Google Earth Engine イニシアチブの拡充: サステナブルな変革をパートナーが支援
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2023 年 4 月 19 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
政府や企業各社は、この地球における暮らし方を変革するためにかつてない取り組みを行っています。これらの組織は、サステナビリティを原動力としてビジネス変革を推進するような気候対策技術に投資したいと考えていますが、そうした計画を立てるのに必要なデータや分析情報が往々にして足りていない、というのが現状です。Google は、お客様がデータを有効活用し、組織運営において脱炭素化を図り、気候へのリスクを軽減できるよう、各種プロダクトやソリューションの開発に取り組んでいます。さらに、こうしたプロダクトの利用を促進するために、パートナーのエコシステムを育み、Google の技術の強化を図ると同時に、これを導入しやすい仕組みづくりに努めています。具体的には、Partner Advantage の枠組みの中で、サステナビリティの専門知識を紹介するプログラムを確立しています。
2022 年、Google は Google Cloud Ready - Sustainability を発表しました。これは、パートナーから Google Cloud を通じて提供される、サステナビリティの目標達成に役立つビジネス向けソリューションの検証を目的とした新しいプログラムです。こうした検証済みソリューションの中でも特に高い効果を発揮しているのが、地理空間データや、地球の状態をタイムリーかつ正確に把握できるツールです。
この点に着目し、私たちは Google Cloud Partner Advantage の枠組み内で、さらに Google Earth Engine イニシアチブを立ち上げました。このプログラムは、地理空間分野に強く、Earth Engine の機能を拡充するデータ豊富なソリューションを提供しているパートナーの協力を得て、Earth Engine の採用を推進することを目的としています。これにより、企業各社は Earth Engine が提供する実際の観測データ ライブラリを活用して分析情報を取得し、ポジティブな変化を実現することが可能となります。
Google Earth Engine イニシアチブのエコシステムは、開始から 1 年で 30 社以上の熟練したパートナーを擁するまでに成長し、組織運営の意思決定に Earth Engine の分析情報を参考にする企業や政府が増え続ける現在、そうしたニーズに応える十分な基盤を提供しています。これらの組織が、商品の原料調達において責任を持ち、天然資源を管理し、気候へのリスクを低減し、そして、組織運営が環境に及ぼす影響について明確に説明できるようにするために、Earth Engine の専門知識を持つパートナー各社は非常に重要な役割を果たしています。サステナビリティおよび気候という重要課題に立ち向かう組織は、Earth Engine エコシステムの知識豊富なパートナーの支援を受けながら、気候対策を計画から実際の行動へと移すことができます。
成長し続ける Earth Engine パートナー エコシステム
Google Earth Engine イニシアチブは、Earth Engine に関する専門知識を有し、科学的モデリング、地理空間分析、ソリューション開発、システム統合などを手がけるパートナーから成るパワフルなエコシステムであり、これらのパートナーと企業各社を結びつけることを狙いとしています。Google 率いるこのエコシステムに参加するパートナーは増え続けていて、企業各社はその充実した分析情報を利用することで、サステナビリティおよび気候に関する重要課題、たとえば、森林破壊防止、水の管理、サステナブルな土地の利用などについて詳しく把握し、対処することができます。
最初に Google Earth Engine イニシアチブの戦略的パートナーとして参加したのは、Climate Engine と NGIS の 2 社でした。
NGIS の GIS 分析および開発チームは、衛星画像のほか、Google Cloud、BigQuery、Google Earth Engine の処理能力を活用しています。同社は、これらのプロダクトを用いて Tracemark というサステナブル ソリューション プラットフォームを開発しました。これは、世界全体の森林破壊のモニタリングや、原料調達におけるトレーサビリティおよび透明性の実現を可能にするものです。
「Google Cloud やそのパートナーとともに、企業がサプライ チェーンの全工程でサステナブルな手法を実践し、説明責任を果たすための支援ができることを大変嬉しく思います。Google Earth Engine 独自の地理空間技術のおかげで、グローバルな視点でこのような取り組みを推進し、リーダー企業およびそのサプライヤーがかつてない方法で環境への負荷を可視化、制御することが可能になりました」と、NGIS のエグゼクティブ ディレクターである Nathan Eaton 氏はコメントしています。
Climate Engine は、Google Earth Engine やその他のエコシステム パートナーからのデータを活用して、水の使用量、農業、暴風雨リスク、山火事拡大など、気候変動関連のリスク計画の改善を支援します。具体的には、金融資産および企業経営と環境との相関が示され、企業は、環境リスクが市場に与える影響を把握し、排出量を削減できる可能性や、気候現象によってサプライ チェーンや業務が妨げられる潜在的リスクを調査できるようになります。
Climate Engine の CEO である Jamie Herring 博士は次のように話します。「この惑星は、前代未聞のスピードで変化し続けています。サステナブルな未来を築けるかどうかは、私たちがこうした変化を理解、予測し、それに対処できるかどうかにかかっています」「Google Cloud のずば抜けたコンピューティング キャパシティと Earth Engine の地理空間データによって、当社所有の豊富な地球データの威力が引き出され、企業や政府に具体策という形で示すことが可能になりました」。
これらの 2 社に加え、現在ではさらに多くのパートナーがプログラムに参加しています。地理空間およびロケーション インテリジェンスの分野で長年の実績を持つ Woolpert もそうしたパートナーの一つで、Earth Engine を環境分析情報で強化するソリューションやサービスを提供しています。
Woolpert Digital Innovations は、ロケーション ベースの超一流テクノロジーおよびクラウド ソリューションを世界中の顧客に提供しています。地理空間の分野を 50 年以上にわたりリードしてきた実績を持つ同社は、Google パートナーとして受賞歴もあり、10 年近くにわたり最新のテクノロジー、プロダクト、ソリューション、サービスを開発するなどの功績を残しています。
Woolpert Digital Solutions のソリューション サイエンティストである George Azzari 氏は次のように話します。「Google Earth Engine は、約 10 年にわたり、世界の変革につながるブレイクスルーを起こしてきました。商用利用が可能となった今、その地球規模の高解像度情報を処理する独自技術は、さまざまな市場で応用可能です。たとえば、私たちは、自社が手がける農業、税務、土地管理、不動産などの分野で、新たな利用方法を見出しています」「Google Earth Engine は柔軟性が高く、幅広い市場に適応し、多様なユーザーにとって利用しやすいものです。当社のサイエンティストおよびアナリストは、シームレスに連携しながらコードを記述し、最終結果をアプリ内で意思決定者に共有して、簡単にアクセスできるようにしています。今後も Google Earth Engine の動向から目が離せません。この先 1 年間も、そのたゆみない成長とポジティブな変化を楽しみにしています」。
Google Earth Engine の技術をサステナビリティの取り組みに活用することにご興味をおもちでしたら、Partners ディレクトリで Earth Engine パートナーを検索するか、Google Cloud 担当者までお問い合わせください。