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顧客事例

LegalOn Technologies: 新サービス「LegalOn Cloud」ローンチに向けて、プロダクト基盤を Google Cloud に一本化

2024年9月27日
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Google Cloud Japan Team

「法とテクノロジーの力で、安心して前進できる社会を創る。」をパーパスに、AI を活用した契約書レビュー支援サービスなどを提供する株式会社 LegalOn Technologies(以下、LegalOn)。国内スタートアップのリーディング カンパニーとして、2017 年の創業以来注目を集め続けてきた同社は、今後の事業の中核を担う AI 法務プラットフォーム「LegalOn Cloud」の立ち上げに際し、プロダクトごとにバラバラだったクラウド プラットフォームの統合を決定。その基盤に Google Cloud を選んだ理由と成果を伺いました。

利用しているサービス:
Google Kubernetes EngineAnthos Service Mesh など

利用しているソリューション:
Application Modernization

機能面からコスト、サポートまで幅広い検討の末に Google Cloud を選択

契約書の内容を AI が網羅的にレビューし、リスクの見落としや、必要条項の抜け漏れ防止をサポートする AI レビューサービス「LegalForce」と、締結済み契約書の管理をサポートする AI 契約管理システム「LegalForceキャビネ」を中心に、法務と契約ドメインで事業を展開している LegalOn。2024 年 4 月に満を持してリリースした AI 法務プラットフォーム「LegalOn Cloud」は、これまで培ってきた自然言語処理技術と機械学習技術に加え、大規模言語モデル(LLM)も活用しており、契約業務だけにとどまらない法務領域における包括的な支援を行う新サービスです。

これまで LegalOn では、各社のクラウド プラットフォームを目的や用途に応じて導入。Google Cloud は、「LegalForceキャビネ」のプロダクト基盤および、社内データ基盤、機械学習基盤として活用してきましたが、次世代サービスとなる「LegalOn Cloud」の開発を機に従来の方針を見直し、プロダクト基盤を Google Cloud に一本化することに決定。その経緯を、同社執行役員 CTO の深川 真一郎氏は次のように語ります。

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「『LegalOn Cloud』の立ち上げに際し、改めて我々が LegalOn としてやりたかったことに向き合う時間を作りました。そこで多くのメンバーから上がったのが、契約を締結するまでの支援を行う『LegalForce』と、契約締結後に利用する『LegalForceキャビネ』は、本来ひと続きであるべきではないかという声です。両者は異なるクラウド プラットフォーム上で稼働していますから、サービスを連携させてシナジーを生み出すのが難しい状況にありました。また、似たような機能を別に開発しなければならないなど、コスト面の課題も指摘されており、開発リーダーらとの話し合いの末、これを機に基盤を統合することにしたのです。」

この判断を受けて、同社では 2023 年春から「LegalOn Cloud」で利用する、今後の主軸となるクラウド プラットフォームの選定を開始。サービスの機能面やセキュリティ、サポートなどの非機能面、コスト優位性、現在のシェアと将来性、自社エンジニアの習熟度や採用への影響など、多方面から検討を行った結果、Google Cloud が選ばれました。

「Google Cloud にはノックアウト ファクターがなく、あらゆる点で満足いくパフォーマンスを備えていました。機能面ではコンピューティング リソース基盤として Google Kubernetes Engine(GKE)の優位性があり、すでに稼働している BigQuery を中心としたデータ分析基盤との親和性にも優れています。なにより、我々が重視する AI の分野で Google が世界的なリーダーの 1 社であることが選定を後押ししました。」(深川氏)

GKE Autopilot や Anthos Service Mesh で運用負荷を低減

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上図は「LegalOn Cloud」のシステム構成図です。開発にあたって特にこだわったのが、同社として初となる GKE の本格導入でした。その狙いについて、深川氏と同社プラットフォーム開発チームのリードを務める杉田 寿憲氏は次のように説明します。

「『LegalOn Cloud』は、1 つのプラットフォーム上でさまざまなフィーチャーが提供されており、その中からユーザーが使いたいものを組み合わせて、より大きなシナジーを生み出していくプロダクトです。もちろん、それぞれが単体でも十分な価値を持つことを目指していますから、各フィーチャーを独立して作り込んでいけること、連携をしっかりコントロールして予期せぬ事故を防げる仕組みを用意する必要がありました。」(深川氏)

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「そのため、当初から多数のマイクロ サービスを協調動作させやすい Kubernetes を利用することが決まっていました。とりわけ GKE はそれぞれの開発チームが独立して運用できるマルチテナント体制が非常に作りやすく、GKE Autopilot や Anthos Service Mesh で運用負荷を抑えられること、BigQuery などとの連携も容易な点が気に入っています。単に協調動作させるだけであれば Cloud Run などの選択肢もあり得たのですが、サービス間の細かなコントロールのしやすさや、今後、プラットフォームとしてデプロイツールなどを統合していくという観点から、今回はより拡張性に優れた GKE を選択しました。」(杉田氏)

その上で深川氏は、Google Cloud の各種ネットワークおよびセキュリティ サービスが「LegalOn Cloud」の構築にも大きな貢献をしていると言います。本プロダクトの信頼性を支える SRE(Senior Engineer)である清水 裕亮氏も同意しつつ、詳細について語ってくれました。

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「このプロダクトでは、弊社の情報資産管理ポリシー上、最も厳しいレベルに指定されている契約書の情報などを扱いますから、かなり厳しいアクセス制限を行っています。その点、Google Cloud は、IAM(Identhity and Access Management)や RBAC(ロールベース アクセス制御)を用いたきめ細かなアクセス制御、VPC SC(VPC Service Controls)などを使用したセキュリティ境界によるデータの保護、組織ポリシーによるガードレール、監査ログの取得と不正検知などをクラウド任せで簡単に実現できるのがありがたかったです。」

なお、「LegalOn Cloud」では、高度なセキュリティ体制を実現するべく、Security Command Center のプレミアム ティアを導入済み。その検討に際しては Google Cloud のサポートチームが大きく貢献したと言います。

「導入の検討を相談したところ、すぐにワークショップを設定してくださり、用意していただいた検証環境で、実際に手を動かしながら導入を判断できました。」(杉田氏)

Gemini や Vertex AI Search をはじめとした AI 系ソリューションに注目

こうして当初の予定どおり、約 1 年の開発期間を経て、2024 年 4 月にリリースされた「LegalOn Cloud」。その中でも大きな課題となっていたクラウド プラットフォーム統合の手応えについて、深川氏は「統合以前のサービスも残っているため、完全に解消したわけではありませんが」と前置きしつつ、Web アプリケーション、検索エンジン、構造解析、機械学習、データ基盤といった、それぞれのチームがオーナーシップをもって管理していたプラットフォームが Google Cloud に統一されたことによって、ナレッジの共有や問題解決がしやすくなったとプロダクト基盤の一本化を評価。その結果として、以前よりも少ない人数でプラットフォームのメンテナンスができるようになったと説明します。

「LegalOn Cloud」の開発は、これで終わりというわけではありません。同社は今後もさらなる機能拡充に向けてアップデートしていく予定です。

「ありがたいことに、サービスをローンチする以前から 200 社ものお客さまにご契約いただいており、その期待に応えるべく完成度をさらに高めていく取り組みを進めています。機能をさらに強化し、より多くの課題を解決できるようにすること、よりリッチで高機能で、競争力のある AI を提供すること、そしてグローバル展開の加速が今後の我々の目標と課題です。これらを実現するうえでも、Google Cloud は引き続き貢献してくれると考えています。中でも特に、Gemini や Vertex AI Search をはじめとした AI 系ソリューションには注目しており、モデル自体の高度化だけでなく、利活用をより推進するためのエコシステムの充実、強化に期待しています。」(深川氏)


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株式会社LegalOn Technologies
2017 年に設立された法務・契約ドメインでサービスを提供するスタートアップ。AI レビューサービス「LegalForce」、AI 契約管理システム「LegalForceキャビネ」など、現在までに 5,500 社以上にサービスを提供してきた。2022 年には US 子会社をサンフランシスコに設立するなど、海外展開も精力的に行っている。従業員数は 577 名(2024 年 6 月時点 / 連結)。

インタビュイー(写真左から)
・SRE / Platform Engineer 杉田 寿憲 氏
・執行役員 CTO 深川 真一郎 氏
・SRE 清水 裕亮 氏


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