新しい FOCUS BigQuery ビューでクラウド課金データを標準化
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2024 年 1 月 17 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
今日の企業は複数のクラウド プロバイダを利用することが多いため、クラウド費用をまとめて確認できることが極めて重要となっています。そこで出番となるのが、FinOps Open Cost and Usage Specification(FOCUS)です。このたび、最新の FOCUS(プレビュー)に基づいてクラウド全体のクラウド費用管理を簡素化する、新しい BigQuery ビューがリリースされたことをお知らせいたします。
FOCUS とは
FinOps Cost and Usage Specification の目的は、クラウドと使用状況データを 1 つの共通データスキーマに統合することにより、クラウド課金データ全体の整合化と標準化を実現することです。FOCUS が登場する前は、複数のクラウド サービス プロバイダ(CSP)間で主要なクラウド費用と使用状況の基準を正規化する業界標準がなかったため、請求額、クレジット、使用状況、指標をクラウド プロバイダ間でどう対応付ければよいかを把握することが困難でした(詳しくは FinOps に関するよくある質問をご覧ください)。
FOCUS は、データセットの出処に関係なく、FinOps 担当者が汎用的な手順と統合スキーマを使用して FinOps の基本機能を実行できるよう支援します。FOCUS は、FinOps 担当者、CSP リーダー、Software as a Service(SaaS)プロバイダなどで構成されるワーキング グループにより継続的に使用され、改善が行われており、生きた仕様といえるものです。2023 年 11 月に発表された FOCUS 仕様 v1.0 プレビューは、より効率的で透明性の高いクラウド費用管理への道を開きました。詳細を知りたい方やワーキング グループに参加したい方は、FOCUS のウェブサイトをご覧ください。
FOCUS v1.0 プレビューに対応した BigQuery ビューの導入
Google はこれまで、費用と使用状況に関連する Cloud Billing データを BigQuery にエクスポートする手段を 3 種類提供してきました。標準の課金データのエクスポート、詳細な課金データのエクスポート(リソースレベルのデータと料金フィールドを料金エクスポート テーブルに結合)、料金のエクスポートです。このたび、このデータを FOCUS v1.0 プレビューで定義されたデータ属性と指標に合わせて変換する、新たな BigQuery ビューを導入いたします。
BigQuery ビューは、SQL クエリの結果を表す仮想テーブルです。BigQuery ビューは、Google Cloud データを FOCUS プレビューのディメンションと指標の表示名、形式、動作にマッピングする基本クエリ(アクセス方法は後述)から形成されます。BigQuery ビューの優れている点は、クエリ可能な仮想テーブルに、ビューを定義する基本クエリで指定されたテーブルとフィールドのデータのみが含まれていることです。BigQuery ビューは仮想テーブルなので、すでに BigQuery へ課金データをエクスポートしている場合、データ ストレージの追加料金は発生しません。
異なるクラウド プロバイダで使用される異なる課金関連の用語を対応付ける作業ではなく、費用の最適化に時間をかけられるようにしましょう。FOCUS BigQuery ビューを使用すると、以下のことが可能になります。
- FOCUS 仕様に適合した Google Cloud Billing データを表示してクエリを実行する
- Looker Studio のような可視化ツールのデータソースとして BigQuery ビューを使用する
- 共通の FOCUS フォーマットを使用して、Google Cloud の費用を他のプロバイダのデータと一緒に分析する
仕組み
FOCUS BigQuery ビューは、既存の Cloud Billing データ上にある仮想テーブルとして機能します。この機能を使用するには、詳細な課金データのエクスポートと料金のエクスポートを有効にする必要があります。こちらの手順に沿って、BigQuery への課金データのエクスポートを設定してください。FOCUS BigQuery ビューでは、基本 SQL クエリを使用して Cloud Billing データを FOCUS スキーマにマッピングし、指定されたフォーマットで表示します。こうすることで、FOCUS ネイティブであるかのようにデータをクエリして分析でき、さまざまなクラウド プロバイダ間で費用を比較しやすくなります。
Google では、FOCUS の力を簡単に活用できるように手順ガイドを作成いたしました。このサンプル SQL クエリを確認し、手順ガイドに沿って作業するには、こちらからお申し込みください。
今後の展望: オープン スタンダードとコラボレーションへのコミットメント
Google Cloud では、オープン スタンダードはいわば DNA の一部ともいえるものです。Google は、FinOps Foundation の創設メンバーであり、オープン課金標準ワーキング グループに参加した最初の CSP であり、v0.5 および v1.0 仕様に対する主要な貢献者でもあります。課金標準をオープン スタンダード化することを強く支持する立場として、お客様には最新の FOCUS 仕様に基づく Google Cloud Billing データで実現できることをぜひ確認していただきたいと考えています。
Google は、お客様、業界の FinOps 担当者、FinOps Foundation、CSP、SaaS プロバイダなどとともに、オープンな課金標準を形成することに取り組んでいます。今すぐ FOCUS BigQuery ビューでクラウド費用をまとめて確認しましょう。詳細を確認して利用するには、こちらからお申し込みください。
-シニア プロダクト マネージャー Rupa Patel