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製造

大規模データに対応する低レイテンシの異常検出サービス、Timeseries Insights API の一般提供を開始

2023年4月20日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 4 月 14 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

このたび、Timeseries Insights API の一般提供を開始いたしました。Timeseries Insights API は、大規模データを対象にニア リアルタイムで時系列の異常検出を実現するパワフルかつ効率的なサービスです。センサーの値やクリック、ニュースなど、さまざまなソースに対応し、テラバイト(TB)規模の時系列データを 1 秒未満で処理して分析情報を取得できるのが特徴です。

Timeseries Insights API は、Google Cloud の Manufacturing Data Engine とネイティブに連携動作します。製造業各社は、このパワフルなサービスを使うことで、Manufacturing Data Engine によって格納された大量データから簡単に異常検出を行うことが可能となります。

主な機能と利点

Google Cloud の Timeseries Insights API には以下のような特長があります。

  • 異常およびトレンドの検出: イベントの複数の項目を参照して、トレンドと異常を検出します。

  • 大量データに対応: 数百億件のイベントを含む TB 規模のデータセットに対応し、1 秒に数千件のクエリを実行できます。

  • 低レイテンシのクエリ: レイテンシ 1 秒未満のニア リアルタイムでクエリ結果が返されるので、ユーザー向けインタラクティブ アプリケーションのバックエンドで使用するのに最適です。

  • リアルタイム分析: ストリーミング更新方式のインターフェースを使って、時系列データをコンテキストに基づきリアルタイムで分析できます。

  • サーバーレス、フルマネージド: フルマネージドなので、管理インフラストラクチャの心配が無用。分析情報に集中できます。

  • 柔軟性の高いクエリ言語: 直感的でわかりやすい API およびパラメータが付属しているため、クエリを簡単に作成できます。

ユースケースとアーリー アドプターの紹介

Timeseries Insights API の時系列データ予測および分析情報は、さまざまな業種での活用方法が考えられます。たとえば、IoT 企業では、複数のセンサー データソースの相関関係をリアルタイムで分析するために利用できます。コンテンツ プロバイダは、ニュースとイベント ストリームをモニタリングしてトレンド クラスタを特定できます。ネットワーク インフラストラクチャやモニタリングのプロバイダなら、トラフィック ログを分析して異常な動作を検出することが可能です。

GDELT プロジェクト(Global Database of Events, Language, and Tone)は、世界中のニュース メディアをリアルタイムでモニタリングすることを目的とした巨大なオープンデータ プロジェクトで、グローバルに広がる人間社会の挙動、考え方、態度を網羅するオープン リポジトリを提供しています。同プロジェクトは現在、8 兆 5 千億超のデータポイントを擁し、150 の言語で伝えられる世界中の出来事や報道をカバーしています。テキスト、テレビ、ラジオ、画像など、さまざまなフォーマットのニュースに対応し、古いものでは 200 年前のニュースに遡るほか、世界中のほぼすべての国の情報がリアルタイムで反映されています。

GDELT では、Timeseries Insights API を使って地球規模の膨大なアーカイブから情報をふるいにかけ、翌日のビッグニュースの兆しをリアルタイムでいち早く捉えることを可能にしています。

「GDELT では、Google Cloud のさまざまな AI API を使用しています。具体的には、Video API、Vision API、Speech-To-Text API、Natural Language API、Translation API を使って、世界中から怒涛のように押し寄せる大量データにアノテーションを付与しています」と、GDELT プロジェクトの発起人である Kalev Leetaru 氏は語ります。「Timeseries API のおかげで、これらのアノテーションをすべて参照して、速報に伴う突発的な波の発生から、徐々に展開するストーリーの緩やかな流れまで、そしてその間にあるあらゆる異常をすべてリアルタイムで観察することができます。」

Google Cloud の Manufacturing Data Engine とのインテグレーション

製造業においては、異常検出によって潜在的問題を特定して早めに対処することで、混乱、損害、ダウンタイムを未然に防ぐことができます。たとえば、センサーやその他のソースからのデータをモニタリングして異常なパターンを特定し、機器の故障や品質の問題などの兆候を見つけることが可能です。アラート機能も搭載されているので、メンテナンス担当者や工場の監督者は、早い段階で予防策を講じることができます。

最大の特徴は、Timeseries Insights API に基づく異常検出は、迅速かつ広範囲に、低費用で実装できるという点です。Timeseries Insights API はラベルなしのデータから自動学習するフルマネージド サービスであるため、あらゆる機械にすばやく展開でき、ML の専門知識やドメインごとの入力操作は不要です。それに対して、予測的メンテナンス方式は機械ごとのセットアップが必要となり費用が比較的高くつくため、重要度の高い一部の機械のみに実装が限られがちです。

また、Timeseries Insights API に基づく異常検出は、従来のしきい値ベースのサービスと根本的に異なります。人手入力やデータのラベル付けがほぼ不要なだけでなく、しきい値ベースのシステムでは正常動作範囲内とみなされるような重大イベントも捉えることが可能です。

Timeseries Insights API が一般提供になったこの機会に、企業の皆様はぜひこの優れたツールをお試しになり、時系列データから有益情報を引き出して、運用の最適化やダウンタイムの短縮、競争の一歩先を行くためにお役立てください。詳しい情報を確認して使用を開始するには Timeseries Insights API のドキュメントをご覧ください。


- プロダクト マネージャー Alex Martin
- 製造業向けソリューション マネージャー Julian Geiger
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