リテール

小売業者が従来のセグメンテーションを使用した手法を進化させるための 5 つの方法

※この投稿は米国時間 2022 年 6 月 3 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

マーケティング担当者は長い間、データを使用して行動を予測し、パーソナライズを促進するための方法を考案してきました。一般的には、顧客セグメンテーションやトランザクションの購入データを活用して、属性に基づいて商品やエクスペリエンスをおすすめする方法があります(「この商品を買った人はこんな商品も買っています」、「最近チェックした商品」など)。この投稿では、こうした方法がカスタマー エクスペリエンスの向上およびパーソナライズの手段として適切かどうか、小売業者にとってより優れた方法がないかを考察します。

特に e コマースの動向が過去 2 年間で変化したことで、消費者は現在さまざまな方法でブランドと接触し、取引を行っています。現在の環境における混乱に対処している小売業者の多くは、まったく情報のない新規顧客や、カテゴリ間やカテゴリ内で買い物の仕方を変える既存顧客に対応することを迫られています。そのため、毎日がブラック フライデーのような状況を呈しています。小売業者は、資金を賢く使って新規顧客の獲得を行う必要があります。獲得には維持よりコストがかかることが多いため、インテリジェントな方法を組み合わせてライフタイム ロイヤルティを構築しなければなりません。小売業者は、デジタル エクスペリエンスの次世代を見据え、カスタマー ジャーニーがどのように変化したかを理解したうえで、パーソナライズをさらに進め、より多くの共感をそのプロセスに込める必要があるのです。

これが、先ごろ開催された eMarketer Tech-Talk でのメイントピックとなりました。Google Cloud パートナーであるテック企業 3 社から先見性のある創設者(Bluecore 共同創設者兼 CEO Fayez Mohamood 氏、Lytics 共同創設者兼 CEO James McDermott 氏、Quantum Metric 創設者兼 CEO Mario Ciabarra 氏)を迎え、この点について議論しました。3 社とも、小売業者によるデータの有効活用を支援することに注力しています。司会は、Google Cloud で小売および消費ソリューション部門バイス プレジデントを務める Carrie Tharp が担当しました。以下に、重要なポイントを 5 つご紹介します。

1. 顧客のセグメンテーションと属性にとらわれずに考える。最も重要なことは、データとテクノロジーを使用して、現在進行しているカスタマー エクスペリエンスの変革を推進することです。Bluecore の Mohamood 氏は「顧客は直線的に行動しているわけではなく、マイクロ モーメントを生きています」と述べます。顧客は複数のタッチポイントでブランドと接触しています。小売業者はこれを理解し、その瞬間を捉え、パーソナライズやおすすめを通じて顧客を引きつける必要があるのです。これは AI を活用した小売マーケティング プラットフォームである Bluecore が取り組んでいる主要分野です。同社は、小売業者があらゆるデジタル チャネルで商品カタログと顧客データを有効活用することで、リピート購入の促進と収益の向上に注力できるよう支援しています。さらに、Tharp は「顧客のセグメンテーションと属性を重視する従来の考え方をやめる必要があります」と付け加えました。ブランドとの接触方法によって顧客の目的が大きく変化するということを認識する必要があります。

2. データを民主化して、カスタマー エクスペリエンスを設計している担当者がリアルタイムでデータを利用できるようにする。クラウドベースのカスタマー データ プラットフォーム(CDP)が登場したことで、小売業者は顧客の意図や興味に関連するさまざまなタイプのインテリジェンスを使用して、顧客プロファイルを迅速に作成し、それに基づいて行動できるようになりました。Lytics の McDermott 氏は「顧客プロファイルは、顧客のリアルタイムの行動を注視して理解するための出発点となります。しかし、プロファイルの作成は最終目標ではありません。そのデータを使用してどのように行動し、カスタマー エクスペリエンスを向上させるかが重要なのです」と述べています。McDermott 氏が共同設立した Lytics では、データと行動のギャップを埋めたいというニーズが市場にあることを発見し、行動およびインテント ベースの分析に注力しています。McDermott 氏は、取り組みの開始にあたり、説明用のユースケースを使用して、目標を想定しておくことを推奨しています。

これは簡単なことではありません。ここでの難問は、どのデータに価値があり、それをどのように使用すべきかを判断することです。幸いなことに、CDP では、データ サイエンティストがより多くのデータにアクセスできるようになっています。データ サイエンティストはそのデータを使用して、エンゲージメント システムへの転換が可能なモデルを構築しています。社内では、チームが継続的に実験とテストを行い、一連の豊富な仮説を使用して、シグナルの優先順位付けの方法と、実際にインタラクションの向上に貢献しているエクスペリエンスの判別方法を見極めようとします。しかし、Mohamood 氏は次のように見ています。「これはパズルのピースの一つにすぎません。データ サイエンティストは、ウェブサイトであれ、メールや SMS であれ、各チャネルのカスタマー エクスペリエンスを実際に構築するわけではないからです。私たちは、試行と学習のためにデータをリアルタイムで必要としているマーケティング担当者やビジネス ユーザーのために、データを民主化する必要があります。」

3. 人工知能(AI)を活用して、行動と在庫の変化を予測する。Mohamood 氏によれば、豊富な商品データや商品属性は、顧客データと同じくらい重要です。「買い物客が変われば、データが変わり、在庫も変わります。それによって、またデータが変わるのです。チームはそうしたシグナルに機敏に反応しなければなりません。」そこで役立つのが、人間の洞察と介入によって補強された AI です。

一部の小売業者は常に在庫の配分を変更しているため、在庫を顧客の意図に一致させることができます。そうした小売業者は、コミュニケーションの頻度を変更することなく、メッセージを顧客に合わせて調整することで、リピート購入率を向上させています。Quantum Metric の Ciabarra 氏は、変化への迅速な反応を可能にする AI の重要性についても語りました。「突拍子もない話に聞こえるかもしれませんが、リアルタイムとは、文字通りリアルタイムを意味します。非常に複雑なデータに対して問いを投げかけ、答えを取り出し、その分析をプロダクトに組み込めるようにすれば、AI と ML を最大限に活用できると考えています。」Quantum Metric の継続的なプロダクト設計の重点は、チームが迅速にイテレーションを行い、顧客が真に必要としているプロダクトを提供できるように、分析をデジタル プロダクトの設計プロセス全体に組み込むことにあります。

Tharp はそれに加えて、多くの小売業者が自社サイトにマーケットプレイス機能を追加し、静的な在庫レベルから「広範なエンドレス アイル」へと進化させていることを指摘しています。しかし、そうした小売業者は、マーケティング、分析、デジタルの各チームを含む全体に適した運用モデルを見つけるのに苦労しています。小売業者は、パーソナライズやデータに関連する自社の運用モデルについてどのように考えればよいのでしょうか。

4. 顧客データと共感の間のつながりを構築する。簡単に言うと、運用モデルでは、関連するすべてのインタラクションの完全なつながりをサポートする必要があります。たとえば、過去の購入データを、インテント データ、閲覧データ、モバイルアプリ データに結びつけます。そのためには、複数のデータセットを統合して、よりパフォーマンスの高いパーソナライズを運用できるようにするための機能が必要です。McDermott 氏によれば、クラウド データ ウェアハウスでアーキテクチャがさらに簡素化および一元化されたことで、技術スタックが顧客に合わせて調整されるようになっています。明らかな傾向の一つとして、CDP が顧客データの中央リポジトリとなり、AI と機械学習を使用してより多くのインテリジェンスが組み込まれるようになってきたことが挙げられます。

主な目標は、小売業者が顧客の選択プロセスや購入手続きでの行動をリアルタイムで把握できるようにすることで、顧客との 1 対 1 のつながりを増やすことです。Ciabarra 氏は次のように述べています。「私は『定量化された共感』という言葉を好んで使っているのですが、私たちに求められているのは、このレベルの共感です。店舗ではこのような 1 対 1 のつながりがありますが、オンラインの場合、1 人のマーケティング担当者が百万人の顧客とつながる可能性があります。組織全体でリアルタイムの可視性を獲得して、従業員がその情報を利用し、それに基づいて行動できるようにするには、全員が共通の見解を持つ必要があるのです。」

5. 組織を変革してサイロを解消する。現在、ほぼすべての企業が、より顧客中心型のアプローチを重視するようになっています。しかし、そうした企業の大半はその各機能がサイロで分割されている専門チームを中心に構成されており、チームごとに独自の視点や異なる目的が持たれています。「データが組織内の少数の人間だけのものになっている傾向があります」と、Mohamood 氏は言います。組織全体でマーケティング担当者、販売チーム、デジタルチームが共通の見解を持てるようにするには、できれば経営幹部の了承を得たうえで、組織文化を徐々に変革する必要があります。

一部の企業では、マーケティング担当者、データ サイエンティスト、アナリストなど、試行と学習を行うクリエイティブな人員でチームを編成することで、コラボレーションを推進しています。もう一つの前向きな流れとして、マーケティング担当者とデータ サイエンティストは、特に KPI の設計に関して、積極的に財務チームや運用チームと連携しています。これらの人々が協力して、チャネルではなく顧客を重視した指標を設計し、その観点から技術スタックを見直しています。このような考え方は、マーケティング、プロダクト、UX、設計の観点からではなく、顧客の視点からデータを見る方向に進化しています。これにより、データをさらに使いやすい状態で収集できるようになります。

今回の示唆に富む議論からさらに多くの洞察を得たい方は、ぜひウェブセミナーの全編をご視聴ください。また、Google Cloud Marketplace で入手可能な BluecoreLyticsQuantum Metric のソリューションの詳細も合わせてご覧ください。

- Google Cloud 戦略的パートナーシップ担当グローバル責任者 Matt Sullivan
Google Cloud 小売 ISV パートナーシップ リード Scott Duby