顧客事例

くら寿司:GKE や Edge TPU などを駆使して来店から会計までを完全自動化し、新しい生活様式のためのサービスを提供

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大阪を起点に日本全国 47 都道府県すべてに店舗を展開する大規模回転寿司チェーンくら寿司株式会社(以下、くら寿司)。浅草や道頓堀、原宿、押上に「食」と「エンターテイメント」の融合を掲げ、「ジャパンカルチャー」の発信拠点とするグローバル旗艦店をオープンするなど、とりわけ “体験” にこだわる同社が、最新のクラウド テクノロジーをどのように活用しているのか。その取り組みと成果を、テクノロジー開発部の皆さんに伺いました。

利用しているサービス:

Google Kubernetes EngineCompute EngineApp EngineEdge TPU


利用しているソリューション:

アプリケーションのモダナイゼーション

コンテナや AI など Google Cloud の強みを生かして業務効率を向上

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スマートフォンで予約をし、チェックインすると店頭の自動案内機が用意された席までのルートを案内。席では自分のスマートフォンを使って注文でき、食べ終わったお皿のカウントから会計まで、すべての工程が自動化されている。そんな、くら寿司の「スマートくら寿司」が飲食業界で大きな話題となっています。

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スタッフを介さない、機器に触れないことが重要な新型コロナウイルス感染症対策の観点から特に注目されているこの取り組みですが、開発を担ったくら寿司 テクノロジー開発部は、自動化の構想はそれよりも前から始まっていたと言います。

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「くら寿司では新型コロナウイルス感染症の流行以前から、顧客体験の向上と従業員の負担軽減を目的として、店舗の自動化を積極的に推進してきました。たとえば、店内据え付けのタッチパネルではなく、お客さまご自身のスマートフォンで注文を行えるようにする『スマホで注文』は、2017 年頃から検討を開始し、2019 年夏頃に店舗導入をしています。」(テクノロジー開発部 杉山氏)

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そして、そのためのインフラとして選ばれたのが Google Cloud でした。それまでのくら寿司は、自社の IT 基盤をオンプレミスで構築・運用していたのですが、オンプレミスでは社内サーバが停止してしまうリスクを十分に回避できない事から、 Google Cloud を導入。Google Cloud のデータ分析、機械学習系のシステムに強みがあると判断したことが選定の理由だったと言います。2019 年には店舗システム DB を Compute Engine 上に構築。以降は多くの店舗向けシステムをクラウド上で運用していくようになったそうです。

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「『スマホで注文』は、我々が初めて GKE(Google Kubernetes Engine)を使って作りあげたプロダクト。GKE を選んだのはセキュアな環境で複数のコンテナを自動的にスケーリング(増減)したいという要件があり、こうした条件などを満たせるのが当時は GKE だけだったのです。コンテナ技術を扱うのは初めてのことで、まったくの手探り状態からのスタートだったのですが、開発パートナーや Google Cloud のサポートもあって何とか作りあげることができました。業界に先駆けてこうした仕組みを実現できたことは我々にとって大きな成果だったと考えています。なお、現在はこの仕組みを海外に展開する取り組みを行っており、すでに一部の台湾の店舗には導入済みとなっています。」(テクノロジー開発部 大槻氏)

「この際、現地に開発・運用メンバーを置かずにサービスが提供できるのも Google Cloud 上に構築したメリットだと考えています。このご時世、国内のエンジニアを海外に派遣せずにすむのはとてもありがたかったですね。」(杉山氏)

そしてもう 1 つ、「スマートくら寿司」の成果として特筆すべきものに、会計前の皿カウントを自動化・無人化する会計セルフチェック機能が挙げられます。従来もタッチパネルからの注文についてはシステムで把握できていたのですが、回転レーン上を流れる皿を取った場合の正確なカウントが難しく、結局は実際にスタッフがカウントする必要があったそうです。

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「そこで新たに、回転レーン上から取った皿の枚数を、AI を活用してカウントするシステムを作りました。従来からあった「皿カウンター水回収システム」で皿の枚数をカウントする仕組みとのダブルチェックで数え間違いを防いでいます。寿司ネタについてはカバー上に貼り付けた QR コードでチェックしています。」(テクノロジー開発部 田中氏)

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なお、この AI の推論には Edge TPU を使用。約 1 年かけて汎用性のある AI モデルを作りあげていったと田中氏は当時を振り返ります。

この仕組みにより、スタッフの負担を増やすことなく業務の効率化を実現。その分、接客の質の向上や食事が終わったテーブルの片づけに充てることができ、回転率の向上にも寄与しています。

コロナ禍の中でも、くら寿司が求めるスピード感のある開発を内製で実現

これらの仕組みをすべて社内主導で作っていることもくら寿司のユニークなところ。杉山氏曰く、その根底には創業者・田中 邦彦社長の『まずは自分たちで考える、そして実行する』という教えがあるとのことです。

「くら寿司はいろいろな方面でチャレンジングな会社。他社に先駆けてプロダクトやサービスを提供したいという思いが強くあり、そのためのスピード感を大切にしています。そう考えるとやはり自分たちで作ってしまうのが一番速いな、と。くら寿司のエンジニアには店舗経験者も多いため、本質的な課題を把握しやすく、現場の実情に応じた対応を迅速に行えるという強みがあります。また、万が一トラブルがあっても開発段階から自社で行っているため、即座に原因究明・対応可能です。すでに 30 を超えるシステムを自社で開発し、その多くが Google Cloud 上で稼働しています。」(杉山氏)

そして、そうしたシステム開発において、Google Cloud ならではの特性が大いに生かされていると言います。

「たとえば、くら寿司では 2020 年春から『ネットで社長のジャンケン大会』という取り組みを定期的に行っています。これは Web のフォームを通じてお客さまとじゃんけんを行い、勝ち残った方にお寿司のセットなど豪華賞品を差し上げるというもの。日本を元気にしたいと言う社長の発案でスタートしたのですが、開発期間が 2 週間しかなく、その実現に GAE(App Engine)が役立ちました。それまでくら寿司では不特定多数のお客さまを相手とした Web サービスをやったことがなかったので、フルマネージドで高度なスケーラビリティを備えた GAE にはとても助けられましたね。実際、瞬間的に 1 万を超えるほどのアクセスがあったので、オンプレミスでは耐えきれなかったと思います。」(田中氏)

「それに限らず、500 店舗をターゲットとした開発はオンプレミスでは難しい。その点、Google Cloud ではワンクリックで大きくしたり、小さくしたりが自在。特に今はハードの調達も大変ですから、そうした意味でもスピード感を高めていきやすいと感じています。事実、スマートくら寿司の取り組みの多くが、予定を大幅に前倒しして実現できています。」(杉山氏)

また、特定店舗でのみ提供されるサービスのためのシステムを構築しやすくなったこともクラウドならではの利点とのこと。具体的には、原宿店でのみ提供されているクレープ等のスイーツ販売について、システムをクラウド上に置くことで店舗のサーバーに手を入れることなく機能を追加できたのは大きなメリットだったと言います。

「もちろん、くら寿司は今後も Google Cloud を活用していく予定です。Google Cloud の堅牢性、安定性、拡張性を利用して、これまでの "当たり前" を壊していきたいですね。」(杉山氏)


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くら寿司株式会社

1977 年、堺市にて「持ち帰り寿司専門店」として創業。1984 年に回転寿司に参入し、独自の直線型レーン、皿カウンター水回収システムやビッくらポン!など、オリジナリティあふれる仕組みを武器にシェアを拡大。国内 506 店舗に加え、米国 36 店舗、台湾 44 店舗を構える(2022 年 2 月末時点)。従業員数は 2,185 名(2021 年 10 月末現在)。

インタビュイー

・テクノロジー開発部 杉山 氏

・テクノロジー開発部 大槻 氏

・テクノロジー開発部 田中 氏


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