TechEd 2021: Google Cloud で SAP を利用されているお客様向けの新機能
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 11 月 17 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
今週始まる SAP の TechEd 2021 は、トップクラスの開発者と IT 担当者に焦点を合わせたオンライン イベントで、SAP アプリケーションを実行している、あるいは今後実行する予定の企業を対象としています。この機会に 1 年の歩みを振り返り、Google Cloud と SAP が SAP のお客様のためにどのような価値創出の取り組みを行っているのかをご紹介したいと思います。
Google と SAP は、お客様のクラウドへの移行の加速化と、移行によりお客様が得られる成果の最大化を主眼に置いて、共同の取り組みを継続してまいりました。これにより 2021 年は、Google Cloud にとって SAP との連携から労せずして最も多くの実りを得る年となりました。過去 12 か月だけを見ても、Google Cloud が獲得した SAP のお客様の数は、前年の 3 倍となっています。
以下に、Google Cloud で SAP を利用されているお客様向けの新機能と、近日提供予定の機能をご紹介します。
Google Cloud が SAP Business Technology Platform をロールアウト
SAP Business Technology Platform(BTP)の新しいインスタンスが Google Cloud で利用可能になりました。まずは 2021 年第 4 四半期に北アメリカとヨーロッパで Google Cloud で BTP のロールアウトを開始します。その後 2022 年第 1 四半期にインドで BTP インスタンスの提供を開始するとともに、アジア太平洋および日本(APJ)の SAP のお客様向けに BTP のロールアウトを行います。
SAP Business Technology Platform を利用すると、比較的複雑なユースケースの場合でも、クラウドに迅速に移行できます。また、このプラットフォームでは自由度が重視されており、お客様は固有のニーズに合わせてクラウド ソリューションの最適な組み合わせを選択できるうえ、ニーズの変化に合わせて新機能を迅速に導入して軌道修正することも可能です。
最も重要な特長は、Google Cloud で BTP(またはその他の一連の SAP テクノロジー)を実行できることでしょう。これによりお客様は、業界で最も幅広い機能に対応した、Google Cloud が完全に所有および運営するグローバル ネットワーク インフラストラクチャ上で業務を行えます。また、SAP のお客様は、ネットワーク セキュリティの向上とネットワーク レイテンシの軽減という他にはないきわめて重要なメリットを得られます。
Google Cloud で HANA Cloud の提供を開始
SAP のフルマネージドの HANA Cloud は、SAP のクラウド ポートフォリオの重要なコンポーネントであり、OLTP、OLAP、xOLTP のユースケースに対応したデータベースを提供します。クラウドで実行されるビジネスクリティカルなアプリケーションすべてに言えることですが、HANA Cloud でも完璧なパフォーマンスを実現することが求められます。これは、ネットワーク レイテンシを最小限に抑えることを求めている SAP のお客様にとって重要な課題となることもあります。
Google Cloud は低レイテンシのグローバル ネットワーキング機能と柔軟性の高い Compute Engine アプリケーション プラットフォームを提供していることから、SAP ポートフォリオの一環で HANA Cloud を実行している SAP のお客様にとって最適なパートナーとなります。HANA Cloud は、BigQuery を利用したデータ仮想化機能も提供しており、これによりお客様は企業データ使用量を柔軟に管理できます。北アメリカでは Google Cloud で HANA Cloud の提供を正式に開始しました。本四半期(2021 年第 4 四半期)の後半には EMEA での提供も開始する予定です。2022 年の初めには、インドでのロールアウトとともに、APAC のお客様にも Google Cloud 向けの HANA Cloud の提供を開始します。
現在 Google Cloud を利用されていない SAP のお客様にも、Google Cloud による HANA Cloud のロールアウトをご活用いただけます。そのようなお客様は、他のハイパースケーラーやオンプレミス環境内で他の SAP アプリケーションを実行する場合でも、パフォーマンスとレイテンシについて同じメリットを得ることができます。
RISE with SAP 向け Filestore Enterprise
Google Cloud と SAP のパートナーシップの中心となるもう一つの重要な要素が、RISE with SAP です。これは、「サービスとしてのビジネス変革」を提供するサービスであり、企業は SAP 環境をクラウドに移行する際に迅速かつ低リスクな戦略を取ることが可能になります。現在、SAP は RISE with SAP S/4HANA Cloud プライベート エディション ソリューションの標準機能として Google Cloud の Filestore Enterprise テクノロジーを統合する取り組みを進めています。
99.99% のリージョン可用性 SLA を提供する Filestore Enterprise は、高い可用性が要求されるアプリケーション向けに設計されたフルマネージドのクラウドネイティブ NFS ソリューションです。数回クリックする(または数行の gCloud CLI や API 呼び出しを実行する)だけで、NFS 共有を簡単にプロビジョニングし、リージョン内の 3 つのゾーンに同期的に複製することができます。また、Filestore を使用すると、ファイル システムの定期的なスナップショットを取得できます。あるいは、作成済みの任意のスナップショット リカバリ ポイントから個々のファイルまたはファイル システム全体を 10 分以内に簡単に復元することも可能です。
HEC/RISE with SAP のお客様にとって、Filestore Enterprise は、高可用性、高パフォーマンス、高レベルの冗長性、より厳格な SLA をビジネスクリティカルな SAP アプリケーション向けに確保するうえで重要な機能となります。これは、SAP のお客様が簡単かつ低リスクでクラウドへ移行できるようサポートするもう一つの方法でもあります。
VPC ネットワーク ピアリング: RISE with SAP によるさらなる価値の創出
最後に、RISE with SAP のお客様に多大なメリットを提供する、Google Cloud の既存の機能をご紹介します。それは VPC ネットワーク ピアリングです。
SAP により Google Cloud に PCE または HEC 環境が実装される場合、SAP ではその環境の VPC(専用物理ネットワークと同じ機能、パフォーマンス、セキュリティのメリットを提供する仮想ネットワーク)も管理されます。VPC ネットワーク ピアリングを介して SAP 環境を Google Cloud のサービスやアプリケーションと接続すると、ピアリングした VPC ネットワーク間のトラフィックは、Google のネットワーク内に安全に保存されます。これは、Google Cloud で実行している他のアプリケーションとシームレスに接続しながら、ビジネスクリティカルな SAP アプリケーションとデータを保護する必要があるお客様にとって大きなメリットです。
パートナーシップの構築により持続的に価値を創出
ここで発表した機能はすべて、Google Cloud を必然的に SAP を利用するお客様のパートナーたらしめている、ある特長を基礎にしています。その特長は、セキュリティ、信頼性、柔軟性、選択の自由度です。この SAP とそのお客様との共同の取り組みにおける信頼されるパートナーとして、Google Cloud は今後さらに大きな成功が待ち受けていることを確信しています。SAP のお客様向けの Google Cloud ソリューションの詳細をご覧ください。
- Google Cloud SAP 担当マネージング ディレクター Snehanshu Shah