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Google Cloud での SAP

SAP ワークロード向け Bare Metal Solution のご紹介

2021年2月18日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2021 年 2 月 10 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

Google Cloud で SAP ワークロードを実行するお客様にとって、主な懸念事項はスケーラビリティでしょう。そこで、Google Cloud での SAP では、S/4HANA OLTP ワークロード向けに最適化された単一ノードの 6 TB および 12 TB VM など、業界最高水準の性能を備えた SAP 認定インフラストラクチャ オプションをいくつかご提供しています。

しかし、一部のお客様は、この大規模で堅牢な VM をはるかに上回る規模のオンプレミス SAP 実行環境にあります。ご推察のとおり、それほど圧倒的な規模での SAP ワークロードの実行は、費用がかさみ複雑であるだけでなく、一般的に手間のかかる作業です。こうした非常に規模の大きい SAP ワークロードをクラウド環境に移行すれば、スケーラビリティの強化や所有コストの削減など、運用上の大きなメリットを手にすることができます。また、パフォーマンスも重要です。以降で、新記録を達成した Google Cloud の SAP 向けベアメタル パフォーマンスのベンチマークについて、詳しくご説明します。

Bare Metal Solution: 大規模な SAP ワークロードに最適

近頃、Bare Metal Solution を拡張し、SAP 認定ハードウェア オプションを統合しました。Bare Metal Solution システムは、標準的な仮想環境には大きすぎる、または別の理由で不適切なワークロードの実行に特化した、単一テナントの専用システムです。Bare Metal Solution は、SAP のお客様にとって、大規模で難しいワークロードをモダナイズするための優れたオプションとなります。

Bare Metal Solution は、フルマネージドのハードウェアおよびサポート インフラストラクチャをサブスクリプション サービスとして提供します。このサービスには、ストレージとネットワーキングに加えて、電力、冷却機能、その他のインフラストラクチャが含まれ、すべて安全な低レイテンシのデータセンターで管理されています。

ハードウェアは Google Cloud が、ソフトウェアはお客様が管理

Bare Metal Solution のハードウェアとインフラストラクチャは Google Cloud が管理しますが、これらのシステムで実行されるソフトウェアの管理はお客様の担当です。これには、オペレーティング システムと、お使いの SAP 環境およびアプリケーションのワークロードに関連するすべてのソフトウェアの管理が含まれます。Bare Metal Solution は自動オンボーディングおよびプロビジョニング ツールも備えており、オペレーティング システムの構成やバックアップおよびモニタリング ツールのセットアップなどの作業を簡単に行えます。

非常に規模の大きいワークロードを Bare Metal Solution に移行することで SAP のお客様が得られる価値は複数あります。多くのお客様は、Google Cloud の AI および機械学習ツール、BigQuery、Google Cloud の API およびサービスへのプライベート アクセスに関して、低レイテンシの接続を活用しています。さらに、サブスクリプションベースの料金であるため、オーバープロビジョニングによるコストを排除でき、事前の設備投資も一切不要です。また、Bare Metal Solution と同じリージョンの他の Google Cloud サービスの間で、上り(内向き)データまたは下り(外向き)データの料金は発生しません。

Bare Metal Solution は、お客様にとって、ワークロード実行のための SAP 認定システムの選択肢となります。Google Cloud と Intel が連携して、分析情報を迅速に提供し、低レイテンシと高スループットを実現する、ベアメタルでの SAP 向けの最高水準のアーキテクチャを開発しました。これには、最大 224 個の vCPU と 3 TB のメモリを備えた、汎用 Intel® Xeon システムが含まれます。さらに、非常に大規模な HANA ワークロードの実行に特化した 2 つのマシンタイプが認定されました。12 および 16 ソケットの Intel® 第 2 世代 Xeon スケーラブル プロセッサを使用するもので、それぞれ 18 TB および 24 TB のメモリが搭載されています。

Bare Metal Solution が SAP ベンチマークの新記録を達成

お客様が必要としているのは Google Cloud の高度なパフォーマンスと信頼性であり、この点が Bare Metal Solution の設計段階における主要な原則でした。これらのシステムで実行されるワークロードはお客様にとって非常に重要であり、この圧倒的な規模でインフラストラクチャのパフォーマンスと信頼性を一貫して確保することが不可欠です。

こうした理由から、Google Cloud チームが最近達成した成果についてお知らせできることを、喜ばしく思います。主要な SAP パフォーマンスのベンチマークで、システム パフォーマンスの世界新記録を達成したのです。

SAP のお客様の多くが、SAP Standard Application Benchmark についてよくご存じでしょう。このベンチマークは、SAP のアプリケーション、スケーラビリティ、同時実行性、省電力性、マルチユーザーの動作、その他のエンタープライズ アプリケーションのパフォーマンスに求められる多くの側面について、ハードウェアとデータベースのパフォーマンスをテストするための重要なツールです。

Google Cloud チームは、SAP Sales & Distribution ベンチマークに集中して取り組みました。これは、ハードウェアに依存せずシステムのパフォーマンスを測定するベンチマークです。その測定単位は SAP Application Performance Standard(SAPS)です。100 SAPS が、1 時間で 2,000 の業務項目を処理するために必要なシステム パフォーマンスであると定義されています。

ソリューションの有効性を証明するために、Google Cloud はこの重要かつ厳密なベンチマークに対して、Intel Cascade Lake プロセッサを使用する 16 ソケット / 24 TB のサーバーをテストしました。そして、その結果は素晴らしいものでした。Bare Metal Solution サーバーは Intel プロセッサの世界新記録を樹立し、892,270 SAPS を達成したのです。

SAP のベンチマーク記録は、それを達成した企業の能力の証です。このことは、過去四半世紀で新たな競合企業が次々とパフォーマンスの新記録を達成し、何度ステップアップしてきたかに目を向ければ明らかです。Google Cloud は今回初めて SAP ベンチマークの記録保持ソリューションとなりましたが、これが最後ではないと考えています。今後も SAP のお客様に、スピード、信頼性、革新性を強化したインフラストラクチャを提供できるよう取り組みます。

Google Cloud の Bare Metal SolutionSAP のお客様向けのソリューションの詳細をご確認ください。

-Google Cloud プロダクト管理、Cloud エンタープライズ担当マネージング ディレクター Nirav Mehta

-Google Cloud コア コンピューティング担当リード SAP エンジニア Lloyd Palfrey

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