100 年先も続く、働くを支えるクロスビットの挑戦 - Google Cloud が支える未来のワークフォース マネジメント
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Google Cloud Japan Team
編集者注: Google Cloud を利用する企業のリーダーの皆様にお話を伺い、想いを語っていただく Google Cloud Leader’s Story。本記事では、クラウドシフト管理サービス「らくしふ」をはじめとしてさまざまな「働く」課題の解決に挑む株式会社クロスビットにお話しを伺いました。
利用しているサービス:Cloud Run, GKE, Cloud SQL, AlloyDB, Security Command Center など
「はたらく」先の “最高” というビジョンを掲げ、ユーザーである働き手と事業者、そしてそのサービスを受ける方にまで “最高” な体験・影響が与えられるようなソリューションの提供を目指しているのが、ワークフォース マネジメントの領域で急成長を続けるクロスビット。その主力サービスである「らくしふ」は、導入事業所数 25,000 店舗を超え、ユーザー数は 100 万ユーザーへと近づいています。今回は、CTO としてエンジニア組織をリードする Amol Bondre 氏に、同社のカルチャーや Google Cloud 導入の背景、そして今後の展望について話を伺いました。
課題解決にフォーカスするカルチャーと組織づくり
労働人口の減少は、多くの企業にとって深刻な課題です。従業員の不足は、生産性の低下や企業の成長阻害に繋がりかねません。一方で、人が最も楽しく健康的で、かつパフォーマンスを発揮できる “最高” の働き方はそれぞれです。
このような複雑な問題が働く現場には存在する中、クロスビットは、顧客の課題解決にフォーカスするカルチャーを大切にしている。Amol 氏は、「私達はプロダクトを売ることが目的ではなく、お客様のビジネスプロセス上の課題にどうプロダクトをフィットさせて解決し価値提供していくかにフォーカスしています。」と語ります。
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これを実現していくためには、エンジニア組織もビジネスサイドと近い距離で働くことが不可欠だ。同氏は次のように続けます。「会社のゴールとテクノロジーを整合させるために、会社としてのビジネスグロースがどこから生まれるか、そこに対してどのように価値をつくろうとしているか、その価値を最大化できるテクノロジーはどんなものかを、ビジネス部門、プロダクト部門、エンジニア部門が連携して考えています。」
このような顧客課題へフォーカスするカルチャー、真に価値を生むための取り組みが、プロダクトの継続利用率の高さや事業の急成長につながっている。
課題解決にフォーカスしたカルチャーは、エンジニアの組織づくりにも反映されている。Amol 氏によれば、エンジニアチームはフロントエンドとバックエンドでわかれているのではなく、「らくしふ」の開発、新規プロダクトの開発、サービス全体のプラットフォームの開発をする 3 つのグループのもとで、複数のチームがプロダクトの機能や解決すべき課題に合わせて柔軟にチームを組んでいけるような体制にしているとのことだ。
さらにテクノロジーを選定する上でも、課題解決の価値をどう最大化するか、そしてどれだけ課題解決のスピードを上げることに繋がるかという目的に沿っていれば、チーム全体の方針は意識しつつもエンジニアのニーズをもとに新しい技術スタックの活用も積極的に行っているという。
このような組織づくりは自身の大手企業での経験が活かされています。Amol 氏は、「大手企業ではチームや役割が細分化する傾向があり、個人としてもシステムやプロダクトの全体をフルスタックで経験することは難しい場合もあります。また希望する役割や技術を使えないケースもある。個人としては比較的スタートアップのほうがラーニングが高まり、それがやりがいや自信につながり、組織全体のパフォーマンスも向上すると感じます」と語ります。
コア技術の数理最適化アルゴリズムを Cloud Run で実行
クロスビットの技術的な特徴の一つに、シフト作成に数理最適化アルゴリズムを活用している点が挙げられます。シフト管理は、従業員の希望、時間帯ごとのスキル条件や必要人数、労務ルールなど、多くの要素を考慮する必要があるため、人間が最適化するのが難しい領域です。
Amol 氏は、「複数の数理最適化アルゴリズムをダイナミックに組み合わせることでこれらの要件をすべて考慮した最適なシフト案を提案することができるのが、「らくしふ」の技術面での強みです」と語る。このアルゴリズムは、Rust で実装されており、Cloud Run 上で稼働しています。高速な実行性能、型安全の特徴をもつ Rust のプログラムを完全なサーバーレス環境で実行しており、高度なアルゴリズムを必要十分な速度で動作させることができていると言います。
クロスビットが Google Cloud を採用したきっかけは、Google Cloud Startup Program でした。このプログラムを活用することで、インフラストラクチャのコストを抑制し、製品開発に集中することができたと言います。
Google Cloud の使いやすさと、多様なソリューションは、スタートアップであるクロスビットにとって理想的でした。「実は当初、「らくしふ」の一部の機能は他社のプラットフォーム上にありました。Google Cloud の柔軟性のおかげで、この機能を Google Kubernetes Engine に容易に移行することができました。また、Cloud Run で数理最適化アルゴリズムを稼働させることもできています。Google Cloud なら、どのようなワークロードにも適切なプラットフォームが見つかると感じています。」
さらに直近では、成長に伴い CI/CD 基盤の整備やセキュリティの強化を進めている。Security Command Center を活用することで、ISO や ISMS といった規格への対応状況が可視化され、次の改善に向けて必要な取り組みの把握が容易になったと評価しています。
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今後の展望
クロスビットは、今後も Google Cloud を活用し、より多くの企業のワークフォースマネジメントを支援していくことを目指しています。
「これまでクロスビットは外食、ホテル、小売向けと事業領域を拡大してきました。同じワークフォースマネジメント でもこれらの業界で課題やニーズは異なるため、より幅広い業界で高い価値がだせるようプロダクトをアップデートしていく方針です。さらに今後は、「らくしふ」に集まったデータを活用することで新しい付加価値を提供できる方向性を考えています。」と Amol 氏は今後の展望を語ります。
クロスビットは、Google Cloud を活用することで、従業員と企業双方にとっての「働きがい」を追求しています。同社の取り組みは、労働人口減少という社会課題の解決に貢献するだけでなく、働き方改革を推進する上でも重要な役割を担っています。
クロスビットの今後の成長に、ますます期待が高まります。
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株式会社クロスビット
2016 年設立。株式会社クロスビットは「100 年先も続く、働くを支える」をミッションに、シフト作成、労務管理、予実管理・人件費などの可視化・最適化まで、シフト管理業務の DX を実現する『らくしふ』を提供しています。働く全ての人々が理想的な生活を送れる社会を創ることを目指しています。
インタビュイー
株式会社クロスビット
CTO Amol Bondre 様