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Public Sector

景気回復: ウィスコンシン州では、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)以降、地域社会に良好なサービスを提供するために Google Cloud を活用しています。

2021年8月27日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2021 年 8 月 12 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

課題に直面すると、回復力のある組織は、顧客のニーズの変化に対応して変化し、変革します。Google Cloud とのパートナーシップによって、ウィスコンシン州の労働力開発部門は、この革新的なアプローチの典型例になりました。

ほんの数か月前、昔ながらの失業保険(UI)システムで問題が発生し、パンデミック期間中に失業した地元住民を支援する州当局の能力が危機に瀕しました。現在、そして今後は、変革を継続し、UI システムをモダナイゼーションすることで DWD から地元住民へのサービスの提供方法が変わります。これにはカスタマー エクスペリエンス ワークフロー、予測分析、書面出願のストリーム化と迅速化が含まれています。

全国の労働力開発当局の多くと同様に、昨年 DWD は、COVID-19 による経済的低迷によって給付金の申請が殺到する事態になりました。残念ながら DWD の時代遅れの UI インフラストラクチャ(大部分が COBOL コンピュータ言語で記述され、ホストはメインフレームのサーバー)では、申請の量と状況の複雑さに対応できませんでした。ウィスコンシン州のテクノロジー システムの多くは、担当者がスプレッドシートを使って給付金の調整を手計算する大量の手作業が必要でした。その結果、州政府は申請の急増に対応できなくなり、需要に対応するために新しいソリューションに迅速に転換する必要性に迫られました。

DWD は当初コールセンターのスタッフの増員、UI 申請の審査員の雇用、その他の職員の配置転換で対応しました。結局のところ 1,300 人以上の人が雇用され、契約され、部署替えされました。これによって DWD は月間約 7 百万件のコールに対応できるようになりましたが、申請の受け付けが大幅に急増し、750,000 件以上の申請のバックログが生まれました。時代遅れの技術であったため、クエリの応答時間は著しく遅延し続けました。

DWD の責任者は、過去の不十分な IT 投資を克服するには、スタッフの配属だけで解決するのでなく、イノベーションが必要であると認識しました。この以前からの問題に対応するために、ウィスコンシン州では Google Cloud を利用しました。Google は州政府と協力して、州の申請への対応を調整できるようにし、全体的な応答時間を短縮しました。Google は不正請求を選別して排除することにも成功したため、財政支援を必要とするウィスコンシン州の住民に UI プログラムをきちんと投入できるようになりました。

年初来、ウィスコンシン州では失業手当に、20 億ドルを支払いました。さらに2020 年の UI のバックログも完全に解消できました。Google とのパートナーシップの結果として、同州は毎週 157,000 件の申請を処理し、市民への支払いがほぼ 2~3 営業日以内に実施できるようになりました。新しいシステムが設置される前は、応答時間は数週間から数か月になる場合もありました。

ウィスコンシン州と Google Cloud が、州のそれまでの旧システムをモジュラー方式でモダナイズしている方法は以下のとおりです。

  • 予測分析用の人工知能(AI)/ 機械学習(ML): Google AI/ML を使用して、州は過去のデータに基づいて予測分析を行い、UI 申請を裁定する判断の時間を短縮し、資格のある失業給付受給者に対してより迅速に支払いを行うことが可能になっています。包括的なデータモデルと信頼スコアによってバックログ データが分析され、承認と支払いの最短ルートが高いレベルの信頼性と正確性で決定されます。DWD では Google Cloud の技術を使用して、その失業給付受給者が UI 申請処理のどの「ホールド バケット」のプロセスのどこで行き詰まっているのかを特定します。Google Cloud のデータと AI/ML ツールを使用して、ウィスコンシン州は問題の領域を特定し、その問題を迅速に解決できます。これが DWD の UI 申請出願プロセスの修正の特徴でした。またこれによって DWD は不正請求も特定できるようになりました。

  • 書面出願をストリーミングするための Document AI(DocAI): DWD は Google Cloud と提携して、UI 申請処理の一環として書面出願と書類の FAX もストリーミングしていて、書類を FAX やハードコピーのメールではなく、オンラインで送信できるようになっています。Google の DocAI ソリューションを使用すると、ウィスコンシン州の担当者は、書類から重要な情報をすばやく抽出して迅速に決定するので、時間の節約となり手作業をなくすことができます。これによって職員は優先順位の高い活動に注力できます。

こうしたウィスコンシン州のモダナイゼーションの道のりは、全米の各州の失業給付システムにおいて際立った新たなビジョンとなっています。デザイン思考、州当局職員との深いパートナーシップ、最新のテクノロジーによって、DWD のソリューションは、支援の対象となる住民の利益を最大化するようにカスタマイズされました。情報に基づいたデータ指向の決定を行うために、Google Cloud と提携し、技術のモダナイズを活用して、ウィスコンシン州の DWD は、住民にわかりやすく操作が簡単な優れたエクスペリエンスができるように支援していて、常に地域社会全体に素晴らしいサービスを提供しています。

 

-米国州政府、地方自治体およびカナダ公共部門マネージング ディレクター Brent Mitchell
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