Next の発表: CCAI Insights で会話のモニタリングを始めましょう
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 10 月 14 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
今年の NEXT セッションでは、AI103: CCAI の分析情報を使用して顧客について理解を深めると題して、新しい会話 AI ツールである CCAI Insights が紹介されました。Contact Center AI Insights を使用すると、ビジネス ステークホルダーや QA コンプライアンス チームは、コンタクト センターのデータに含まれるカスタマー サービスのやり取りやパターンを分析、モニタリングできます。
エンドユーザー間で話題になっているトピックについてのビジネス分析情報を得ることができます。
これらの会話がサービス エージェントによってどのように処理されたかを、文字起こし、発信者のセンチメント検出、無音検出、エンティティ識別、トピックのモデリングによってモニタリングできます。
CCAI Insights はスタンドアロンでも使用できますが、会話型 AI サービスの一環として、Dialogflow や Agent Assist のような他の Contact Center AI ソリューション プロダクトともシームレスに統合できます。
まず最初に、CCAI Insights インスタンスに会話をインポートします。本番環境では、CCAI Insights が仮想エージェントやコンタクト センターのシステムと統合されており、ランタイムの統合を介してリアルタイムで CCAI Insights に会話が push されることが多いでしょう。しかし、手動で既存のデータセットをインポートすることも可能です。
テキスト チャット会話のインポート
エンドユーザーと仮想エージェントとのテキストによる会話を CCAI Insights にインポートするところから始めてみましょう。CCAI Insights で取り込んだデータは、バックグラウンドで Cloud Spanner を活用します。組織データの規制に沿った地域化が必要なお客様に朗報です。来年初頭にはアメリカと EU への地域化がなされる予定です。とはいえ、あらかじめ設定した期間(TTL)経過後はデータを削除する設定もあり、すべてのデータは API、Cloud Data Fusion を介して、または BigQuery に直接エクスポートできます。
Google Cloud Storage の URL を指定し、チャットを担当した仮想エージェントの名前を提供することで、GCS を通じてインポートすることもできます。
下のようにインポートされます。会話には、テキスト、タイムスタンプ、ユーザー ID、ロールを定義した特定の JSON 形式が必要です。
会話をインポートしたら、会話に入って [分析を開始] ボタンを押します。これにより、会話の音声文字変換データの分析が開始され、場所、人、オブジェクトなど、会話の特定の箇所にアノテーションが付けられます。これらのエンティティをクリックすると、そのエンティティに触れた会話の部分がハイライト表示されます。
組織やコンタクト センターの管理者にとって、通話やチャットで今何が話題になっているかという分析情報を把握することは非常に有効です。たとえば、chatbot で言うと、これは chatbot がトレーニングされたトピックなのか、一連のインテントを考え出すべきか、などの判断に役立ちます。
会話ハブでは、フィルターを使って、エージェント ID、文字起こし、かかった時間、ターン数などに基づいて会話を含めたり、除外したりできます。これらのフィルターを組み合わせることで、特定の会話を見つけることができます。後で検索する場合や長期間にわたって会話を振り返りたい場合、会話にラベルをつけておけばすぐに見つけられます。
通話の(音声)会話をインポートする
音声の録音でも同じことができます。これには、Cloud の Speech-to-Text でサポートされている均一のサンプルレートとエンコードの 2 チャネルの音声ファイルが必要となります。Speech-to-Text は、音声ファイルからでも文字起こしを作成できます。
重要なのは、文字起こしが Speech-to-Text レスポンス フォーマットに合致していることです。このフォーマットには、以下のリストに示すように、各単語の開始と終了のタイムスタンプを含む文章内の特定の箇所が含まれています。会話の各ターンには、そのチャネルで発言しているスピーカーを示すチャネルタグが付けられます。
会話に入れば、音声を分析することもできますし、録音した音声を聞くこともできます。
エンティティ以外にも、チャットと音声会話では、沈黙や発信者とエージェントの感情を分析できます。カスタマー エスカレーションから教訓を得て今後に役立てたいと願っているコンタクト センターのマネージャーにとって、非常に有益な機能です。
大規模なデータセットのインポート
最後に、既存の大規模なデータセットをインポートするために、会話をバッチとしてインポートすることもできます。API を使いスクリプトを介して、または Cloud Data Fusion を介してインポートができます。
トピックのモデリング
CCAI Insights のトピックモデルは、Google の自然言語処理を利用して、データセット内の会話ごとに主要なトピックを生成します。このモデルをデプロイして、将来の会話がインポートされたときに分析することができます。
精度の高いトピックモデルをトレーニングするには、少なくとも 10,000 回分の会話を用意します。その後、トレーニングを開始できます。トピックモデルのトレーニングには最大で 12 時間かかることをご理解ください。これは、それぞれの会話を分析して、最も一般的なエンティティを見つけるのに広範なプロセスが必要なためです。
顧客データを利用したモデルのトレーニングが成功すると、モデルをデプロイし、最も使用されているトピック ドライバを確認できます。下のスクリーンショットを見てみてください。貴社のオペレーターや仮想サービス エージェントは、「ログインできないのですが…」という人々の疑問に答えるのに、どれほどの時間を費やしていることでしょう。
会話のハイライト
Smart Highlights は、会話の中のキーワードやフレーズからハイライトを自動的に検出します。追加の構成は必要ありません。また、想定されるさまざまなシナリオからハイライトを検出できます。たとえば、保留にする、問題が解決されたことを確認する、苦情を言うなどです。会話の中にあるハイライトは、返された文字起こしの中で、文レベルでラベル付けされます。また、それぞれの会話ターンを分析し、ユーザーの意図を分類します。
キーワードを指定することで、独自のハイライターを作成することもできます。以下のスクリーンショットでは、金額について話している会話ターンにカスタム ハイライターによりタグが付けられています。
CCAI Insights を Dialogflow と組み合わせて使うことで、Dialogflow のインテントを使ってインテリジェントなハイライターを作ることができます。
この記事でご紹介したように、CCAI Insights を使うことで、組織はお客様の声を聞き、データドリブンなビジネス上の意思決定を行い、業務の効率化を進められます。CCAI Insights について詳しくは、こちらのドキュメントをご覧ください。
- 会話型 AI 担当デベロッパー アドボケイト、Lee Boonstra