顧客事例

株式会社プレイド:Anthos clusters on AWS を活用し、マルチクラウドでも GKE 由来の高度なマネージド環境を享受

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Web サイト訪問者やアプリ利用者の行動や情動をリアルタイムに解析し、適切なコミュニケーションをリアルタイムに提供できる CX プラットフォーム『KARTE(カルテ)』。マーケティング領域の SaaS として EC サイトをはじめ、人材、不動産、金融など幅広いサービスで導入が進む同サービスは、高速なレスポンスと優れた可用性を実現するためマルチクラウド環境でサービスを提供しています。そこで使われているのが Google Cloud のマルチクラウド プラットフォーム「Anthos」です。いち早くこのプロダクトを導入した同社にその活用のポイントを語っていただきました。

(利用している Google Cloud ソリューション)

アプリケーションのモダナイゼーション

(利用している Google Cloud サービス)

Anthos clusters on AWSGoogle Kubernetes EngineCompute EngineBigQueryCloud BigtablePub/Sub など

他社プラットフォームから Google Cloud、そしてマルチクラウドへ

2015 年のサービス開始以来、機能追加や事業規模の拡大に合わせ、流動的にシステム構成をアップデートしてきた『KARTE』。現在は Google Cloud と AWS のマルチクラウド構成で運用しており、Anthos clusters on AWS を駆使して、すでに実績のある Google Kubernetes Engine(GKE) の知見を活かしたかたちでの運用を可能にしつつ、ほぼ同等の機能を再現するに至っています。

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「現在、『KARTE』ではそれぞれのクラウドにおいて、サービスを大きく 2 つのサーバー群で動かしています。片方がクライアントの企業様に使っていただく管理画面を動かすサーバー群、もう片方が Web サイトにやってきた方々にコンテンツを届けるためのサーバー群です。Google Cloud 側では前者に GKE を、後者に Google Compute Engine(GCE)を使っています。」(大矢さん)

実はこれらサービスの基幹部分は、まだマルチクラウド構成を採用していなかったリリース当初には他社製クラウド プラットフォームで開発、運用されていました。しかし、2016 年ごろから段階的に Google Cloud への移行を進め、現在では周辺部分も含めほとんどの機能を Google Cloud 上に構築するようになっているそうです。その理由を、長らくこの移行作業を手掛けてきた、同社 Head of Engineering の竹村さんは次のように説明してくださいました。

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「Google Cloud の強みはデータ処理系の強さ。Cloud Bigtable や BigQuery など、ビッグデータを扱うプロダクトに魅力的なものが多いんですよね。特に『KARTE』のようなリアルタイムに、マッシブなデータを取り扱うサービスとの相性がすごく良い。そして、これらを中心にシステムを構築していくのなら、それ以外の部分も Google Cloud 上に作るのが効率的だと考えました。」(竹村さん)

そうして Google Cloud への移行を進めていく中で、行き着いたのが Google Cloud と既存クラウド プラットフォーム(AWS)とのマルチクラウド構成でした。

「全てを Google Cloud に移行するということも考えたのですが、社内議論の末、お互いの強いところを残すかたちがベストだろうという結論に至りました。感覚的な部分でもそっちの方が面白そうですしね。なにより、将来的なビジネスのグロースという観点からも、マルチクラウドの方が多くの機会を作れるのではないかという思いもありました。」(竹村さん)

こうして  2017 年ごろには Google Cloud を片翼としたマルチクラウドのシステムが完成。ほぼ同内容のシステムを 2 つのクラウド プラットフォーム上に構築しつつ、それぞれの強みも活かしていくことで、コスト パフォーマンスや可用性も大きく高めることができたと竹村さんは当時をふり返ります。

ところがその後、『KARTE』の事業規模が拡大し、サービス内容も複雑化していく中で、新たな問題が生まれます。2018 年ごろから社内エンジニアの人数が急増したこともあって、VM 上に構築していた従来のモノリシックなアーキテクチャーでは開発スピードがスケールしなくなってしまったのです。そこで新たな挑戦として、システムのマイクロ サービス化、コンテナ化に取り組むことになりました。

「ただし、リアルタイムに解析を行う部分については 2016 年からの取り組みでそれなりにブラッシュアップされたものができていたので、マイクロ サービス化、コンテナ化の対象から外し、管理画面など、それ以外の部分を対象にしました。この部分は、リアルタイムな解析を行うコアと異なり、そこまでインフラをカリカリにチューニングする必要がありません。それよりもエンジニアが素早くデリバーできることを優先しました。」(大矢さん)

いち早く Anthos clusters on AWS を導入してマルチクラウド運用をスムーズに

『KARTE』の成功によって生まれた新たな課題を解決するため、2019 年ごろからコンテナ技術を駆使したマイクロ サービス化を推し進め始めたプレイド。対象となったパートはそれまで VM に構築されていたのですが、これをコンテナへ移行するに際しては、GKE の使いやすさを評価し、新たに Google Cloud 上に構築することになりました。

その上で、当時、SLO(サービスレベル目標)が厳しめのシステムが増えていたこともあり、より高い可用性を確保するために、この部分もマルチクラウド化することを検討。そのタイミングで登場した(Google Cloud Next '19 San Francisco において構想が発表された) Anthos clusters on AWS はまさに渡りに船でした。

「AWS 上でも GKE 同等のスムーズな運用を実現するためにどうすればよいか考えあぐねていたところに Anthos clusters on AWS の発表がありました。そこで Google Cloud のカスタマー エンジニアに相談したところ、EAP(Early Access Program)版を触らせていただく機会を作っていただけました。さらに開発チームのプロダクト マネージャーとの打ち合わせなどを通じて、日本のメンバーともディスカッションしながら多くの不具合報告や改善要望などを出させていただきました。正直なところ、β 版の段階でもまだ、ピュアな GKE と全く同じように使えるわけではなかったのですが、ゼロから AWS での Kubernetes 運用を学ぶよりは学習コストを抑えて回していけるのではないかと考え、将来の機能向上にも期待して導入を決意しました。もちろん、その後も開発チームとは密接なやり取りを続けています。」(竹村さん)

「現状をお伝えすると、Anthos clusters on AWS の導入で、AWS 側も Google Cloud 側の GKE と同じように運用できるようになっています。現在は、竹村が苦労していたころと比べてドキュメントやツールも充実しており、機能面の問題もだいぶ解消しました。ただ、Workload Identity を利用して Google Cloud IAM と連携する機能など、まだ一部の重要機能が未提供なので今後、このあたりが改善されていくことに期待しています。」(大矢さん)

「逆に言えば、今残っている課題はそんなレベルのものくらい。初期を知っている立場からすると、ここまで来たかと感慨深い気持ちになりますね。」

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こうして理想的なマルチクラウド環境を実現し、目的としていた開発スピードの改善と、さらなる可用性の向上に成功した『KARTE』ですが、マルチクラウドを導入する前には、まず一度立ち止まって考えてほしいと竹村さんは言います。

「マルチクラウドはあくまで手段のひとつ。我々のような、大規模なデータ解析をリアルタイムで提供していくサービスを安定的に提供しなければならない企業には有用な仕組みですが、全てのサービスがマルチクラウドを必要としているわけではありません。まずは自社の事業にとってマルチクラウドが必要かどうかをしっかり検討すべきでしょう。その上でやはり必要だという場合は、Anthos のようなコンテナ技術を使ったマルチクラウド ソリューションで、スモールに、かつ壊しやすいかたちで始めることをおすすめします。」(竹村さん)

まだ先行き不透明な β 版の段階から Anthos clusters on AWS を導入し、大きな成果を手にしたプレイド。竹村さん曰く、同社のエンジニアは好奇心旺盛で新しいもの好き。最新技術にありがちな不具合も自ら乗り越えるメンタルを持っていると誇ります。

「それは今ある技術だけでミッションをクリアすることができないと知っているから。皆がまだ触ったことのない技術を駆使して新たな価値を生み出していくことが大事。『KARTE』を、プレイドの事業を、さらに上のレベルに持っていくためにも、Google Cloud にはさらに魅力的なプロダクトを生み出していってほしいですね。」(竹村さん)


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株式会社プレイド

「データによって人の価値を最大化する」をミッションに CX(顧客体験)向上にフォーカスしたさまざまな事業を展開。2015 年にサービスインした CX プラットフォーム『KARTE』の開発、運営を基幹事業に、CX にフォーカスしたビジネス メディア『XD(クロスディー)』、CX カンファレンス『CX DIVE』などを展開。従業員数は 193 名(2020 年 12 月時点)。

インタビュイー

・Head of Engineering 竹村 尚彦 氏

・Engineer 大矢 康介 氏


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