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顧客事例

パナソニック ホームズ : お客様の Life Time Value を最大化する為のデータ活用戦略 〜 BigQuery、Looker、YouTube 広告を活用した CDP 構築 〜

2023年12月6日
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Google Cloud Japan Team

編集部注: この投稿は、パナソニックホームズ株式会社 情報企画部 石井部長、水上氏 へのインタビューをもとに、 Google Cloud Japan: 製造チームが執筆したものです。


パナソニックホームズは、戸建住宅・賃貸集合住宅などの建築工事、 リフォーム工事の請負および施工、分譲用土地・建物およびマンションの販売、 不動産の仲介・賃貸管理、住宅システム部材販売など幅広い住宅関連サービスを提供しています。同社は、より優れたサービス提供を目指し、社内の営業データや顧客データなどを活用したデータ分析にも積極的に取り組んでいます。この度、 Google Cloud の導入により CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)を構築しました。今回は、パナソニックホームズ株式会社、情報企画部の石井部長、水上氏からのお話を伺い、その取り組みと成果について詳しくご紹介いたします。

利用している Google Cloud サービス : BigQuery、Looker、Cloud Storage
利用している ソリューション : データ分析

Google Cloud 導入前の課題

パナソニックホームズは、お客様の生涯にわたって最大の満足をお届けしたいと考えております。それに向かって”CS ナンバー 1”という標語を標榜して全グループで事業活動を推進しています。この目標実現の為にお客様データ基盤(カスタマー・データ・プラットフォーム)の構築が必要でした。

良質な建物をお客様にお届けすることだけでなく、お客様の生涯に寄り添って最大のご満足、「いかに豊かな暮らしをしていただくか」が”良い家”であると私共は考えてグループ全体で事業活動を行っています。

お客様の暮らしを豊かにしていくことを私達の事業に照らし合わせると、お客様と出会って良い提案をして、お客様のご要望をしっかり受け止めるお打ち合わせをした上でご納得頂いて契約を頂く、施工が終わりお引渡しした後はお客様の生活や建物のアフターサービスに関わらせて頂いて、その後にご家族の家族構成が変化したり、暮らし方が変化するそのような場面でネクストライフステージ提案としてリフォーム、建て替え、住み替え、資産活用をご支援する。このような繋がり方がお客様との正しい繋がり方であると考えています。

私達のグループの事業を支える IT システムは、それぞれの事業に最適化した仕組みを、必要とされたタイミングで、オンプレミス上に構築されて来ました。その結果として、データはサイロ化(分断化)され、お客様と寄り添い続けてお客様を生涯サポートし続けることに適したデータ構造にはありませんでした。

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パナソニックホームズ様 事例 「生涯お付き合い」を実現するための課題

加えて、お客様との「生涯お付き合い」を実現するために以下の要件への対応も必要でした。

① ID 統合:
・多岐に渡る事業において個別に登録された情報の統合、かつ、単なる ID 統合だけでなく、家族としての見える化

② スピード/アジリティ強化:
・請負事業インサイド セールス、賃貸事業セールスなど、各事業部門で発生するご要望に対する対応の迅速化

③ セキュリティ強化:
・PII データを取り扱う環境として、セキュリティや同意管理に対応した機能の実現

Google Cloud の選定理由

データのサイロ化(分断化)を解消し、お客様と寄り添い続けてお客様を生涯サポートし続けることに適したデータ構造への変更に際し、多くの時間とコストを掛けてもう一度オンプレミスでシステムを再構築するという選択肢もありましたが、お客様に寄り添う事業展開をより早く実現するために、今回それぞれの業務システムにあるお客様情報はそのままで、データを統合蓄積した上で分析活用する IT を構築する方針としました。

その方向性を念頭にソリューションを検討しました。

今回、私達が Google Cloud を採用した理由は、大きく以下4点です。

① オンプレで作り直すということなくいち早く実現するスピード

② データが増えてもコスト負担がそれ相応になっている

③ B2C 企業で非常に機微なお客様情報を取り扱うために、高いセキュリティの確保とその信頼性

④ 既存の数十万棟のお客様に加えて毎年数千棟の新たなお引渡しがあることで、毎年、多くのお客様情報が増えていくことに対する拡張性

以上のことを担保できるのが Google Cloud ということと判断し採用させて頂きました。

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パナソニックホームズ様 事例 Google Cloud を採用した理由

Google Cloud アーキテクチャ

CDP は大きく2つの機能を実現しています。

① ID 統合:
・オンライン行動と SFA 情報の紐付けを Google Analytics と Big Query のシームレスな連携により実現

・スピード/アジリティ:ダッシュボード上から対象顧客へのメール配信テンプレートを作成するなど、業務効率化に向けた機能開発を Looker にてQuick に実装

・Looker においては、画面をコード管理できるため変わりゆく画面要件に対して複数人で効率よく開発

②セキュリティ:
・非許諾されたデータについて、商談履歴も含め変更を検知したデータ物理削除を実装

・SQL だけでは複雑な名寄のロジックを開発できない DBT(Data Build Tool) を使った名寄せ機能の開発に際しても BigQuery との相性が良く、処理の簡素化や非属人化を実現

具体的なアーキテクチャ構造は下図に記載します。

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パナソニックホームズ様 事例 アーキテクチャ

導入効果とメリット

CDP 導入の効果とメリットに関しては大きく以下2つの点があります。

(1)最適暮らし提案

住宅を検討されているお客様に最適なタイミングで最適な提案を実施するために、お客様属性やお客様との接点を持っているインサイドセールスとのやり取りなどを Big Query で統合・分析し、その上で Looker で可視化をし、これによってお客様の兆しを察知し、最適なタイミングで最適なアプローチを実現しています。

(2)グループ横断統合お客様カルテ

私達は、新築請負、リフォーム事業、不動産事業というお客様の Life time value に関わる事業を長く持っています。この各々の事業で管理されていたお客様情報を完全に一人のお客様へと見える化することを狙いとして構築したのがグループ横断統合お客様カルテになります。

これにより、各事業システムに持っているお客様情報、物件情報の集約と集約したお客様・物件情報を BigQuery 上で名寄せ(統合お客様 ID 構築)が可能となり、これまで把握が難しかった各事業におけるお客様動向や当社対応の共有を容易化し、よりお客様に寄り添った応対が実現できました。

今後の展望と Google Cloud への期待

今後、スマートホームにお住まい頂くお客様の生活データやお客様がお使いになられる IOT 機器から発生するデータなどを今回のお客様データ基盤にのせて、最適な便利で快適なサービスをご提供してゆきたいと考えております。

打ち手としては以下2点を考えております。

(1)暮らしデータ(IoT 機器やセンサー情報)活用による快適サービス提供

想定される必要機能:

・お客様の暮らしの中で生まれる色々な生活データの蓄積

・Google Cloud を活用しデータ分析

・分析データを基に、お客様が快適に暮らすためのサービス提供を実現

(2)くらしの変化を予兆し最適タイミングで解決コンテンツを提供

想定される必要機能:

・BigQuery × Looker でお客様担当に変化タイミングを通知

・家族構成やライフスタイルの変化に伴い、住まい方をアップデートするリフォームや住み替え情報など最適なタイミングで提案

お客様のご家族が増えたりお子様が独立されたり、もしくはご両親からお子様へ資産を移されるとか、リフォームを検討されるとか 自社で持つ 1st パーティデータを上手く活用して次のセカンド ステージのご提案を進めてゆきたいと考えております。

また、データ分析の応用として、AI/ML の分野においても、写真や図面を分析し、お客さまの好み、ニーズ、そしてトレンドを定量的に掴むことで、商品マッチングの質を向上させていく計画です。BigQuery は AI/ML との親和性も高く、BigQuery のデータを移動させずに機械学習モデルの作成ができるため、データを AI/ML で活用していくことにも期待を寄せています。冒頭で申し上げたように、お客様に価値と喜びを届けるために最新テクノロジーを積極的に活用していきたいと考えています。

Google Cloud エンジニアのコメント

パナソニックホームズ様は、Google Cloud の BigQuery と Looker をご採用され、既存のオンプレミスのシステムに対する影響を回避しつつ、少人数で短期間での CDP 構築を実現されました。

その実現に際しては、BigQuery と Looker の以下の特長を効果的にご活用頂けたと考えます。

・フルマネージ ドサービスである BigQuery のご活用により、従来必要であった大規模データの高速処理を実現するための設計・管理・運用工数の低減を図られるとともに、最大限の工数を分析アプリ開発に投入され、結果として短期間での CDP 構築を実現された

・ブラウザだけで利用できるフルマネージド BI サービスである Looker により、利用者のアクセス容易性を図るとともに従来必要とされた環境構築作業を短縮し迅速な分析業務開発を促進された

当プロジェクトは、パナソニックホームズ様の既存システムへの大きな影響を回避した上での先進技術の積極的なご採用と、Google Cloud の特長を最大限に活かして頂いた結果であると考えます。今後は、パナソニックホームズ様のデータ分析がより浸透していく中で、スマートホームを念頭に於いた AI/ML 活用の実現にもご支援させて頂きたいと考えています。

(Google Cloud Data Analytics Customer Engineer : Takeshi Okano)


パナソニックホームズ株式会社(英: Panasonic Homes Co., Ltd.)は、大阪府豊中市に本社を置く住宅総合メーカー。1963 年(昭和 38 年)7 月 1 日設立(創立 60 周年)。創業者は松下幸之助。会社創業の理念「住まいは人が暮らしていく上で最も大切な場であり、人格を形成していくもの。それにふさわしい良き家をつくりたい。」

(インタビュイー)

パナソニックホームズ株式会社
情報企画部
石井部長、水上氏

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