Next ’24 からの Cloud FinOps に関するニュース
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2024 年 4 月 12 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
Google は Next ’24 で、お客様がクラウド費用を把握し、クラウド支出を最適化して、日々の費用が予想外にならないようにするための FinOps イノベーションをいくつか発表しました。Next に参加されなかった場合も問題ありません。このブログ投稿で Google Cloud FinOps に関するお知らせの概要をお読みください。
1. 画期的な請求額データによって Cloud FinOps を後押しする
Cloud Billing の費用データ、具体的には「料金(p)x 数量(q)」の出力は、あらゆる FinOps 手法に不可欠な構成要素です。最初から見えていないものを最適化することはできないからです。Cloud FinOps チームは、費用データ(お客様がクラウドに対して支払う金額)ができる限りタイムリーで、完全かつオープンなデータとなるよう懸命に取り組んでいます。
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タイムリー: Google Cloud は、費用データのエンドツーエンド レイテンシの改善に焦点を当ててきました。Next において、Google は 32% の短縮、つまり P99 エンドツーエンド レイテンシ(BigQuery および Google Cloud UI への Cloud Billing のエクスポート内に費用の 99% が表示されるまでにかかる時間)が 24 時間未満となることを発表しました。
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完全: Google Cloud ではその課金データがストリーミングされるという点で、Cloud Billing データは独自の技術といえます。ストリーミングによって課金データがよりタイムリーとなるだけではなく、純費用(ほとんどのクレジットを含む)が発生と同時に公開されるため、月を通して課金データがより完全なものになります。Google Cloud の費用データは推定ではなく、常に信頼できます。データの完全性を高めるため、Cloud Billing はバケットレベルでの Cloud Storage 費用と、ストレージタグのサポートを発表しました。これらは、Cloud Billing の詳細なデータを BigQuery にエクスポートするとすぐに利用できます。
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オープン: Cloud Billing は、クラウドの課金データを 1 つの共通データスキーマに標準化することを目的とした、FinOps Open Cost and Usage Specification(FOCUS)の v0.5 および v1.0 プレビュー版の作成に協力しました。この取り組みと並行して、お客様がクラウドにおける費用や使用状況を比較できるように、新しい BigQuery データビューをリリースしました。この新しいビューを使用すると、FOCUS v1.0 プレビュー版の指定されたフィールドと形式で Google Cloud データを調査およびクエリすることができます。
この有用なデータを分析できる Google デベロッパーのチームがいないお客様でも問題ありません。Google は、FinOps が Cloud Billing コンソールから直接、費用管理レポートを BigQuery 請求クエリに変換できる機能も発表しました。これにより、データ サイエンティストでなくても、誰でも簡単にデータを可視化して詳細に分析できるようになりました。
課金データを BigQuery にエクスポートするために、フィルタして目的の費用レポートビューを表示し、基になるクエリを生成。
2. AI の力で誰でも費用の異常検出が可能に
予想外の費用に備えるため、お客様は新しい Cloud FinOps 異常検出機能のプレビュー版により、AI を使って費用を継続的にモニタリングし、過去の支出パターンから逸脱した急増を特定できるようになりました。他にも、お客様にとって以下のようなメリットが追加されています。
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セットアップが不要: 費用の異常検出は、支出履歴が 30 日以上あり、過去 6 か月間の支出額が $100 を超えている Google Cloud アカウントが Cloud Billing コンソールで利用できます。
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すべてのプロジェクトで異常を追跡: お客様が指定した「費用への影響のしきい値」を使って、アカウント内のすべてのプロジェクトで費用を継続的にモニタリングできます。
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きめ細かい根本原因分析: 検出されたすべての異常に対して詳細な根本原因分析を行うことにより、予期しない費用増加の原因となっている上位 3 つのサービス、リージョン、SKU を簡単に特定できます。
実際にお試しになりたい場合は、ぜひ今すぐプレビュー版に参加し、この機能の未来を一緒に形作りましょう。
サービス、リージョン、SKU など、支出増加の主な要因を示す、異常の根本原因分析。
3. 手間のかからない管理によって確約利用割引を最大限に活用する
State of FinOps Report 2024 が強調しているとおり、コミットメント ベースの割引について理解し、管理することは、クラウドの費用対効果を最大限に高めるための重要な優先事項です。Google Cloud は、確約利用割引(CUD)を最適化するよう設計された、一連の高度な新機能により、FinOps の成功を支援することに取り組んでいます。新機能により以下を実現します。
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明確さと管理性の向上。現在プレビュー版の統合確約利用割引(CUD)分析により、支出ベースとリソースベースどちらのコミットメントも、可視性が大幅に向上します。FinOps ハブ ダッシュボードを活用したこの新しい統合ソリューションにより、プロジェクト、リージョン、マシンタイプ別に極めて詳細なレベルで費用を簡単に分析できるようになります。統合 CUD 分析を使用すると、レポート作成にとどまらず、費用最適化戦略を直接改善する、行動につながるインサイトを入手できます。参加をご希望の場合は、今すぐプレビュー版にご登録ください。
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インサイトと CUD の追跡の強化。きめ細かい CUD メタデータにより、CUD の透明性が一層向上します。Cloud Billing から BigQuery にエクスポートされた詳細なデータ内で、個々のサブスクリプション ID にリンクされた CUD 料金の内訳を確認できるようになりました。CUD インベントリの改良された CSV ダウンロードと組み合わせることにより、費用の追跡、コミットメント ライフサイクルの分析、独自の命名規則を使ったコミットメントの包括的なビューの取得を簡単に行うことができます。
新しい CUD と、FinOps ハブで費用削減の可能性を確認する新しい方法: 新しい CUD 分析ソリューションは、TPU v5e、TPU v5p、A3、H3、C3D など、複数の Google Compute Engine(GCE)リソース ファミリーで利用できます。加えて、Memorystore、AlloyDB、Bigtable、Dataflow の費用削減の可能性を引き出すため、新しい支出ベースの CUD が導入されました。これらの新しい CUD の登場により、現在一般提供されている FinOps ハブで、さらに大きな費用削減の可能性を確認できます。FinOps ハブには、費用削減につながるご利用方法をプロジェクト レベルで表示できる追加サポートも用意されているため、最適化の取り組みに優先順位を付けて効果を最大限に高めることができます。
現在一般提供(GA)されている FinOps ハブで、費用削減につながるご利用方法をプロジェクトごとに表示。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。ぜひ現行のプレビュー版にご登録いただき、フィードバックをお寄せください。Google はお客様と緊密に連携してプロダクトを開発しており、皆様のご意見やアイデアは大変貴重です。ぜひ忌憚のないご意見をお聞かせください。FinOps のイノベーションはこれだけにとどまりません。今年はさらに多くのことが計画されていますので、FinOpsX(2024 年 6 月 19~22 日)にご注目ください。Next ’24 に続き、さらにエキサイティングな FinOps プロダクトの開発について発表する予定です。
-Cloud FinOps、プロダクト リーダー Sarah McMullin