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Public Sector

行政機関での AI を使った住民エクスペリエンスの向上

2023年6月16日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 6 月 8 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

Google は長年にわたり、州政府や地方自治体と協力して彼らのミッションのニーズに焦点を当てた取り組みを行っています。この取り組みでは、データを活用して住民エクスペリエンスの向上とより利用しやすいデジタル サービスの提供を実現し、行政職員を支援してより効率的な業務遂行を実現しています。人工知能(AI)はこれらのミッションを実現するための中核であり、AI のパイオニアである Google は、長年、責任ある AI の研究に投資してきただけでなく、Google AI と DeepMind を用いて最先端の技術を進化させています。AI は、何十億人もの人々が利用する Google のプロダクトやサービスに組み込まれ、人々に好まれるエクスペリエンスを生み出すために引き続き不可欠な存在です。
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近年の AI の進歩を踏まえると、私はこの進化するテクノロジーが行政機関にもたらす可能性に期待せずにはいられません。どんな技術でも同様ですが、その能力はそれを動かす人間の力によって決まります。AI を通じて、職員だけでなく行政サービスの提供対象である住民のエクスペリエンスも改善していくには、行政機関の各リーダーの果たす役割が重要です。

このトレンド レポートでは、AI による行政サービスのサポート、生産性の向上、より良いコミュニティ支援のためのさまざまな方法を概説しています。以下では、レポートで紹介した AI 事例の詳細と、ジェネレーティブ AI の可能性についてご紹介します。

Google Public Sector は、行政機関での AI の導入に協力してきました。パンデミックのような困難な時期には、行政機関が重要なデジタル サービスに AI を迅速に適用する様子が見られました。たとえば、ニューヨーク州は Contact Center AI(CCAI)を導入してコールセンターの運用をモダナイズし、ワクチンの安全性と有効性に関する最も一般的かつ差し迫った質問への回答をリアルタイムでニューヨーク州民に提供しました。ウィスコンシン州労働力開発局は、予測分析のために Google Cloud AI と ML を導入しました。その結果、失業申請の未処理分が解消され、毎週平均 157,000 件の申請を処理して、2~3 営業日以内にほとんどの支払いを住民に提供できるようになりました。これらのケースでは、AI が行政職員の時間とエネルギーを節約し、他の重要な業務に注力できるよう支援しています。

また AI は、行政サービスをコミュニティでより利用しやすくすることにも貢献しています。ミシガン州ディアボーンでは、人口の半数以上が家庭で英語以外の言語を話しています。アラビア語やスペイン語を話す人たちが自分の住む街について把握し、交流してサービスを活用できるように、市のウェブサイトに AI をデプロイする取り組みを行っています。

データドリブンな分析情報でコミュニティをサポート

行政機関は、より多くの情報に基づいた意思決定を行って最適なコミュニティ サポートを提供できるように、データセットを統合しています。たとえば、オクラホマ州は Google Cloud を採用して、資産、財務状況、住民の行政サービスの利用状況に関する全体像を安全に把握できるようにして、各コミュニティに合わせたサービスを迅速に提供しています。同州では、これまでにデータの提供元と行政機関の間で 23 ペタバイトのデータを統合しており、長期的には 189 の全機関に範囲を拡大する予定です。メンフィス市は、Google Cloud と SpringML(Google Cloud プレミア パートナー)と協力し、AI と ML を使用して道路の陥没の特定と修繕、街区の荒廃状況の判別を行いました。75% の陥没が特定されると予想され、道路、コミュニティ、住民および観光客のエクスペリエンスの改善が見込まれています。

気候変動レジリエンスとサステナビリティの向上

ハワイ州運輸局(HDOT)は、ビッグデータを活用して、気候変動に関するリスクの評価、投資の優先順位付け、住民の保護を行い、気候変動に対するレジリエンス、安全性、公平性に配慮した総合的なアプローチを実施しています。HDOT は、Google Climate Insights for natural resources と Google Climate Insights for infrastructure を導入してデータを収集し、気象災害への対応時間の改善、より正確な予測、より信頼性の高い災害対応計画の実施に役立てています。

ジェネレーティブ AI の可能性

ジェネレーティブ AI は既存のテクノロジーを基に構築されたものです。Google では、ジェネレーティブ AI を活用して、行政機関のお客様が現在行っている業務について、さらに補強できるよう引き続きサポートしていきたいと考えています。Google の大規模言語モデル(LLM)を利用したジェネレーティブ AI を使えば、行政機関のリーダーたちはさまざまなニーズに応えるコンテンツを自動生成できます。

たとえば、ジェネレーティブ AI では、モデル トレーニングのデータサイズと範囲を拡大することで、仮想エージェントが洞察力に富んだ自然な会話をリアルタイムに住民と行えるようになり、有効性を改善することができます。また、情報の抽出や紙ベースの処理の自動化を行い、行政機関の活動に関するサマリーやレポートを自動生成するシステムを構築することもできます。これらのレポートは、透明性とアカウンタビリティの向上や、リソースの最適な分配方法に関する意思決定の改善に役立つでしょう。さらに、ジェネレーティブ AI によりデータのパターンを識別し、傾向を予測して推奨事項を生成することで、業務の効率化を支援することも可能です。

一方で、テクノロジーの急激な進展に伴い、AI をインフラストラクチャや設計に組み込む際に、安全性とセキュリティを考慮することが行政機関にとっても非常に重要になっています。私たちは、Google の AI に関する原則に基づいて、AI へのアプローチは大胆かつ責任あるものでなければならないと考えています。Google Public Sector は、行政機関のパートナーと協力し、強力な責任ある AI 設計の原則を遵守しつつ、データと知的財産の所有権を保護するエンタープライズ クラスの AI サービスを確実に提供できるように努めています。

詳細については、goo.gle/SLG または Google Cloud Skills Boost のジェネレーティブ AI に関する学習パス(無料)をご覧ください。この学習パスでは、大規模言語モデルの基礎から、Google Cloud でジェネレーティブ AI ソリューションを作成してデプロイする方法まで、ジェネレーティブ AI プロダクトとテクノロジーについて解説しています。


- 米国州政府、地方行政機関および教育機関担当バイス プレジデント、Brent Mitchell
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