Hyperdisk ストレージ プール: ブロック ストレージ管理を簡素化して TCO を削減
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2024 年 4 月 18 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
Google Cloud Next 2024 でお知らせしたとおり、Hyperdisk ストレージ プールの一般提供が開始されました。Hyperdisk ストレージ プールはシン プロビジョニング、データ削減、容量プーリングを可能にする、ハイパースケール クラウド プロバイダ初のブロック ストレージ サービスです。Hyperdisk ストレージ プールでは総所有コスト(TCO)が 30~50% 削減されるため、効率性の向上、SAN ベースのワークロードのモダナイズ、ブロック ストレージ管理の簡素化を実現できます。Google Cloud コンソールでストレージ プールの利用を今すぐ開始していただけます。今回のブログ投稿では、Hyperdisk ストレージ プールの仕組みと、お使いの環境に Hyperdisk ストレージ プールを組み込む方法について見ていきます。
Hyperdisk ストレージ プールでは 2 通りの方法でブロック ストレージの TCO を削減できます。1 つ目の方法では、Hyperdisk ストレージ プールでシン プロビジョニング形式の容量プーリングを活用して、容量の使用率を最大 80% 引き上げます。数百ものボリュームをプロビジョニングし、購入した容量の一部だけを使用する代わりに、書き込んだデータでのみ消費されるストレージ プールを 1 つプロビジョニングするだけで済みます。2 つ目の方法では、Hyperdisk ストレージ プールでデータ削減テクノロジーを活用することで、事前に購入する必要がある容量をさらに削減し、プロビジョニングするストレージを減らして、購入した容量の使用率を向上させます。
書き込まれたデータの容量が 1 PiB(1,000 TiB)のデータベース ワークロードを例にとってみましょう。Hyperdisk ストレージ プール外では、このワークロードが 38% の使用率で実行されます。その結果、(使用率が低い場合を見越して)お客様は 2.6 PiB 分の容量をプロビジョニングする必要があります。Hyperdisk ストレージ プールなら、お客様はシン プロビジョニングを使用して使用率を 80% 引き上げ、データが 22% 削減されるというメリットを得ることができます。そのため、他の主要なクラウドで実行した場合と比べると、このワークロードに必要な容量は約 5 分の 2 になります。つまり、Hyperdisk ストレージ プールならこのワークロードの容量 TCO を 56% も削減できるのです。
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ストレージ プールは Google Cloud の次世代の Hyperdisk ブロック ストレージ ポートフォリオに組み込まれています。Hyperdisk ボリュームでは、必要な容量とパフォーマンスを独立して動的にプロビジョニングすることにより、ストレージのワークロードを最適化できます。容量タイプが大容量のストレージ プールは、Hyperdisk Balanced と Hyperdisk Throughput 両方のボリューム タイプで利用できます。Hyperdisk ストレージ プールでは、含まれる Hyperdisk ボリュームの動作方法を変更することなく、そのプール内の複数のボリューム間で Hyperdisk 容量を共有できます。ストレージ プールを作成したら、いつもと同じように Hyperdisk ボリュームのプロビジョニングとアタッチを行うだけです。Hyperdisk ストレージ プールが「容易に効率性を向上できるサービス」であるのはこのためです。
ブロック ストレージの管理を簡素化
Hyperdisk ストレージ プールのメリットは TCO の削減だけではありません。ワークロードには幅広い容量とパフォーマンスのニーズがあり、アプリケーション所有者は要件に対する洞察が不足していることが多いため、そうしたアプリケーションのニーズは時間の経過とともに大きく変化する可能性があることを、インフラストラクチャ管理者はよくわかっています。こうした先行きの不透明さから、各ワークロードに必要なブロック ストレージ容量とパフォーマンスの決定には数週間、場合によっては数か月かかることもあります。すべてのワークロードに必要な容量を確実に確保できるようブロック ストレージを管理する場合、特にクラウドの導入が進むにつれて、苦痛を伴い時間のかかるプロセスになる可能性があります。
生成 AI、スケールアウト分析ワークロード(Kafka など)、インテリジェント データベース、クラウドのモダナイゼーション イニシアチブ、クラウド デスクトップなどのワークロードの爆発的な増加により、ここ数年でこうした課題の困難さは増す一方です。クラウドのブロック ストレージを管理するための新たなアプローチをお客様が必要としていることがはっきりとしてきました。
クラウド ブロック ストレージの管理方法を飛躍的に簡素化する Hyperdisk ストレージ プールを開発したのもそのためです。Hyperdisk ストレージ プールでは、データが削減されたシン プロビジョニング形式の容量のプールをプロビジョニングできます。このプールは複数の Hyperdisk ボリューム間で共有されます。プールの容量は書き込まれたデータでしか消費されない(さらに、データが削減されます)ため、効率性と可用性の間でどちらかを妥協する必要がなくなります。実際に使用するストレージだけを消費しながら、必要な容量を備えたワークロードを提供できるようになりました。そのため、仮想デスクトップ(VDI)などの SAN ベースのワークロードやデータベースをクラウドに展開するのがはるかに容易になります。時間のかかるプランニング サイクルはもはや不要となり、Hyperdisk ストレージ プールを作成するだけで、容量を共有するプール上で VDI やデータベース ワークロードの構築を開始できます。
REWE など、Hyperdisk ストレージ プールをいち早くご利用いただいたお客様は、このサービスの価値をすでに実感されています。
「REWE では、分析からエンドユーザー コンピューティングまであらゆるアプリケーションを提供するうえで、ブロック ストレージが極めて重要な役割を果たしています。Hyperdisk ストレージ プールは次世代のブロック ストレージ アプリケーションの基盤になると当社では見ています。Hyperdisk ストレージ プールを使用してストレージ管理を簡素化しながら、ストレージ効率を向上できることを大変嬉しく思っています。」- REWE、インフラストラクチャ マネージャー Jan Rundshagen 氏
使ってみる
Google Cloud コンソールにログインし、Compute Engine の [ストレージ] から Hyperdisk ストレージ プールの利用を開始していただけます。次に、ストレージ プールを作成してそのボリューム タイプ(Balanced または Throughput)、Advanced Capacity(シン プロビジョニングとデータ削減を利用する場合)を選択し、プールに必要な合計容量とパフォーマンスを設定します。これで、プールの容量を共有するプールに新しい Hyperdisk ボリュームを作成する準備は完了です。
Hyperdisk ストレージ プールは、根本的にはクラウドのブロック ストレージを管理するための新たなアプローチです。これまでで初めて、効率性と可用性、または費用とシンプルさの間でどちらかを妥協する必要がなくなりました。将来的には、Hyperdisk ストレージ プールがクラウド ストレージ管理における新しいパラダイムになるであろうと予想しています。
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Hyperdisk ストレージ プールのリリースは、すでにそれぞれのリージョンとゾーンで始まっています。ぜひこの機会に Google Cloud コンソールからストレージ プールの利用をお始めください。プールを作成、使用、管理する方法の詳細についてはこちらのドキュメントをご覧ください。
-Google Cloud、グループ プロダクト マネージャー Ben Gitenstein