Google の Geospatial AI を活用して気候変動レジリエンスに対応

※この投稿は米国時間 2021 年 6 月 8 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

気候が将来どれくらい変化するかは不確実ですが、これまでとは違った様子になることは確かです。異常気象の発生頻度と深刻さが増し、世界で温暖化が続き、気候変動のコストは増大するでしょう。

政府は、このような変化を迅速に把握し対応するうえで重要な役割を果たします。応答時間の改善を実現するには、情報に基づいた意思決定を実現する、地域規模から世界規模までのデータの分析情報が必要になります。この課題は緊急であるだけでなく、「ビッグデータ」に関する世界最大級の問題でもあります。

幸い、地球のモニタリングに役立つ新しいテクノロジーが急増しています。数千機の衛星が地球の何百万もの画像を毎日撮影しています。センサーは温度、降水量、風、土壌の状態などに関するデータを 1 秒ごとに生成します。人類は地球システムについて過去に例を見ないほど多くの情報を保持しています。また、データは増加の一途をたどっています。問題はデータ不足ではなく、このデータから意思決定者が気候変動に取り組むための分析情報を引き出すことです。そのため、Google Cloud は Climate Engine と提携関係にあります。

Climate Engine と Google Cloud で気候変動レジリエンスを高める方法

Climate Engine は科学者主導の企業であり、Google と協力し、（Google Cloud Storage や BigQuery などのツールの機能に加え）Google Earth Engine の世界的な地理空間機能の使用を加速、拡大し、公共部門の気候変動対策を支援しています。Google Earth Engine（GEE）は Google Cloud のインフラストラクチャを利用し、衛星画像や地理空間データセットのペタバイト規模のカタログを惑星規模の分析機能と組み合わせて、科学者、研究者、デベロッパーが地表の変化を検出し、傾向をマッピングして、違いを数値化できるようにします。

クラウドベースのテクノロジーにより、膨大な処理能力を大規模に活用して地球ベースのデータから有益な分析情報を生成できます。こうした分析情報により、気候変動上の課題に取り組む際に、リソースの管理、リスクの把握、変化の予測、災害への対応を改善できます。Geospatial AI は、人工知能（AI）や機械学習（ML）の機能と地理空間分析を組み合わせています。Google Cloud の Geospatial AI ソリューションは、地球ベースのデータを収集、処理して、意思決定コンテキストに提供する一元化されたシステムを各部門や機関に用意します。

Climate Engine と Google Cloud により、専門家たちは時代をさかのぼり、過去数十年間における気候やその他の人的活動の変化が原因で環境がどのように変動したかを確認できます。何年ものデータをわずか数秒で定量的に分析して可視化できるようになりました。それゆえ、政府機関は義務を果たすために、環境の変化、リスクにさらされている物的資産や自然資産、排出量を削減し炭素隔離を増加する機会の所在について有益な分析情報を引き出すことができます。

Nevada System of Higher Education の Desert Research Institute と Western Regional Climate Center の地域気候学者である Daniel McEvoy 博士は、次のように述べています。「これは、政府のあらゆるレベルの公的機関に従事する天然資源管理者や科学者にとって革新的な変化です。」

地理空間気候情報システムのユースケース

このテクノロジーのユースケースは気候問題自体と同じくらい多岐にわたります。たとえば、洪水、山火事、干ばつ、猛暑、強風、その他の危険な気象現象などの異常気象についてのモニタリング、予測、リスク分析が含まれます。また、ユースケースには生態系、病原媒介者、水の利用可能性と水質、土壌の健康状態、生育期、大気汚染などの変化の追跡も含まれます。これらは、公共部門が政府の義務を果たすために Google Cloud と Climate Engine による支援が役立つユースケースの一部の例です。幅広い部門に有用な分析情報を提供し、政府が措置を講じる際に役立つ時間スケールや空間スケールに適用できます。

NASA Western Water Applications Office の Forrest Melton 氏は、次のように語ります。「地球はかつて経験したことのない速さで変化しています。このような変化に対応するには、さまざまな環境的な不確定要素にわたり、地域規模から世界規模までさまざまな地理空間規模で起きている現象を把握する必要があります。現在は、地球に関するこれまで以上に多くのデータにアクセスできるようになっています。大きな課題はデータを行動につながるインサイトに変換し、これらを意思決定システムに迅速に統合することです。Climate Engine と Google Cloud は、革新的な分析ツールを使い、クラウド コンピューティングを効果的に使用してこの問題の解決を支援します。」

気候変動は私たちの現在や将来の安定性と安全を、存続の危機で脅かします。Climate Engine と Google Cloud は、そのリスクに対処し、誰にとってもより安全で回復力のある未来を構築できる革新的テクノロジーを提供するために協力しています。

Google Cloud の環境への取り組みについて詳しくは、こちらやこちらをご覧ください。

-Franco Amalfi、Google Cloud カナダ公共部門戦略ビジネス エグゼクティブ