SAP LaMa を使用した複数のクラウドにわたる SAP システム管理の一元化
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 9 月 9 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
SAP ユーザーとして、皆様にはすでに SAP Landscape Management(SAP LaMa)はお馴染みかもしれません。SAP LaMa は SAP 環境の一元管理をサポートする専用の製品です。SAP LaMa は幅広い SAP のお客様とユースケースに役立ちますが、なかでも非常に大規模で多様性に富み、多くの場合に地理的に拡散している SAP 環境を管理する大企業にとって、特に重要です。
Google Cloud はSAP のお客様 が既存または新しい SAP LaMa インスタンス上でデプロイできる、無料のコネクタを最近リリースしました。これは、マルチクラウドやハイブリッド クラウドのアプリケーション戦略に伴い増加している複雑さに対処する必要のある企業にとって、重要な助けとなる可能性があります。
それでは SAP LaMa の仕組みや、この製品がお客様の SAP 環境にどのように適合するか、またどのようなメリットが期待できるかについて、見ていきましょう。また、コネクタを起動するために SAP 管理者が行う必要があるいくつかの調整についても、ご説明します。
SAP LaMa: SAP 環境をシンプルに
SAP LaMa 用の Google Cloud Connector は Java アーカイブとして配布され、無料で提供されます。お客様はこのコネクタを、オンプレミスの既存の SAP LaMa システムや、別のクラウド上の SAP LaMa システムでデプロイすることも、Google Cloud 上で新しい SAP LaMa デプロイの一部とすることもできます。SAP LaMa 自体は一元化された SAP 管理ツールで、SAP 環境全体でさまざまな管理タスクを簡素化、自動化、そしてオーケストレートするように設計されています。LaMa のユースケースには以下のものがあります。
組織の SAP 環境全体の概要を 1 つの場所でまとめて確認する
システム更新などの日々の管理タスクを自動化する
組織の環境で大量の停止 / 起動オペレーションを実行する
カスタム オペレーションとワークフローを SAP アプリケーション環境でデプロイする
SAP 管理者は、人の操作を必要とすることなく実行できる SAP のコンテキスト依存の自動ルーティンを作成し、システム メンテナンス タスクをより素早く継続して行うことで、多くの時間を取り戻すことができます。また SAP LaMa は自動化を利用して、システム管理プロセスから手動の操作(そして人為的なミス)をなくすことで、サービス品質を高めます。
Google Cloud Connector が SAP のお客様のデプロイを円滑化
Google Cloud Connector は、Google Cloud 上でデプロイされた SAP システムに LaMa 機能を拡張するトリガーとして機能します。このコネクタは、以下のような標準の SAP LaMa 実行シナリオを可能にします。
Google Cloud プロジェクト、ゾーン、VM インスタンスを、SAP LaMa の環境概要内で表示する
SAP LaMa ユーザー インターフェースまたはスケジューラを使用した Google Compute Engine(GCE)インスタンスの大量停止 / 起動オペレーション
Post Copy Automation による、システム クローン、コピー、データベース更新
マシンタイプのサイズ変更
SAP アプリケーション インスタンスを別の VM インスタンスに移動する
SAP Host Agent を通じた、レプリケートされた SAP HANA HA システムへの SAP HANA のフェイルオーバー
ネイティブな SAP の自動化とオーケストレーションをサポートすることで、Google Cloud Connector はお客様が SAP LaMa を利用することにより得られる全体的な価値に貢献します。しかし同様に重要なのは、このコネクタを使用して Google Cloud をハイブリッド クラウドまたはマルチクラウドの SAP 環境の一部として運用することで、お客様の負担が減るということです。現在 82% の企業がハイブリッド クラウドをデプロイしているという最近の調査を考慮すると、このことはますます重要な強みとなっています。1
Google Cloud Connector の使用を開始する前に必ずご留意いただきたいのは、このコネクタを SAP LaMa 3.0(現在のバージョン)上で実行する必要があること、また SAP Landscape Management(SAP が提供する、すべての機能をサポートする Enterprise Edition ライセンス)が必要であることです。
さらに、Google Cloud SAP 環境で完全な SAP LaMa 機能セットを利用するには、SAP の Adaptive Design の基本方針に沿って SAP システムをデプロイする必要があります。たとえば次のような方針があります。
SID(SAP システム ID)とインスタンス固有のディスク マウント ポイントを使用する
仮想ホスト マッピングとポータビリティに、エイリアス IP を使用する
DNS を構成して、すべての VM の仮想ホスト名(別名 FQDN)を管理する
ローカル NFS ホストを使用して共有ファイルを管理し、同時に Filestore や NetApp などのソリューションを別々にコピー、移行、管理する
これらの要件を満たすためには本番システムの変更が必要となる可能性があるため、それに伴う長所と短所を評価して、Google Cloud Connector の強みを最大限に生かせるようにする必要があります。
Google Cloud は常に SAP のお客様をサポートする方法を模索しており、お客様がより効率的な運用を行えるように、そしてハイブリッド クラウドおよびマルチクラウドの戦略を最大限に生かせるようにしたいと考えています。SAP LaMa 用の Google Connector のリリースは、あらゆる手段でお客様に価値を提供するために Google が進める取り組みの成果を示す一例です。SAP のお客様向けの Google Cloud プロダクトの詳細をご覧ください。
1. https://www.flexera.com/blog/cloud/cloud-computing-trends-2021-state-of-the-cloud-report/
-Google Cloud SAP 担当 SAP プロダクト マネージャー Mike Eacrett
-Google Cloud SAP 戦略およびアーキテクチャ担当ソリューション マネージャー Riley Harrington