レグテック企業と提携して金融サービスを変革

※この投稿は米国時間 2023 年 5 月 31 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

Google Cloud は長年にわたり、ネイティブおよびパートナーのソリューションを用いて金融サービス業界におけるビジネス変革を推進しています。こうしたソリューションは、売上増加や、効率化、リスク管理改善に貢献しています。そのなかで最近特に増えてきているのが、複雑さが増している規制要件への対応を支援するツールです。こうしたソリューションはレグテックと総称され、規制要件の管理に役立つだけでなく、市場のデジタル化が進むなかで組織のアジリティと効率性を向上させる可能性も示しています。さらに、規制機関側の業務効率化を促進するものや、業界全体に関する優れた分析情報を提供する機能を備えているものもあります。

レグテックの原動力となっているのは、フィンテックと同じく、デジタル トランスフォーメーションです。銀行や、保険会社、その他の金融サービス企業の間で、金融犯罪対策やリスク モデリングなどの多数の重要な用途で幅広く Google Cloud の活用が進んでいます。

Google Cloud の役割は、こうしたモダナイズを推進する過程において、独自のテクノロジーおよびそれを補強するパートナーの強固なエコシステムによって金融サービス企業サポートすることです。具体的には、プラットフォーム プロバイダとして、以下の 3 つの方法でモダナイゼーションへの取り組みを支えています。

• 従来の報告アプリケーションをモダナイズする手段を提供する

• 組織による新規のクラウドネイティブ ソリューションの構築を支援する

• 金融サービス企業が規制報告プロセスを効率化、自動化するために役立つ独自テクノロジーを提供する

堅牢なインフラストラクチャおよびセキュリティによって、従来の報告アプリケーションのモダナイズを支援する

Google Cloud のグローバル インフラストラクチャは、安全性を重視した設計に基づいており、堅牢性およびスケーラビリティに優れた基盤を提供します。また、リスク管理は運命共有モデルに基づき、プロダクト、サービス、フレームワーク、ベスト プラクティス、コントロール、機能によってデジタル主権の要件を満たせるようにしています。オンプレミスに幅広いユーザーベースをもつ実績あるソフトウェア プロバイダは、Google Cloud のインフラストラクチャを使用することで、技術スタックをモダナイズしたり、クラウド機能をマネージド サービスや SaaS ソリューションとして活用したりできます。

たとえば、規制報告ソリューションを提供する Regnology は、Google Cloud と提携し、これまでのプロダクト ラインナップを強化して Rcloud と呼ばれる本格的なクラウド サービスを打ち出しました。このプラットフォームは、Regnology が提供する規制報告関連のクラウドネイティブ ソリューションおよびマネージド サービスの全ラインナップを Google Cloud インフラストラクチャ上で強化したものであり、垂直方向および水平方向にスケールすることで、パフォーマンスおよび効率を向上させています。Rcloud は Google Cloud を基盤とすることで、改善されたデプロイや infrastructure-as-code サービス、実行およびチェンジ マネジメントの自動化、高いスケーラビリティといった利点を活用できるほか、将来的なサービスやプロダクトの追加にも対応可能なアーキテクチャとなっています。さらに、Regnology の Rcloud は BigQuery と統合されており、詳細な金融データおよびリスクを綿密にまとめたウェアハウスを構築することが可能です。このウェアハウスは、データ サプライ チェーンの効率を全体的に高めるために役立ちます。

Regnology の最高経営責任者である Rob Mackay 氏はこう述べています。「Google Cloud と協力して機能強化したプラットフォームを開発し、ワンストップ ショップの一環としてサービスをシームレスに提供できるようになったことを大変嬉しく思っています。当社の目標は、規制機関と金融業界の橋渡し役となり、金融の安定を促進することです。そのため、エネルギー効率に優れるスケーラブルなアーキテクチャを土台とし、その上に法令上の報告の未来を築いていくことが重要だと考えています。」

クラウドネイティブなレグテック ソリューションを、データと AI で支援

Google Cloud の BigQuery、Vertex AI、Apigee API 管理などの高度なデータおよび AI 機能は、レグテックの新興企業の関心もひきつけています。たとえば、Google Cloud パートナーの Quantexa は、Google Kubernetes Engine（GKE）や Dataproc などのツールを活用して Decision Intelligence プラットフォームを提供しています。このソリューションは、サイロ化したシステムを互いに連係させて複雑なネットワークを可視化し、自社データについて理解できるようにするのが特徴です。これらのデータは一元的に表示され、信頼性の高いリソースとして組織全体で再利用することが可能です。Quantexa のインテリジェントな「モデルベースの」システムは、ネットワークや行動パターンを詳しく調べて金融犯罪を見抜くなど、マネー ロンダリング防止（AML）関連の規制を確実に満たすために役立ちます。Quantexa を使えば、戦略、運営、実施策の各レベルで迷いなく意思決定を行えるような企業文化を定着させて、リスクを軽減するとともに機会を確実に捉えることが可能となります。

Quantexa の CTO である Jamie Hutton 氏は、金融犯罪アラートをリアルタイムかつ AI ドリブンで生成する同社の機能について、Google Cloud が重要な役割を果たしていると考えています。具体的には、GKE が提供するスケーリング能力によって、エンタープライズ向け検索エンジンである Elasticsearch を効果的にデプロイし、Quantexa のエンティティ解決およびネットワーク分析の基軸であるデータクエリを実現しています。Hutton 氏は、次のように述べています。「Google Kubernetes Engine で Elasticsearch をデプロイしているため、詳細なプロセスレベルで必要に応じてスケールすることが可能となっています。Kubernetes は Google が設計を手がけていますから、Google Kubernetes Engine の最新のアップデートや新機能の利用について、他のプロバイダに遅れをとることは決してありません。」

法令上の報告に役立つ Google Cloud ツール

Google Cloud は、法令上の報告プラットフォームなど、すぐに使用可能なソリューションを提供しています。このプラットフォームは、アーキテクチャにデータ コントロール機能を内蔵した、オンデマンドで利用可能なスケーラブルなサーバーレス ソリューションであり、パフォーマンスと信頼性を最大化する一方で、運用の手間を最小化できます。BigQuery は、大規模かつ詳細なデータセットを格納してクエリを実行できるので、整合性があり費用対効果も高い高品質なデータ源として活用し、各種報告（リスク、金融、規制など）に役立てることができます。

Google Kx for CAT は、Consolidated Audit Trail（CAT）で求められる高度かつ複雑なレポート変換に対応するエンタープライズ グレードのアプリケーションです。CAT による法令上の報告は米国のブローカー / ディーラー企業に義務付けられており、膨大な計算能力とストレージ要件が求められるため、従来は独自実装によって対処されてきました。

Google Cloud の Analytics Hub は、組織間でデータアセットを効率よく安全に交換できるようにするデータ交換サービスで、データの信頼性と費用の課題に対処します。Analytics Hub は、Dun & Bradstreet などのデータ プロバイダによって、データセットの公開および BigQuery での分析に活用されています。たとえば、規制機関がこの公開情報にアクセスして、個々の銀行や金融サービス機関が規制を満たしているかどうかを確認することができます。

レグテックの今後の展望

レグテックは急速に進化および成熟を遂げている分野であり、金融サービス企業が規制義務に簡単に対応できるようにするのはもちろん、ビジネスに真の価値をもたらす大きな可能性を秘めています。Google Cloud の目標は、お客様がその価値を最大化できるよう、Google Cloud ネイティブ ソリューションや、多数のパートナーが提供するソリューションで支援することです。この分野がさらに発展するにつれて、コンプライアンスにとどまらず、リスク管理や、成長促進、カスタマー エクスペリエンスの向上にも役立つ新機能や分析情報がもたらされるようになるでしょう。

Google Cloud のレグテック機能が、企業が規制義務を簡単に満たせるようにするためにどう役立っているかなど、詳細をご覧ください。