標であるコンピューティング二酸化炭素排出原単位(CCI)を導入したことで、2 世代にわたって、効率的な TPU ハードウェア設計が AI ワークロードの炭素効率を 3 倍向上させたことが明らかになりました。エコシステム全体におけるハードウェアの温室効果ガス排出量を把握し、削減するためには、このような LCA 調査が不可欠です。

LCA の進歩

Google は、情報に基づく行動が不可欠であると考えています。そのためには正確な測定をできる基盤が必要です。LCA の進歩と、グローバル コミュニティ内でのコラボレーションの促進を通じて、より復元力のある未来に向けた有意義で測定可能な進歩を推進していきます。

詳しくは、こちらのリソースをご覧ください。


1. 上流のサプライ チェーン活動も、Cradle to Gate(原材料調達から⽣産まで)またはスコープ 3 として定義されます。

-クラウド環境および社会的責任担当プログラム マネージャー Malcolm Hegeman
-カーボン フットプリント チーム責任者 Stephan Benecke

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