プライド月間: Castro Labs、クィア コミュニティのために、楽しく、安全で、インクルーシブなプラットフォームを構築
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2023 年 6 月 13 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
編集者注: 6 月はプライド月間です。LGBTQ+ コミュニティの多様な経験や視点、アイデンティティを共に祝い、サポートする時期です。今月は、LGBTQ+ の創業者が率いるスタートアップが Google Cloud を使ってどのようにビジネスを成長させているか、Google Cloud のスタートアップ マーケティング マネージャー Chris Curtis が紹介します。本記事では、Castro Labs と、新しいプラットフォームの Bent に焦点を当てます。Bent は、クィア コミュニティが集まり、発展していくためのプラットフォームです。
Castro Labs のチームにとって、LGBTQ+ のアイデンティティとテクノロジー業界でのキャリアの両立は、なじみがある経験です。クィア コミュニティでの経験と同じように、テクノロジーも人生の一部となっています。
Castro Labs の創業者であり CEO の Jeff Kanter 氏は、Facebook で初期のプロダクト リーダーを務めた経験や、その後の Instagram での経験を引き合いに出し、次のように話します。「私は常に、人と人をつなぐ力に情熱を注いできました。しかし、自分も知っていて、大好きで、所属しているコミュニティの問題にもソリューションを作りたかったのです。」その結果、Castro Labs を設立して次世代の LGBTQ+ テクノロジーを構築し、LGBTQ+ の人々が無視されるのではなく、安全で、大切にされ、必要とされていると感じることができるようにすることを使命としました。
2022 年、Kanter 氏は、Castro Labs の設立を発表しました。エンジニアリング責任者である David Ressler 氏、コミュニティ、マーケティングおよびポリシー責任者の Jeffrey Gerson 氏にとって、入社を決心するのは簡単でした。「Jeff からクィア コミュニティのためにすべての人に公平なプロダクトを作る手伝いをしてほしいと頼まれたとき、断ることができませんでした」と Ressler 氏は言います。
クィア コミュニティを主催したり参加したりする人にとっての安全な場所を作るには
Castro Labs の代表的なプロダクトは、Bent と呼ばれる、クィア コミュニティが集まって発展していくのを支援するプラットフォームです。詳細はこちらで確認できます。Jeffrey Gerson 氏は次のように話します。「調査で聞いた非常に大きな問題は、クィアの出会い系アプリはたくさんあるのに、クィアの友人を作るのは本当に難しいということでした。このことがきっかけで、当社は、人々が自分の興味にあったクィア コミュニティを主催したり参加したりするため、安全で、充実した場所となり得るクィア ファーストなポリシーを持つプラットフォームを作ることにしました。」
クィア コミュニティの結集を促すには
Castro Labs チームにとって、プラットフォーム上でコミュニティが生まれるのを見るときほど感動することはありません。Gerson 氏は次のように言います。「パンデミックの中で誕生したクィアのデジタル コミュニティである Club Quarantine では、人々のつながりを保つためにオンラインのパーティを開催しており、当社はそれをとても気に入っています。」Queer Surf は、クィアのプロサーファーである Kyla Langen 氏が率いる、このプラットフォーム上の別のエキサイティングなコミュニティです。「Queer Surf では、最近 Bent を使って、100 人を超えるクィアの人々を受け入れたサーフキャンプをうまく統率し、サーフィンをしたり、海洋科学について学んだりすることで、海とのつながりを深め、身近に感じてもらうことができました」と Gerson 氏は言います。
Castro Labs は、あらゆるクィアとテクノロジーが交わる文化も誇りにしています。たとえば、Ressler 氏は、数年前、学生のときに初めて参加したクィアの人々を対象にしたリクルート イベントのスポンサーを最近務めました。「たくさんの素晴らしい人たちとつながることができ、実際にそのイベントで知り合った人をチームにも採用しました。このような場所に訪れる多くの企業は、たいていはクィアの社員を採用しようとする大規模組織です。しかし、当社はクィアの問題を解決しようとする数少ないクィア企業の一つです」と Ressler 氏は言います。同社は、現在サンフランシスコとニューヨークの 2 都市にチームがあり、小規模でありながら鋭敏に活動しています。(『Michelle、Noah、V、Joe に感謝の意を表します。Castro Labs でのすべての決断を後押し、手を差し伸べて新しい視点を必ず授けてくれます。』)
大きな組織からスタートアップ立ち上げへの変化における課題
Castro Labs チームは、幅広い層に向けてソリューションを開発するという考え方から、より絞ったターゲット層に響く特定の問題に焦点をあてるという考え方への転換も必要でした。Gerson 氏は次のように話します。「元々、クィアの出会いを求めるアプリも作っていたのですが、多くの人と話すうちに、クィアの友人づくりやクィアのコミュニティに対して大きなニーズがあることがわかりました。」それで、チームは Bent の開発へと軸足をおくことにしました。「スタートアップとして直面したもうひとつの課題は、アジャイルで迅速に進化することを維持しながら、プロセスや仕組みづくりを構築しようとしたことでした。当社が成長し、進化するにつれて、約 3~4 か月毎にプロセスが変わりますが、これは成長の良い兆しです」と Gerson 氏は言います。
Google Cloud を活用してビジネスを強化
Ressler 氏は、Google で以前働いていたので、Castro Labs はすでに Google Cloud の潜在的な力をよく理解していました。「Google Cloud は、当社のプロダクト、特に Bent におけるバックエンドのインフラストラクチャの大部分を支えています」と Ressler 氏は言います。Castro Labs は、サーバーレスのインフラストラクチャの構築とデプロイに Cloud Run、アプリケーション データの保存に Cloud SQL、自社の CDN をホストするのに Cloud Storage と Cloud Load Balancing、データ分析やダッシュボード、レポート機能に BigQuery と Looker Studio を使用しています。「顧客 ID やアクセス管理に Identity Platform を、モバイル アプリケーションの開発をスムーズにするために Firebase Remote Config なども使用しています」と Ressler 氏は説明します。
Castro Labs は Google for Startups クラウド プログラムに参加しており、Google クレジットを利用することができました。「Google クレジットからの資金支援によって、予算をあまり気にせず、イノベーションに集中して取り組むことができます」と Kanter 氏は説明します。Google for Startups クラウド プログラムによって、Castro Labs は Google Cloud のプレミア パートナーである SADA も利用できます。Ressler 氏は次のように話します。「現在、当社は小さなスタートアップであり、さまざまなアイデアを検証してくれたり、インフラストラクチャの見直しをしてくれたりと助かっています。」最近、チームではメディアのアップロードや、画像と動画の処理について、緊急の質問がありました。「SADA は、当社のニーズに対して、どの Google Cloud プロダクトが最適なのかすぐにアドバイスしてくれました。SADA と Google Cloud チームとの間で、テクノロジーを構築するために必要なサポートを受けることができます」と Ressler 氏は話します。
Google Cloud のもうひとつの素晴らしい強みは、Castro Labs チームが戦略を具体化して必要なときに調整できる柔軟性にあると Kanter 氏は言います。「たくさんの不確定要素を取り除き、クィア コミュニティの人々のために解決しようとしている問題に専念できるようになりました。当社は、今の局面で極めて高い集中力を発揮しなければなりません。Google Cloud を利用することで、エンドユーザーのための構築に集中できます」と Kanter 氏は話します。
クィアの起業家へのアドバイス
Gerson 氏と Ressler 氏は、以前は Instagram で世界的なプライドへの取り組みを主導していました。2 人だけでなく Castro Labs チームの他のメンバーも、過去に働いていた企業でクィア コミュニティの問題解決に向けて取り組むことにやりがいを感じていましたが、競合するビジネスの優先事項を考えると、リソースをすべて注ぐことができませんでした。しかし、それ以上に重視するのは、同性愛者の起業家が自分たちの思い込みを疑い、特権を自覚しながら作る必要性があることだと、Gerson 氏は呼びかけています。「当社は、作ってあげるのではなく、一緒に作ることを大切にしています。それを責任を持って行うには、できるだけ多くの人と話してパートナーとなることで、彼らの経験を取り入れながら一緒に取り組んでもらう必要があります。常に自分たちの思い込みにとらわれず、相手が必要なソリューションを導くために、当社を活用してもらうことを目指しています。」
さらに、Gerson 氏は、起業の道のりで、反対意見への対応の重要性を強調しています。「クィアの起業家が準備しておくべき極めて重要なことは、投資家が『小さすぎる』と思うかもしれない対象グループが急成長し続けており、その可能性と構築のチャンスが広がっていることを、投資家に明確に伝えることです」と Gerson 氏は言います。Gerson 氏は、LGBTQ+ の最大市場規模が増加を続けていると強気の姿勢を保っており、次のように話します。「最近の Gallup survey の調査では、Z 世代のうち、5 人に 1 人が LGBTQ+ であると認識していることがわかりました。この数は、わずか 4 年で倍増しました。これを消費者がニッチなコミュニティ プラットフォームを受け入れているというトレンドと組み合わせることで、当社は顧客を増やすのに、最適な場所にいると考えています。そして、Google Cloud と SADA のようなパートナーの支えによって、人々が集まり、活気づくことができるコミュニティの開催や参加を支援することを楽しみにしています。」
Google Cloud がスタートアップをサポートする方法については、こちらのページでプログラムの詳細をご確認ください。また、こちらから更新情報の配信にご登録いただいた方には、コミュニティ活動、デジタル イベント、スペシャル オファーなどの情報をお届けします。
- スタートアップ マーケティング マネージャー Chris Curtis