FinOps ハブ 2.0 で春の大掃除
Sarah McMullin
Head of Cloud FinOps Product
※この投稿は米国時間 2025 年 4 月 17 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
春と言えば、大掃除の季節です。家庭内で毎年やるように、仮想クラウド インフラストラクチャも大掃除してはいかがでしょうか。Google Cloud の FinOps ハブがお手伝いします。
Google Cloud のお客様が FinOps ハブを利用して最適化に取り組むようになり、さらなるフィードバックがビジネス コミュニティから寄せられています。たとえば、DevOps ユーザーはツールや使用状況に関する指標にアクセスして無駄を特定できますが、ビジネスチームはリソースの消費に関する明確な分析情報を把握できず、それが大きな盲点となることが珍しくありません。最新の State of FinOps 2025 Report では、ワークロードの最適化と無駄の削減の重要性が FinOps の最大の関心事項であると強調しており、こうしたニーズの裏付けとなっています。どれだけの量が使用されているかを完全に把握できなければ、ワークロードやアプリケーションを最適化するのは非常に困難です。使い切らない可能性があるコンピューティング コアの確約利用割引を購入する理由があるでしょうか。
お客様が最も簡単に行える最適化は、実際に料金を支払っているリソースをより効率的に使用することである場合もあります。このため、2025 年、Google は最適化の機会の徹底的な洗い出しに注力することとし、無駄な支出を特定、明確化、排除できるよう FinOps ハブをアップグレードしました。
1. 無駄を特定する: 最適化の機会を絞り込むために使用状況の新しい分析情報を FinOps ハブ 2.0 に追加しました。
Google Cloud Next 2025 で FinOps ハブ 2.0 を発表し、特にリソースの使用状況の分析情報を最優先に提示する機能をご紹介しました。これにより、どのような無駄が発生する可能性があるかを把握して、即座に対策を講じることができます。無駄にはさまざまな形があります。使用率がたった 5% の VM(オーバープロビジョニング)、110% の使用率で過度に稼働し、障害が発生するおそれがある GKE クラスタ(プロビジョニング不足)、最適に構成されていない可能性がある Cloud Run インスタンスなどのマネージド リソース(最適でない構成)などに加えて、VM がまったく使用されていない場合(アイドル状態)すらあります。今後、FinOps のユーザーは、サービスまたは AppHub アプリケーション別に、最も費用のかかる無駄なカテゴリをわかりやすいヒートマップ形式ですばやく確認することができます。FinOps ハブは、無駄が発生している可能性のある場所を示すだけでなく、無駄を解消できるよう、Kubernetes Engine(GKE)、Compute Engine(GCE)、Cloud Run、Cloud SQL の費用をさらに最適化することもできます。


特定されたリソースを対応する使用状況に関する指標とともに示す「無駄な使用量のマップ」
2. 無駄を明確化する: Gemini Cloud Assist により、FinOps ハブで最適化に関する分析情報を要約して、その情報をエンジニアリング チームに送信できるようになりました。
しかし、リリース 2.0 の最大の特長は、FinOps ハブで最も時間のかかるタスクを Gemini Cloud Assist で刷新したことです。Gemini Cloud Assist の最初のリリースでは、パーソナライズされた費用レポートの作成と分析情報の統合を支援することで、お客様が FinOps に費やす時間を 10 万時間以上も削減しました(2024 年 1 月~2025 年 1 月の 1 年間)。ワークフローを刷新し自動化する Gemini Cloud Assist の機能は大きなメリットをもたらすため、FinOps ハブの 2 つの側面で採用することにしました。まず、費用レポートのように、ハブ自体に埋め込まれた最適化に関する分析情報を FinOps 担当者が確認できるようにしました。これにより、「干し草の中から 1 本の針を見つける」ように難しいと言われる最適化の問題に対処する必要がなくなります。次に、Gemini Cloud Assist を使用して、無駄に関する主な分析情報を要約してエンジニアリング チームに送信し、チームが迅速に対策を講じて是正できるようにしました。


優先度の高い最適化の機会を記載した Gemini による要約とメールの下書き
3. 無駄を排除する: 技術ソリューション オーナーが最適化の機会を直接確認して対応できるようにする新しい IAM ロール権限。
最後にご紹介するのは、FinOps 待望のエキサイティングな機能です。技術ソリューション オーナーが請求コンソールにアクセスし、すべてのプロジェクトの FinOps の分析情報と Gemini Cloud Assist の分析情報を一括で取得できるようになりました。たとえば、インフラストラクチャの一部のプロジェクトしか使用していない部門全体に FinOps ハブまたは費用レポートへのアクセス権を付与する必要があるとします。幅広い請求データへのアクセス権を付与せずに、この部門が必要なデータすべてを 1 つのビューで表示できるようにするのが、請求コンソールのマルチプロジェクト ビューです。マルチプロジェクト ビューを有効にするには、新しいプロジェクトの請求費用管理者 IAM ロール(または関連するきめ細かい権限)を使用します。これらの新しい権限は現在、限定公開プレビュー版で提供されているため、利用するには申し込みが必要です。これらの新しいアクセス制御により、組織全体に FinOps ツールの機能を拡張できるようになります。
今年の春は、FinOps ハブ 2.0 と Gemini Cloud Assist でクラウド インフラストラクチャを大掃除しましょう。「冬の古い汚れのように、クラウドの無駄が蓄積したら、春にはサーバーの大掃除をして、費用と時間を節約しよう」という、Gemini オリジナルの格言もあるくらいですから。
-Cloud FinOps プロダクト担当責任者、Sarah McMullin