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顧客事例

宮崎市: Google Cloud のソリューション採用による DX 推進で働き方改革と職員の意識改革を実現

2024年3月25日
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Google Cloud Japan Team

デジタル技術を活用した市民サービスの提供や庁内業務の効率化を目的に、2023 年 4 月にソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク)と「自治体DX推進に関する連携協定」を締結した宮崎市。テレワークや電子申請、ペーパーレス化など、宮崎市の DX を推進する取り組みの一環として、Google Workspace をはじめとする Google Cloud のソリューションを採用しています。このプロジェクトについて、宮崎市 デジタル支援課の担当者および導入をサポートしたソフトバンクの担当者にお話を伺いました。

利用しているサービス:
Google Workspace, Chromebook, BeyondCorp Enterprise

完全ウェブベースで使い勝手が良い Google Workspace を採用

2022 年 2 月に宮崎市長に就任した清山 知憲氏。宮崎市は、同年 7 月に「宮崎市デジタルチャレンジ宣言」として「市民、地域、市役所」の 3 つの分野において、デジタル技術を最大限に活用し、市民一人ひとりが豊かに暮らせるまちづくりを目指しています。具体的には、「職員の意識改革」と「働き方改革」に取り組んでいますが、その中心的な取り組みの 1 つがデジタル トランスフォーメーション(DX)の推進であり、DX を具現化するため「宮崎市DX推進方針」を策定しています。

宮崎市DX推進方針では、「いつでも、どこでも、手軽な行政手続き」と「行かない、書かない、待たない、時間や場所に制約のない市民サービスの実現」を市民向けに、「市民や企業がデジタルの恩恵を享受できる地域の環境を整備」を地域向けに、「職員の生産性を高めることを目的に、デジタル社会に対応するワークスタイルへのシフト」を市職員向けに基本方針を立てています。これらの具現化について、宮崎市 総合政策部 デジタル支援課 課長の三輪 将太氏は、次のように語ります。

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「デジタル支援課は、市民向け、庁内向けのデジタル化に関するあらゆる取り組みを推進しています。特に職員には、ワークスタイルのシフトを求めており、台風や地震などの自然災害時においても、場所を問わずに業務が遂行でき、行政機能をストップさせない環境の構築が重要な取り組みの 1 つです。また、庁内のデジタル化の課題は、紙の文書中心の業務を行っていること、システムへのアクセスや働く場所が限定されていること、デジタル人材が不足していることでした。そのため、2022 年より職員にはテレワークを推進。また、2023 年度は電子申請の実現や、庁内のペーパーレス化を積極的に進め、刊行物のデジタル化にも取り組み始めたところです。」

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課題解決に向けた検討の結果、職員向けの業務端末環境として Google Workspace と Chromebook の組み合わせを採用しました。その理由を宮崎市 総合政策部 デジタル支援課 課長補佐 兼 デジタル第一係長の松浦 裕氏は、「これまで使っていたオフィスツールは、クラウド未対応だったため刷新が必要でした。Google Workspace は、完全ウェブベースで使い勝手が良く、必要な機能がすべてパッケージされ、新しい課題への適応性も高く、管理や運用が楽なことから採用を決めました」と話します。

また、ゼロトラスト プラットフォームとして BeyondCorp Enterprise を導入していますが、その理由を松浦氏は、「業務端末からのアクセスが、宮崎市のドメインから外部に出ない設定や端末ごとのアクセス権の設定など、ゼロトラストを容易に実現できる仕組みであることから BeyondCorp Enterprise を採用しました。決め手は Google Workspace との連携の親和性で、2025 年度には個人情報を扱う業務とは別に、これまでの LGWAN 接続系ネットワークでもセンシティブな情報を取り扱える仕組みを BeyondCorp Enterprise をベースに実現する計画です」と話しています。

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Chromebook の採用でキッティングの作業時間を約 8 割削減

Google Workspace と Chromebook の導入は段階的に実施。まずは 2022 年 9 月に Business エディション 100 ライセンスを導入し、市長をはじめ総合政策部 デジタル支援課、働き方改革部門、企画・秘書部門などで利用を開始しました。次に 2023 年 10 月に Enterprise エディション 300 ライセンスを導入し、部長クラス以上の幹部職員、観光商工部門、東京事務所、財政部門、総務部門で利用できる環境を構築。さらに 2023 年 12 月には、Enterprise エディション 4,000 ライセンスを全職員向けに準備しました。

導入に当たり、人材育成の一環として、各課に配置しているデジタル化推進委員にデジタルスキル向上を目的とした研修を実施しています。三輪氏は、「この研修では Google Workspace の概要や使い方をレクチャーします。特に若い職員に研修を行うことで、全体のデジタルスキルの底上げを目指しています。一方で、部長クラス以上に対してはハンズオンの研修や、直感的に使えるツールの Google Meet などを活用し、楽しく学んでいただいています」と話します。

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業務面での効果を宮崎市 総合政策部 デジタル支援課 主幹 兼 デジタル第二係長の長友 亮氏は、次のように話します。「Google Workspace は、文書の検索も速く、Google カレンダーによるスケジュール管理も容易で、Google Meet で打ち合わせができるなど、業務効率化につながっています。また以前は、報告書の印刷と配布が決まり事で、修正があると再度印刷と配布が必要でした。しかし、Google Workspace は画面上で報告書が共有でき、追加したコメントからリンクで関連資料に遷移することもできるのでペーパーレス化も実現できました。」

一方、システム面での効果を松浦氏は、「バックアップやプロダクトのバージョン アップが不要など、運用管理の作業負荷が大幅に軽減されています。これまで PC のキッティング作業のために会議室を数か月占有していましたが、Chromebook の採用によりキッティングの作業時間を約 8 割削減できます。大規模な導入は 2024 年度以降を予定していますが、市役所には会議室が少ないので、キッティングのために会議室が占有されて会議ができないといった課題も解消される見込みです」と話します。

今後の展望について三輪氏は、「Google Workspace は使えば使うだけ効率が上がるツールで、『 1 年前はこんな働き方は全然想像していなかった』という声が上がるほど職員の意識改革が進みました。今後の政策立案にはデータの活用が鍵になるため、ある部署が持っているデータと別の部署が持っているデータ、自治体データ、オープンデータ、民間データなどさまざまなデータと生成 AI を掛け合わせることで、より一層住民満足度の高いサービスを創出できるのではないかと考えています。そのためのサポートを Google Cloud には期待しています」と話しています。

また、 2022 年より宮崎市 総合政策部(デジタル化推進担当)CIO 補佐官となった若林 卓也氏は、次のように話します。

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「私は公募で民間企業から任期付職員として宮崎市役所に入所しているのですが、まず感じたのは、職員の皆さんが自由にインターネット上で便利で使いやすいグループウェアが導入されていないことです。それでは業務で大変苦労をされているのではないかと推察しました。また時を同じくして宮崎市は市役所改革プランを掲げ、職員の仕事・働き方改革も進めているところでしたので、出向元企業でも使っていた Google Workspace が有効なのではないかと考えました。導入に際しては市長とも意見を重ね、ペーパーレス化などによる業務改革はもちろん、自然災害時における有効性などもご理解をいただきました。」

市長とともに災害対応を含む市役所改革プランを短期間で推進

今回、Google Workspace、Chromebook、および BeyondCorp Enterprise の導入をサポートしたのは、Google Cloud パートナーであるソフトバンクでした。ソフトバンクでは、2022 年 4 月より、「宮崎市デジタルチャレンジ宣言」を実現するための「自治体DX推進に関する連携協定」に基づき、伴走パートナーとして宮崎市の DX 推進を支援しています。

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Google Workspace の導入について、ソフトバンク 公共事業推進本部 本部長補佐の早川 知宏氏は、「今回、デジタル支援課との緊密な連携による丁寧なサポートが、全庁へのスムーズな導入につながったと思っています。今後、弊社としては、Google Workspace の導入を 1 つの契機として、宮崎市、Google Cloud、ソフトバンクの 3 者連携で生成 AI の共同研究など、先進的な取り組みを推進し、共同プロモーションにより市民の皆さまにデジタルの恩恵、楽しみをお伝えしたいと考えています」と話します。

ソフトバンクのサポートについて三輪氏は、「我々がいくら Google Workspace は安全です、業務効率化につながりますと言っても、新たな環境におかれる職員にとってはなかなか理解しにくい面もあったと思いますが、ソフトバンク社内における利用実績もあったことから安心して Google Workspace を導入できるという印象をもっていただくことができました。これから、生成 AI を活用した自治体サービス向けの仕組みが実現できないかを検討していきます。具体的には、2024 年 1 月 30 日に宮崎市とソフトバンクで交わした「生成AIの共同研究に関する覚書」を基に、Google Cloud の生成 AI を『宮崎市版生成AIモデル』として 8 月末まで試験導入し、業務効率化に向けて、会議の議事録作成の自動化や市独自の内部規定を自動応答させるなどの検証を行っていく予定です。


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宮崎市
宮崎県の南東部に位置する、宮崎県の県庁所在地。1998 年より県内で人口が最多の中核市であり、フェニックス・シーガイア・リゾートや青島、プロ野球、 プロサッカーのキャンプ地など、数多くの観光資源を持つ観光都市でもある。宮崎市は 2006 年 1 月に佐土原町、田野町、高岡町と、2010 年 3 月に清武町と合併。総人口は 39 万 6,695 人(2024 年 3 月 1 日現在)。2024 年 4 月 1 日に市制 100 周年という大きな節目を迎える。

インタビュイー(写真左から)
・総合政策部(デジタル化推進担当) CIO補佐官 若林 卓也 氏
・総合政策部 デジタル支援課 課長補佐 兼 デジタル第一係長 松浦 裕 氏
・総合政策部 デジタル支援課 主幹 兼 デジタル第二係長 長友 亮 氏
・総合政策部 デジタル支援課 課長 三輪 将太 氏

ソフトバンク株式会社
(Google Cloud パートナー)
1986 年 12 月 9 日に設立。「情報革命で人々を幸せに」という経営理念に基づき、移動通信サービスの提供、携帯端末の販売、固定通信サービスの提供、インターネット接続サービスの提供を事業として展開。Google Workspace / Google Cloud のプレミア パートナーとして、Google Workspace では操作スキルや業務効率の向上を目的とした研修プログラムや独自のエンドユーザー サポートを提供し、導入後の活用促進を支援。Google Cloud の活用ではサービスの基礎的な使い方や用途に応じた設計など、顧客のニーズに応じたさまざまなトレーニングを実施することでスキルの向上に貢献している。

インタビュイー

・公共事業推進本部 本部長補佐 早川 知宏 氏


その他の Google Cloud 導入事例はこちらを、Google Workspace 導入事例はこちらをご覧ください。

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