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PicnicHealth が Google Workspace と Google Cloud を活用して医療に革新をもたらした方法

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※この投稿は米国時間 2022 年 7 月 26 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

米国の細分化された医療現場では、患者が自分の既往歴を調べるために、順番待ちや電話の保留、複数の患者ポータルの閲覧、多数のリクエスト フォームへの記入を余儀なくされることがよくあります。医療テクノロジーのスタートアップである PicnicHealth は、本来、管理するべき患者が管理することを目標として取り組んでいます。

ベンチャー時代の成功から機械学習(ML)コンテストでの優勝まで、PicnicHealth の成長は、医療における改善点とその機会だけでなく、スタートアップが Google Workspace と Google Cloud サービスをどのように活用して勢いを加速しているかを示しています。

同社は、医療専門家からなる抽出チームとともに、記録の収集という手間のかかる作業を行い、人間参加型 ML を活用して文字に変換し検証しています。その後、記録はすべて揃った既往歴として構造化され、患者はこれにアクセスしてプロバイダと共有することで、よりよい治療が受けられます。

しかし、PicnicHealth による患者の健康促進に対する貢献はそれだけにとどまりません。患者が自身のデータを、個人を特定せずに行われる医学研究に提供することで、研究者やライフ サイエンス企業が、実際の病気の進行や治療について理解を深めるために活用できる、高品質で匿名化されたデータセットを構築できるのです。

Google Workspace は当初から PicnicHealth の取り組みに加わり、クラウドで同期されたドキュメントやスプレッドシートを使用してコラボレーションを行い、創設者が描く会社のビジョンの実現を支援しています。「私は、2006 年から Gmail アカウントを持っていて、大学では 100% の人が Google ドキュメントで作業をしていました。Workspace はオンラインでコラボレーションを行うのに最適な選択肢であり続け、それが今でもスタートアップにとってデフォルトの標準である理由です。PicnicHealth を立ち上げたとき、共同創業者の Noga Leviner はサンフランシスコに、私は南カリフォルニアにいましたが、言うまでもなく Workspace を使用しました」と PicnicHealth の共同創設者兼 CTO である Troy Astorino 氏は述べています。

Google Workspace は現在もなお、同社のコラボレーションにおいて中心的な役割を担っています。Astorino 氏は続けます。「主にエンジニアリングや製品の変更に必要な設計ドキュメントを Google ドキュメントで作成し、コメントを使用して実に健全で活発な議論を行います。この日常的な取り組みはエンジニアリングの枠を超え、会社の運営方法からコミュニケーション規範に至るまですべてに活用されています。」

Google Workspace は、従業員がどこにいても、チームがコラボレーションするために必要なすべてを提供しています。PicnicHealth のチームは、サンフランシスコから全米、そして世界中に広がっているため、即座にコラボレーションできることは非常に重要なことです。

Astorino 氏はこう述べています。「私たちは、人々が適切な判断を下すために多くの情報を必要とする複雑な分野で仕事をしています。Google Workspace は、デフォルトの透過モードで動作させることができ、意図的または直接的に共有されていない場合でも、必要な情報を簡単に入手できます。Google ドキュメントでの作業も、カレンダーでのスケジュール設定も、他の方法よりもはるかに効率的に行うことができます。」

それにしても、PicnicHealth の成功の軌跡は記録的なものです。このスタートアップは、有名な Airbnb、DoorDash、Dropbox などの立ち上げを支援したプログラムである Y Combinator の 2014 年度の卒業生です。その 3 年後、チームは Google の機械学習コンテストで 100 万ドルの大賞を獲得しました。そして、その勢いはとどまるところを知らず、つい先日 PicnicHealth は投資ラウンドにおいてシリーズ C を発表し 6,000 万ドルを調達したことで、現在までの調達額は 1 億ドルを超えました。シリーズ C で調達した資金をもとに、PicnicHealth は、30 以上の疾患にわたる、より多くの患者へのリーチを拡大するために投資を行っています。

医療スタートアップとして PicnicHealth は、特にデータを扱う際やアクセスする際に発生する、非常に特殊な課題に直面していました。データの断片化や相互運用性は、クラウドにおけるビッグデータの価値を実現するための課題の一部にすぎません。医療業界には、医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(HIPAA)のような機密データの保護に関連する法律や規制があるため、取り扱いが難しいことで有名です。

PicnicHealth は、アマゾン ウェブ サービス(AWS)上のクラウドでスタートしました。しかし、Kubernetes に移行し、HIPAA コンプライアンスに関する要件のリストが拡大したため、同社は代替手段を検討し始めました。

「HIPAA コンプライアンスを確保する必要がありましたが、AWS ではとても手間のかかる作業でした。また、自社で Kubernetes クラスタを管理、運用することから開放されたかったのです」と Astorino 氏は振り返ります。「GKE(Google Kubernetes Engine)の良い評判を耳にしていました。そして、PicnicHealth にとって特に重要だったのは、HIPAA コンプライアンスに必要な多くの技術要件が、Google Cloud ではデフォルトで構成されていることでした。」

PicnicHealth は、既存の構成を機能させるために、多くの変更を実装し、特別なインスタンス タイプを取得する必要がありました。そこで、Google Cloud でテストを開始し、操作性が向上することを理解しました。

Astorino 氏はこう述べています。「製品の設定やデベロッパー エクスペリエンスに関する管理が非常に楽になりました。Google Cloud を通じてアクセスして使用できるリソースと、IAM(Identity and Access Management)の連携から、権限を付与するための Google グループの使用におけるリソース間の関係性に関する健全な製品階層があるのです。全体的に見て、よりクリーンです。」

Astorino 氏は、Google Cloud への移行によって、Cloud SQLBigQueryCloud Composer など、Google Cloud のエコシステムでの他のサービスを活用する機会も得られたと付け加えています。また、PicnicHealth は Security Command Center も使用しています。なぜなら、Security Command Center を使用することで、あらゆるサービスと簡単に統合できることに加え、さまざまなコンプライアンス フレームワークに関する要件への対応をサポートし、可視化、ほぼリアルタイムのアセットの検出、セキュリティ情報およびイベント管理が提供されているからです。

しかし、最も重要なことは、統合されたエコシステムにより、従業員に必要なすべてのツールを提供しつつ、機密性の高い医療記録を扱う際に使用するセキュアな環境を作るために PicnicHealth が行う作業が簡素化されたことです。例えば、抄録者は Google Workspace を使うだけでなく、管理がしやすく安全性が高いという理由で Chromebook も所有しています。

つまり、Google Cloud では、スタートアップが 1 億を超えるラベル付き医療データのコンセプトを含む大規模なラベル付きデータセットの構築を実現するための、テクノロジー スタックの形成をサポートしています。こうして Google Cloud は、高性能な AI モデルを生成して、他の ML パイプラインにフィードする PicnicHealth の能力を加速させ、大規模なデータの処理と確認に不可欠なものとなっています。

Google Workspace と Google Cloud が PicnicHealth のようなスタートアップの取り組みをどのように加速させたかについて詳しくは、Google WorkspaceGoogle Cloud のスタートアップ向けソリューションのページをご覧ください。

- Google Cloud、テクノロジーおよびスタートアップ担当プロダクト マーケティング マネージャー Avi Negrin