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Micro Focus Enterprise Server のブループリントが Google Cloud で利用可能に

2022年3月18日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2022 年 3 月 8 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

数十年にもわたり、大企業は、ビジネス システムにおけるスケーラビリティ、セキュリティ、パフォーマンスの需要のために最も重要なワークロードをメインフレーム上で開発、運用してきました。しかし、これらのワークロードを管理および運用する人材を見つけることはますます難しくなっており、より迅速なイノベーションに対するビジネスの需要、費用削減の圧力、メインフレーム データのデータ ロックインを取り除く必要性から、企業は代替手段を探すようになっています。

クラウド コンピューティングが主流となったことで、パフォーマンス、費用、スケーラビリティに対する見方はまったく新しいものとなり、現在多くのお客様が直面しているメインフレーム コンピューティングの課題に対処できるようになりました。さらに、すでにアプリケーションをクラウドに移行したお客様の経験では、これらのアプリケーションが提供する価値を損なうことなく、ビジネス システムをモダナイズしてクラウドネイティブなサービスを活用できます。

Micro Focus Enterprise Server のブループリントが Google Cloud で利用可能に

Micro Focus Enterprise Server は、メインフレーム アプリケーションを安全に実行するためのスケーラブルな本番環境エンジンです。Google Cloud インフラストラクチャと組み合わせることで、Enterprise Server により、大規模なメインフレーム ワークロードに要するサービス品質と継続的なオペレーションが提供されます。

Micro Focus は、お客様と連携して何千ものメインフレーム モダナイゼーション プロジェクトを成功させてきました。各プロジェクトにより、お客様はアプリケーションをモダナイズし、任意のプラットフォームで実行できます。

Google Cloud は、高パフォーマンスで信頼性に優れ、かつ大容量のインフラストラクチャを低コストで提供し、ほぼすべての業界や地域の何千ものお客様にサービスを提供しています。

ブループリントを使用すると、お客様は新しい VPC または既存の VPC 内でベスト プラクティスに基づいた Enterprise Server の自動デプロイを実行できます。また、このブループリントでは、COBOL、CICS、ジョブ制御言語(JCL)、仮想ストレージ アクセス方式(VSAM)ファイル、パフォーマンス / 可用性クラスタ(PAC)を使用する完全に機能するデモンストレーション アプリケーション(BankDemo)が Enterprise Server 上にインストールされます。

このソリューションにより、企業や公共機関は、高いセキュリティ、高可用性、弾力性、堅牢なシステム管理を備えた Google Cloud(GCP)上にメインフレーム ワークロードをホストできる環境をデプロイできます。

メインフレームのビジネス ワークロードのためにクラウドの機能を最大限に活用する Google Cloud 上の Micro Focus Enterprise Server

メインフレーム上で実行されるビジネス クリティカルなアプリケーションは通常、大量のトランザクションを安全かつ確実に実行し、99.99% 以上のサービスレベル目標(SLO)を達成しています。企業は次のようなサービス品質を求めています。

  • 冗長性と並列オペレーションが組み込まれた高可用性

  • ビジネスニーズに応じたスケーラブルな容量

  • 保存時と転送時のデータの暗号化、認証と認可の一元化、監査証跡、鍵管理、ポリシーの遵守による、安全性の高いオペレーション

  • 一元化したモニタリング、アラート、ロギング、メータリング、パッチ適用、バックアップ、自動化を提供するシステム管理

ビジネス クリティカルなメインフレーム アプリケーションをクラウドに移行するための最も迅速で低リスクな方法は、現在のアプリケーションの投資と独自のビジネス価値を活用することです。しかし、これを成功させるには、ビジネスを実行するために必要なサービス品質に妥協しないアプリケーションの本番環境とインフラストラクチャが必要です。Google Cloud 上の Micro Focus Enterprise Server がこれらを提供します。

Enterprise Server は、たとえ最大規模のメインフレーム ワークロードであっても、要求される高いレベルのセキュリティ、信頼性、可用性、保守性を実現するスケーラブルな本番環境エンジンです。既存のメインフレーム COBOL と PL/I アプリケーションを最小限の変更で移行でき、オンライン CICS および IMS トランザクションのほか、現在のジョブ、ジョブ制御、バッチ ユーティリティの移行をサポートするバッチ環境のサポートも提供しています。DB2、IMS-DB、QSAM、VSAM のデータは、代替データベースやファイル システムに移行でき、異なる Linux ディストリビューション、Windows、UNIX に再プラットフォーム化するという選択もできます。

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Micro Focus リファレンス アーキテクチャ

基盤となる高可用性の環境は、Google Compute Engine(GCE)上にデプロイされた Enterprise Server を使用して自動的にデプロイでき、アプリケーション データ(リレーショナルおよびインデックス)は Cloud SQL などのリレーショナル データベースに格納されます。Google Compute Engine インスタンスを使用した Infrastructure as a Service(IaaS)デプロイだけでなく、Enterprise Server は Docker コンテナにデプロイし、Google Kubernetes Engine(GKE)の Kubernetes を使用してオーケストレーションすることも可能です。

バッチのスケジューリング、出力、印刷管理のための追加のサードパーティ ユーティリティを、追加の Google Compute Engine インスタンスにデプロイし、Enterprise Server 環境と統合できます。

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Google Cloud 上の Micro Focus Enterprise Server アーキテクチャの概要

メインフレーム ワークロードには、特に膨大なスループットと I/O を使用したパフォーマンスに関して機能以外の厳しい要件が存在する場合があります。目的に応じたアプローチでは、GCP 上での最適なコンピューティング、ストレージ、IOPS、ネットワーキングのサービスを特定するための選択が必要です。

GCP は、スケールアップ スケーラビリティを実現するための Google Compute Engine のマシンタイプやネットワーキング オプションのほか、スケールアウト スケーラビリティのための Google Kubernetes Engine や Cloud Run などのクラウド サービスも幅広く提供しています。お客様は、1 台または数台のマシンの容量(スケーラビリティ ボトルネック)に制限されることも、垂直スケーリングやピーク時の容量のサイズ設定(未使用容量)に制限されることもありません。つまり、水平な自動スケーリングにより GCP リソースに事実上無限の可用性が実現され、どの時点においても負荷のピークを処理できる容量が提供されます。

Enterprise Server は、これらの GCP リソースを活用して、パフォーマンスおよび可用性クラスタ(PAC)を通じてアプリケーションのスケールアウト機能を提供します。これにより、複数の異なる実行環境でワークロードを並列に実行し、単一のインスタンスとして同期および管理できます。つまり、COBOL や PL/I のアプリケーションは、異なるゾーン間でアクティブ / アクティブ構成で実行できます。また、メインフレーム データファイルを含むデータをリレーショナル データストアにデプロイすることで、低レイテンシ リンクで接続された複数のゾーンでデータを共有および複製し、可用性要件と SLO を満たすことができます。

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Micro Focus Enterprise Server ブループリントのデプロイ アーキテクチャ

柔軟なワークロードのニーズに合わせてインフラストラクチャおよびアプリケーションの容量を動的に調整できるスケーラビリティは、需要が大きく変動し、お客様が使用した分だけ支払うことを望む今日の環境では特に重要です。

Enterprise Server PAC は、弾力性と水平方向のスケーリングのために設計されています。Cloud Load Balancing およびマネージド インスタンス グループと組み合わせることで、Enterprise Server Google Cloud インスタンスは、CPU 使用率などのカスタマイズ可能なしきい値に基づいてクラスタ(複数のアベイラビリティ ゾーンで運用可能)から動的に追加または削除できます。また、インスタンスはオンデマンドで起動および停止できるため、支払いが発生するのは消費した分のみです。

また、セキュリティも主要な懸念事項であるため、GCP に移行するお客様はセキュリティ要件を満たすために構築されたポリシー、アーキテクチャ、運用プロセスのベスト プラクティスを継承することを希望されるでしょう。

Enterprise Server 自体には、メインフレームのお客様が期待する高レベルの認証とリソース アクセス制御を提供する、堅牢なセキュリティ モデルが備えられています。これにより、ビジネス アプリケーションとそのデータへの安全なアクセスを総合的に管理できます。Enterprise Server は、GCP Identity and Access Management(IAM)を活用して、Cloud Logging による詳細な監査と Cloud Monitoring による通知ですべての GCP サービスとリージョンにおけるアクセス制御を一元化します。

データの機密性保持、整合性、コンプライアンスのために、Google Cloud 上の Enterprise Server は、アプリケーションを変更せずに、保存中または転送中のデータ オプションの広範な暗号化を提供します。標準的な機能には、TLS 1.3 を使用したウェブベースのサービスを使用してお客様とやり取りする際の転送中のデータの暗号化が含まれます。Enterprise Server で最新の TLS 標準をサポートすることにより、お客様のデータが完全に保護され、Cloud 内で転送される際に個人データが見えないようにします。

アプリケーションがクラウドにデプロイされると、運用と管理が必要になりますが、Enterprise Server によってエンタープライズ オペレーションのフレームワークに統合できるシステム管理機能とサービスが提供されます。

Enterprise Server インスタンスと PAC は、Google Cloud インスタンスにデプロイされると、管理の目的で Enterprise Server Common Web Administration(ESCWA)という単一のウェブ コンソールを使用して構成および管理されます。これにより、RESTful API の安全かつ拡張可能なサポートが提供され、構成や管理の統合や自動化に使用できます。

一元化されたロギングとモニタリングには、Google オペレーション スイートの Cloud Logging がリアルタイムでログの管理と分析を行います。Cloud Logging は、VM、Enterprise Server、GCP サービスのログデータを取り込み、Log Analytics を使用して、パフォーマンス、トラブルシューティング、セキュリティ、ビジネス分析情報をサポートします。

オペレーション スイートの Cloud Monitoring により、パフォーマンス、稼働時間、アプリケーションの健全性が可視化されます。Google Cloud サービス、ホストされた稼働時間プローブ、アプリケーションの計測から指標、イベント、メタデータを収集し、データをチャートやダッシュボードで可視化してアラートを作成することで、指標が予想範囲外になったときに通知されます。

一元化されたバックアップのために、GCP は Enterprise Server Persistent Disk とマネージド データベース両方のスナップショットの取得をサポートしています。バックアップのスナップショットは、信頼性と安全性の高いオブジェクト ストレージである Cloud Storage に保存されます。

さらにシステム管理のニーズがある場合は、すぐに利用できる多くの GCP 管理サービスをご検討いただけます。これらのサービスにより、すべてのリージョンで GCP 上の Enterprise Server の仮想マシン インスタンスの包括的な管理とデプロイが可能になり、自動化とリソースがすぐに利用できます。

GCP 上の Enterprise Server にアプリケーションをデプロイすることで、大規模で重要なメインフレーム ワークロードに求められるサービス品質を提供し、必要とする高レベルのセキュリティ、高可用性、弾力性、卓越した運用、費用の最適化が実現します。DevOps CI / CD パイプラインの一部として、アプリケーション分析ツールおよび最新の開発環境と組み合わせると、アプリケーションの開発、テスト、モダナイズを迅速に実行でき、ビジネスにイノベーションをもたらす時間が短縮されます。

ボタン一つでエンタープライズ グレードのメインフレーム インフラストラクチャをデプロイ

メインフレーム ワークロードを Micro Focus Enterprise Server と Google Cloud に移行したことで、お客様はアプリケーション、プロセス、インフラストラクチャのモダナイゼーションをサポートするための安全かつ低リスクで価値の高い戦略を活用できます。

ご利用開始をするには、まずはご自身でお試しいただき、ブループリント環境を使った Google Cloud 上の Micro Focus Enterprise Server について詳細をご確認ください。ブループリントのスクリプトはこちらでご覧いただけます。


- Micro Focus プロダクト管理ディレクター Eddie Houghton
- Google Cloud ソリューション エンジニア Ralf Merkens
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