BHI: Google Workspace と AppSheet を活用して職場環境を変革

※この投稿は米国時間 2020 年 10 月 30 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

BHI は、ユタ州ヴァーナルを拠点とする小さな建設会社でしたが、この 20 年間で 25 の州にまたがる多角化企業へと成長しました。しかし、会社の成長の一方で、そのテクノロジーは後れをとっていました。ファイル共有とメールはどちらも、1 つのサーバーで処理されていました。従業員にとって文書の編集は神経をすり減らす作業で、まず VPN に入り、辛抱強くファイルをダウンロードし編集してから再アップロードしなければなりませんでした。しかも、すべてインターネット接続に制限のある現場から行う必要がありました。より優れたテクノロジーの必要性を認識した BHI は、Google Workspace と AppSheet を導入してビジネスを変革し、革新性、生産性、収益性を向上させました。

コラボレーションと生産性の強化

BHI はまず、旧式のメールシステムとファイル共有システムを別のソリューションで置き換えることにしました。同社が迷いなく選択したのは、リモートチームのための実績ある人気のコラボレーション ソリューションであり、従業員の大部分がプライベートで利用し馴染みのあるプラットフォームでもある Google Workspace でした。BHI は 1 週間以内に 500 名の従業員を Google Workspace に移行しました。その結果、すぐに生産性の向上が見られました。Google Workspace のツールを利用することで従業員がより容易に共同作業できるようになったためです。しかも、これらのツールにはデバイスも場所も問わず（建設現場からでも）アクセスできます。

たとえば、Google Workspace により契約書作成プロセスが大幅に改善されました。それまで、バージョン管理には常に苦労していました。従業員があるパソコンから別のパソコンに草案を次々と移動させ、バージョンは手に負えないほどランダム化されていたためです。また、トラッキングされていない変更が発生したり、ファイルが行方不明になったりしていました。しかし、Google Workspace を使用することで、建設前準備、法務、財務の各チームがどこからでも契約書の変更を編集しトラッキングできるようになりました。全員が常に最新バージョンで作業できるため、バージョン管理はもう過去のものとなりました。

Google Workspace を導入した BHI は、業務を分散化し、150 を超える現場でリアルタイムの共同作業を開始しました。管理チームと IT チームは、クラウドベースの生産性向上ツールを利用することで初めて特定できた、または取り組むことができた課題に関する新たな知見を得ました。また、IT チームは、同社の 90% を占めるデスクレス ワーカーの手法を刷新する機会も見いだしました。多数派であるデスクレス ワーカーは、自分たちの仕事に影響のあるデータや、自分たちの仕事を構成するデータに直接接続する必要がありました。さらに、プロセスの効率向上も必要としていました。そうしたニーズを満たしたのが AppSheet です。これにより IT チームは、モバイル ワーカーが自分の仕事をより迅速かつ適切に終えることができるように、主要なタスクを簡略化するアプリケーションを開発できるようになりました。

たとえば、BHI のあるクライアントは、1 日に複数回、広範な検査を要求していました。AppSheet を導入する前は、BHI の検査担当者は検査を実施した後、紙に記録した結果をパソコンでスプレッドシートに入力していました。さらにその結果を Google ドキュメントでフォーマット済みレポートにコピーして貼り付け、Doc から PDF に変換して、最終の検査レポートをメールで顧客に送信していました。この手作業のプロセスには全体で 2 時間かかっていました。現在、検査担当者は AppSheet を使用して、検査を実施しながらモバイル デバイスで結果を入力しています。デバイスがインターネットに接続すると、自動的に検査担当者の入力内容でデータベースが更新され、Google ドキュメントで事前フォーマット済みのレポートに検査結果が追加され、PDF 形式の最終レポートが顧客にメール送信されます。AppSheet を導入した BHI はこの検査プロセスを 2 時間から 6 分に短縮し、1 か月あたり $50,000 以上の人件費を削減しました。

使いやすいソフトウェアで迅速に成果を達成

BHI はまた、AppSheet でのアプリ構築は、ローコードまたはフルコードのツールを使用した開発やサードパーティ製品の購入といった他のソリューションよりずっと簡単であるという事実も理解しました。AppSheet は真のノーコード プラットフォームであるため、誰でもアプリの構築と管理をマスターできます。AppSheet の導入以降、BHI の IT チームはこのプラットフォームに熟達し、蓄積していた同社のソフトウェア ニーズを解消できました。現在では、新しいサイトをオープンする際、IT チームは積極的にサイト マネージャーと連携してカスタムアプリを開発するための固有の要件を把握しています。このサイト固有のアプリのスコーピングと構築の最初から最後まで、通常は 1 週間未満で完了します。これと比べて、従来の開発プラットフォームでは数か月かかっていました。

アプリを構築する BHI の従業員は IT チームのメンバーだけではありません。BHI の IT 担当ディレクターである Johnny Hacking 氏は、次のように述べています。「IT の専門ではないスタッフもいますが、彼らにアイデアがあれば、AppSheet にログインして構築してもらうことができます。私たちは最後の仕上げを手伝うだけです。」

IT チーム以外の従業員が AppSheet アプリを構築できるようにすることで、社内の複数のチームにメリットがもたらされました。たとえば、太陽光発電所建設プロジェクト チームが、複数の特殊専門機器の検査を実施する必要があるけれども、IT チームはその機器のことをよく知らないとします。こうした場合、その分野の専門家である太陽光チームが、独自の仕様に従って簡単にアプリを構築できます。IT チームの仕事は、最終段階に参加してアプリの仕上げを手伝うことだけです。最終製品は、太陽光チームがまさに必要としているニーズを完全に満たすようにカスタマイズされたものになります。これは、コードなし開発のメリットを浮き彫りにしています。それは、現場の専門家が職務に固有のアプリを構築してプロトタイプを作成し、IT チームが機能の最終仕上げをする一方で、ガードレールを機能させ続けることができるという点です。

Google Workspace と AppSheet を使用することで、サードパーティ ソフトウェアに対する BHI の依存度を緩和することもできます。Hacking 氏は次のように述べています。「当社の部署は多岐にわたっているため、それぞれが異なるソフトウェアを必要としています。さらに、サードパーティ ソフトウェアを購入する場合、うまく連携しない別のソフトウェアを調整して、カスタマイズする必要もあります。このソフトウェアを AppSheet アプリで置き換えることで、コストを大幅に削減できます。また、これらのアプリはすべてバックエンドで Google スプレッドシートに接続されているため、統合も簡単です。」

BHI が置き換えることができなかったいくつかのサードパーティ ソフトウェア製品については、Apps Script を使用してソフトウェアのデータを Google スプレッドシートにインポートし、すべてのデータが 1 つのプラットフォーム上に存在するようにしました。BHI は、Google Workspace と AppSheet アプリでサードパーティ ソフトウェアを置き換えることにより、合計 IT 支出を 10% 削減できました。

テクノロジーが変革した企業文化

同氏は次のように述べています。「当社での Google Workspace と AppSheet の導入は成功を収め、スタッフは進んでこれらを利用しています。また、建設会社にとって、これほど短期間でこれらのプラットフォームに対する多くの信頼を得られたことは、大きな成果です。現在、従業員は、他に何ができるだろうか、と自問する段階にあります。」

Google Workspace と AppSheet の導入により BHI の生産性が高まっただけでなく、その企業文化も大きく変わりました。従業員は革新性を高める力を与えられたように感じていて、改善の手法を模索し続けています。従業員の作業を簡略化することが、士気を直接的に後押しすることにつながりました。

IT チームの役割も変わりました。Hacking 氏は次のように説明します。「これらのテクノロジーを利用するようになってわずか 3 年間で、IT 部門はサポートのオーバーヘッドから、ビジネス戦略に積極的に参加する存在に変化しました。」IT 部門の認知度と責任が高まった結果、ビジネス問題の解決が促進され、収益性が向上しました。

BHI は、Google Workspace と AppSheet を利用してビジネスを改善するための新しい手法を模索し続けています。同社は COVID（新型コロナウイルス感染症）への対応として、従業員がデバイスに触れずに出勤時間を記録できるタイムシート アプリを開発しました。現在、ほとんどの会議は Google Meet を使用して仮想的に開催されています。車両のメンテナンスと修理はすべてアプリで管理されています。そして、もちろん、同社が所有するデータと分析情報は以前よりも優れたものになっています。同氏は次のように述べています。「当社は Google Workspace と AppSheet を活用して、イノベーションの頂点に立ち続けています。」

Google Workspace と AppSheet についての詳細をご覧ください。

-Google Cloud ビジネス アプリケーション プラットフォーム - プロダクト担当責任者（ディレクター）Vikas Anand