スルガ銀行株式会社:Classroom によるリモート研修と Currents の情報共有で業務の大幅な効率化を実現
Google Cloud Japan Team
2019 年 11 月にスタートした中期経営計画「Re:Start 2025」に基づいて、新しい価値観や顧客のニーズを踏まえた金融商品、およびサービスの提供を目指すスルガ銀行株式会社(以下、スルガ銀行)。ニューノーマルに対応したビジネスフローの構築を推進する取り組みの一環として Google Workspace*(旧称 G Suite)を活用。中でも Classroom、Currents の機能を活用した取り組みについて本店および各現場の推進担当者にお話を伺った。
利用サービス:Google Workspace(旧称 G Suite)、Google Classroom、Google Currents(旧 Google+)、テクニカル アカウント マネジメント(2020 年 5 月まで)
リアルタイムの情報共有が可能な機能を評価して Google Workspace を採用
「これからの銀行のビジネスにおいて、情報の有効活用が非常に重要になります。そのためには、日々の業務においても情報共有ツールを活用し、お互いの意見を交換できる場を創ることが不可欠です。そこで、Google Workspace をはじめとする Google のツールを採用しています。Google のツールは、お客さまに新たな価値を提供するための重要な営業ツールと位置づけています」と話すのは、本店営業部 部長の小林さんだ。
スルガ銀行では、「新しいスルガ銀行の創出」というビジョンに基づいて、同行の強みでもあるリテール バンキングを通じた独自の価値を創出し、お客さまに心から満足してもらえるサービスの提供を目指し、具体的な業務改革、効率化を進めてきた。銀行業務は 1 人で完結する仕事よりも、チームで共同作業をするタイプのものが多く、情報の共有や共同作業などの機能を重視し 2018 年より Google Workspace の導入を開始。まずは Gmail の利用から開始し、その後、Gmail 以外の機能にも利用範囲を拡大してきた。
静岡県内に 65 店舗ある静岡コミュニティ バンクのサポートを担当する、営業本部 静岡コミュニティ バンク 推進役の植松さんは、Google Workspace の活用をこう評価する。「以前は各店舗の情報をまず本部で集約し、その情報を再び各店舗に共有していましたが、リアルタイムに情報を共有ができないことが大きな課題となっていました。また、共有手段も表計算ソフトや紙に出力された帳票などで行っており情報の管理業務も煩雑でした。これらをスプレッドシートに置き換えることで、リアルタイムに情報共有ができ、効率的な情報収集が可能になったと感じています。結果、共有した情報のその後の活用もやりやすくなりました。」(植松さん)
コロナ禍において Classroom によるリモート研修が非常に有効
Google Workspace の中でも、スルガ銀行で特徴的な使い方がされている機能は、Classroom と Currents(旧 Google+)の 2 つだ。
まず Classroom は、2019 年 6 月から、生命保険、遺言信託、投資信託、iDeCo などの金融商品を取り扱っている資産コンサルティング部門で、販売員向けの研修ツールとして利用されている。Classroom を導入する以前は、札幌から福岡までの各支店において、集合研修を行っていた。
営業本部 資産コンサルティング推進チーム 副部長の三浦さんは、「2019 年 6 月に、保険商品の法改正などが頻繁に行われたこともあり、情報のアップデートがある度に販売員への研修を実施する必要がありましたが、全国の支店や本部での頻繁な集合研修の開催は、開催側にも参加側にも大きな負担でした。この点、Classroom を活用したリモート研修は非常に有効でした。人の物理的な移動を伴わず実施できることに加え、受講者に課したテストや課題の進捗状況を管理する機能もあるため、正しく確実な理解を必要とする金融商品の研修においても、一方通行とならず受講者の理解度をフォローできます。さらに 2020 年の COVID-19 の流行に伴う移動の自粛、規制の状況下では、 ライブストリーミング も活用し問題なく必要な研修を実施することができました」と語る。2019 年 6 月以降、Classroomでの研修参加は約 475 名にのぼるという。
さらに具体的な効果を三浦さんは、次のように語る。「移動時間の大幅な削減につながっています。銀行窓口の営業時間は、9 時~15 時なので、営業店の担当者は、営業終了後にしか研修を受けることができませんが、いつでも、どこでも研修を受けることができる Classroom は参加者にも非常に好評です。また、保険商品の改訂、更新、新商品の導入などの営業現場への周知において、本部業務の効率化も可能になりました。」
2019 年 6 月に社内で実施した Classroom による保険の研修に関するアンケートでは、多くの参加者から肯定的な評価を得たという。その理由は、「研修のために移動しなくてもよい」「録画を使って空いた時間に研修を受けることができる」「保険の販売員には子供を持つ女性も多いため参加調整がしやすい」などだった。また Classroom の操作性に関しても、「マニュアルを見なくても直感的に操作できる」と「マニュアルを見れば問題なく操作できる」という回答が 9 割以上で、新たなツール導入への混乱も少なかった。
もうひとつ、主に支店のエリア情報の共有を目的として 2019 年 1 月から Currents が有効活用されている。それ以前は、表計算ソフトを利用していたが、各店舗の情報を本部で集約していたため情報の更新頻度が週 1 回程度と共有までにタイムラグが発生していた。そこで、誰もがリアルタイムに情報を共有できる 企業向けの SNS である Currents の活用を決定。まず沼津ブロックの 21 店舗への試験導入を経て、三島・伊豆ブロック、静岡ブロック、浜松ブロックにも Currents による情報共有サイトを展開し、広域なブロックでの本格運営を開始している。
Currents による情報共有サイトは、エリア情報、顧客のマッチング サイト、社内情報という カテゴリに分けて情報を整理。マネージャー以上の役席社員が情報のアップロードを行うことで、内容の精度を担保している。
「静岡県内の社員数は約 750 名ですが、今回は役席以上の約 280 名が Currents を活用して、リアルタイムの情報共有を実現しています。一般社員の情報は役席社員が集約して入力する運用とし、一般的な SNS にありがちな情報の氾濫を防ぎ、業務上必要な情報の精度と適性な量を保つようにしています。ブロック長は、他ブロックの情報を参照できるので、自ブロック以外の役立つ情報を共有することもできます。」(植松さん)
今後は対外的な活用への展開も
スルガ銀行では、Classroom や Currents など、その業務の特性に応じた効果的なツールを採用してきたが、これら Google Workspace の効果的な活用にあたり、テクニカル アカウント マネジメント(TAM)を 2020 年 5 月まで利用している。TAM では、移行作業のサポートや個別のニーズに合わせた機能の活用方法のアドバイスを実施。社内展開時のコツなどに加え、プロダクトのアップデート情報、障害発生時の詳細情報など、英語で先行提供されがちな最新情報も日本語で提供される。今回、スルガ銀行からの要望は TAM チームが直接 Google の担当部門に橋渡しをするなど個別具体的な相談が可能な体制であった。「Google Workspace 導入を検討、これから展開していくといったユーザーにとって TAM は非常に効果的だった」と当時の担当者は振り返る。
また、COVID-19 禍での移動の自粛や規制が求められた状況下においても、円滑なコミュニケーションを実現できているという。
「カレンダーで相手のスケジュールを確認でき、スムーズに Google Meet での打ち合わせ設定もできます。またドライブで情報共有することで、ファイルをメールに添付して送る必要もなく、古い情報を参照するなどのミス コミュニケーションもなくなりました。いわゆる普段のコミュニケーションの範疇ではありますが、かつてこういう部分で発生していた無駄が減り、現在は、Google Workspace がないと、全社員が困ってしまうくらい重要なツールになっています。」(植松さん)
今後、スルガ銀行では、タブレット端末と Google マップを組み合わせた営業活動を強化する計画だ。小林さんは、次のように語っている。「お客さまの情報を CRM に登録し、さらに Google マップと連動させて訪問する仕組みを活用していますが、この仕組みをさらに改善していきます。また Google Meet を使って、お客さまとリモートでコミュニケーションできる仕組みも実現したいと思っています。こうした取り組みのサポートを、Google Cloud には期待しています。」
(写真右から 所属部署、役職はインタビュー当時のものです)
・営業本部 静岡コミュニティバンク 推進役 植松 利勝 氏
・本店営業部 部長 小林 敏彦 氏
・営業本部 資産コンサルティング推進チーム 副部長 三浦 高秀 氏
スルガ銀行株式会社
1895 年 10 月 19 日、株式会社 根方銀行として設立。その後、いくつかの行名を経て、1990 年に現在のスルガ銀行に改称。「あってよかった、出会えてよかった、と思われる存在でありたい。」という企業理念に基づいて、静岡・神奈川を中心に、地域金融機関の使命である金融仲介機能を発揮し、地域経済の活性化に貢献。国内 128 店舗(うち、インターネット支店 11 か店)(2020 年 6 月 30日時点)で、主に個人・中小企業向けの金融商品の提案、ファイナンシャル サービスの提供、およびライフプランや企業経営に関するコンサルティング業務を展開している。
*2020 年10月、G Suite は新たに Google Workspace としてブランドを刷新しました。
その他の導入事例はこちらをご覧ください