Google Cloud、公共機関の気候変動レジリエンス向上を支援する新しいサステナビリティ サービスを開始
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2022 年 6 月 24 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
行政機関は気候変動を迅速に把握し対応するうえで重要な役割を果たします。しかし、迅速に対応するための行動につながる分析情報が欠けていることが多々あります。この問題を解決するために、Google Cloud は組織が地球観測データを利用して気候リスクをよりよく把握し、適応戦略のポリシーに活用する情報を得ることのできる新しいサービスを導入しました。データドリブンな分析情報があれば、公共機関や研究者は気候災害への迅速な対応や、正確な予測、自信をもって災害対応計画をたてることが可能です。これらの Climate Insights for natural resources と Climate Insights for infrastructure のサービスは、すでに公共機関に大きなインパクトを与え、土地やインフラの管理、都市・地域計画など、多数のユースケースで使用されています。
Climate Insights の概要
Climate Insights は、Google Cloud 上で動作する Google Earth Engine(GEE)のスケールとパワーを活用し、Google BigQuery と Vertex AI を使用した地理空間分析を人工知能(AI) / 機械学習(ML)の機能と組み合わせたものです。気候研究者は、GEE から数ペタバイト規模の衛星画像および惑星規模の分析機能をもつ地図空間データセットのカタログにアクセスすることができます。地球観測やリモートセンシングの科学者は、Climate Insights を使って異なるソースからデータを標準化して集計し、迅速にデータを分析して、結果を簡単に可視化することができます。
Climate Insights for natural resources
Climate Insights for natural resources は、地理空間データを明らかにすることで、世界中の公的機関のリーダーたちによる、コミュニティや経済に大きな影響を及ぼす酷暑、山火事、洪水、干ばつのリスク管理をサポートします。また、GEE の、40 年にわたる 900 以上ものオープン データセットのデータカタログと Climate Engine の専門性を利用して、各局や機関が API 経由で事前構築済みの地球観測情報を取り込み、処理、配信して、意思決定につなげることのできる効率的な方法を提供します。
たとえば、カナダ天然資源省(NRCan)は、環境変化を大規模に追跡するための衛星データの処理に GEE を使用しています。NRCan の研究者である Richard Fernandes 博士はリアルタイムでカスタマイズ可能な葉量密度マップを作成できる LEAF Toolbox に、GEE を使用しています。現在、カナダ農務省が、地域経済や世界の食物共有に影響する農作物の生育状況を把握するために LEAF toolbox を使用することを検討しています。さらに、NRCan は現在、研究を加速させるツールを科学者に提供する Climate Insights の試験運用を行っています。
Fernandes 博士は次のように話します。「科学者たちは、Google Cloud との戦略的パートナーシップを通じて、地球観測データの価値を高めることのできる最先端のクラウド技術を活用しています」「この次世代ジオソリューションは、大量の地球規模データを行動につながる分析情報に変換して、カナダの経済・環境パフォーマンスを向上させる、根拠に基づいた意思決定を支援することができます」。
Climate Insights for infrastructure
インフラストラクチャを管理する組織にとって、ビルド環境に対する気候リスクを理解、予測することは、簡単なことではありません。気候リスクに関する最新の知見が必要なだけでなく、現在の気候データをインフラストラクチャ データと結びつけて、リスクを評価し投資に優先順位をつける必要があります。公共機関は、膨大な量のデータを地理情報システム(GIS)に保存しています。Climate Insights for infrastructure は、統合ソリューションを通じてそのデータへのアクセス、分析、共有を容易にします。プランナー、ポリシー アナリスト、運営スタッフ、上級幹部は、GEE、Google Cloud、CARTO の上に構築されたインサイトを活用して、直観的で簡単に使用できる位置情報プラットフォームを通じてデータにアクセスし、意思決定を行うことができます。
ハワイ州運輸局(HDOT)は、2,500 マイルの高速道路を管理しており、そのうち 20% は浸食や海面上昇のリスクに直面しています。HDOT は、Climate Insights for infrastructure を利用して、複数の気候要因、状況評価、地域への影響などに基づいてリスクを評価し、投資決定の優先順位をつけています。
HDOT 高速道路担当副局長の Ed Sniffen 氏は次のように話します。「私たちの目標は、公共機関、国、市町村にまたがって情報を収集・共有できる共通のデータドリブン プラットフォームをもつことです」「これによって局内での協力や地域でのつながりが強くなり、より多くの公益を得ることが可能です」。
業界で最もクリーンなクラウド上で運用
Google は、業界で最も地球環境に優しいクラウドを運用することで、皆様の、デジタル アプリケーションとインフラストラクチャの脱炭素化、そして最も意欲的なサステナビリティ目標の達成に向けた第一歩を支援します。Google は、世界中のすべてのキャンパス、クラウド リージョン、オフィスにおいて、2030 年までに 24 時間 365 日のカーボンフリー エネルギー(24/7 CFE)で事業を運用することを目標にしています。
Climate Insights と Google の公的機関向けソリューションについて詳しく知りたい方は、Google Cloud Sustainability Summit に登録もしくはチームにお問い合わせください。こちらをクリックして、Google Cloud のサステナビリティの詳細をご確認ください。
- 米国州政府、地方自治体およびカナダ公共部門マネージング ディレクター Brent Mitchell
- 気候変動対策担当戦略ビジネス エグゼクティブ Franco Amalfi