Media CDN のご紹介 - 没入体験を実現する拡張可能な最新プラットフォーム
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2022 年 4 月 26 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
視聴者がオンライン エクスペリエンスに移行し、コンテンツ プロバイダがこれまでにない革新的なコンテンツの提供を模索するなかで、デジタル メディアとエンターテイメント業界は劇的な成長を遂げています。『The Global Internet Phenomena Report』によると、ストリーミング動画によるトラフィックはインターネット帯域幅の 53.7% を占めており、これは 1 年前と比べて 4.8% 増加しています。こうしたオーバー ザ トップ コンテンツの急速な成長によって既存のインフラストラクチャが逼迫し、メディア企業がグローバル プレゼンスと強大な配信能力を兼ね備えたパブリック クラウドへ移行する動きに拍車がかかっています。さらにゲーム、ソーシャル ネットワーク、AR / VR エクスペリエンス、教育などのユースケースもあいまって、インテリジェントなメディアのサービス提供および運用への需要が高まり続けています。
本日の 2022 NAB Show Streaming Summit において、他にはないスケールとインテリジェンスで没入体験を実現するための、拡張可能な最新プラットフォームである Media CDN の一般提供を発表いたします。Media CDN は、メディア業界とエンターテイメント業界のお客様が世界中の視聴者に効率的かつインテリジェントにストリーミング エクスペリエンスを提供することを可能にするサービスです。Google は 20 億人を超えるユーザーに YouTube コンテンツを提供するため、過去 10 年をかけてインフラストラクチャを構築してきました。Media CDN の登場により、そのインフラストラクチャを Google Cloud のお客様が大規模なメディア配信を行うにあたってご活用いただけるようになったのです。
他にはない世界規模のリーチとスケール
Media CDN の根本的な強みは、Google ネットワークです。Google は全世界の 200 か国、1,300 以上の都市で大規模な容量とリーチを達成するために、何十年にもわたりリソースへ投資してきました。最新の動画アプリケーションはレイテンシの変動の影響を受けやすいため、コンテンツをユーザーに近づけることでビットレートを上げ、再バッファリングを減らすことで、エンドユーザーに優れたエクスペリエンスを提供できます。 Media CDN は、ウェブと API の高速化を実現した既存の Cloud CDN ポートフォリオを基に構築されており、臨場感あふれるメディア体験の提供を可能にすることで Cloud CDN ポートフォリオを補完しています。
Media CDN の強みは世界規模のインフラストラクチャだけではありません。個々のユーザーとネットワーク条件に合わせた配信プロトコルを用意できることもメリットの一つです。Media CDN では QUIC(HTTP/3)、TLS 1.3、BBR がすぐに使えるようになっており、ラスト ワンマイルの配信を最適化できます。Chrome チームが QUIC の幅広いサポートを展開した際に、動画の再バッファリング時間は 9% 以上も短くなり、モバイル スループットは 7% 以上も改善しました。
また、Media CDN は業界屈指のオフロード率も達成しています。複数のキャッシュ層により、ほとんどアクセスされないコンテンツであっても、送信元への呼び出しが最小化されます。これにより、コンテンツ送信元のパフォーマンスや容量に対する負担が軽減し、コストも削減されます。これらの機能はプロダクトに組み込まれており、Google Cloud、オンプレミス、サードパーティ クラウドでホストされるお客様のコンテンツをシームレスにサポートします。
「Media CDN を活用して、オーストラリア中の Stan ユーザーに卓越したストリーミング エクスペリエンスを届けるのが楽しみです。Google の大規模なネットワークと ISP への深いリーチで、ユーザーがどこにいても高品質の動画を配信できます」- Stan 最高技術責任者 John Hogan 氏
「U-NEXT のミッションは、品質とエンターテイメント性の最も高いコンテンツをユーザーに提供することです。膨大なコンテンツのコレクションにより困難だったインフラストラクチャのスケーリングが、Google Cloud の Media CDN で効率的に行えるようになりました。Media CDN は配信元サーバーへのリクエストの 98.3% をオフロードしつつ、一貫してすばらしい品質を維持してくれます」- U-NEXT 最高技術責任者 Rutong Li 氏
収益化と没入体験を実現するワイドなプラットフォーム
上質なエンドユーザー エクスペリエンスにとってグローバル配信は重要です。しかし、それは没入体験を実現する世界クラスのプラットフォームを提供するうえでの一要素にすぎません。Media CDN は他にも、広告挿入、エコシステムのインテグレーション、プラットフォームの拡張性、インタラクティブな体験のための強力な AI / ML 分析など、この変革を実現するための機能を提供します。
ストリーミング プロバイダは、Video Stitcher API で広告配信を統合して収益性を改善できます。これは、 動画コンテンツを操作して動的に広告を挿入できるようにするものです。
Media CDN の拡張可能なエコシステムにおいて、お客様はインテグレーションを介して運用を簡素化する重要な機能へアクセスできます。たとえば、Transcoder API はカスタムのストリーミング形式をサポートしており、Live Stream API は複数のデバイス プラットフォーム向けにメザニンのライブ信号を direct-to-consumer(D2C)ストリーミング形式へコード変換します。
Media CDN には AI / ML が組み込まれているため、視聴者は視聴方法、エクスペリエンス、コンテンツなどをより細かく制御できます。たとえば、試合を視聴しているスポーツファンがリアルタイムの統計と分析を取得したり、視聴者が仮想のビルボードから商品を購入したりできます。
クラウドネイティブかつデベロッパー指向の運用
メディア企業は、革新的なエクスペリエンスをすさまじいスピードで開発およびデプロイしなければならないプレッシャーにさらされています。デベロッパーのためにデベロッパーが構築した Media CDN には、自動化とオブザーバビリティを実現する機能が組み込まれており、メディア プロバイダにとって配信のプロビジョニングと管理をコンテンツ リリースのプロセスに統合するために必要なスピードと柔軟性を提供します。
Media CDN は包括的な API と Terraform のような自動化ツールを提供します。事前に集計された詳しい指標と再生トレースにより、インフラストラクチャ スタック全体のパフォーマンスも簡単に診断できます。Google Cloud のオペレーション スイートによってリアルタイムの可視性を得られるだけでなく、Grafana や ElasticSearch など、デベロッパーがすでに使用しているツールとの統合も可能です。
「YouTube と同じインフラストラクチャを活用する Google Cloud の Media CDN は、広い地理的なリーチ、API ファーストのアーキテクチャ、Cloud のオペレーション スイートとのインテグレーションを兼ね備えています。これは、CDN 業界の未来に沿った変革的な動きです」- IDC 調査部門バイス プレジデント、WW 通信、仮想化および CDN 担当 Ghassan Abdo 氏
「あらゆる消費スタイルで、世界中の視聴者が最高水準の動画品質とパフォーマンスを求めています。動画ファーストの配信ネットワークは、この分野の流れを変える可能性を秘めています。Google Cloud と提携し、Media CDN を活用してプレミアムな動画体験とカスタマー エンゲージメントを実現するのが楽しみでしかたありません」- Firstlight Media 創設者兼 CTO Juan Martin 氏
世界規模のスケールと高度なセキュリティ
Media CDN を使うことで、Google が安全性、セキュリティ、信頼性を確保しながら動画を配信してきた数十年間の経験をストリーミング メディア プロバイダの皆様に活用していただけるようになります。このプラットフォームには、世界規模の DDoS 対策を可能にする Google Cloud Armor とのインテグレーションに加え、攻撃の検出および軽減、不正使用の防止、リスクの管理、規制やライセンス要件の遵守を実現する充実した機能が含まれます。
拡張可能な最新の配信プラットフォームで、世界中の視聴者に臨場感あふれる豊かな体験を提供することに興味をお持ちであれば、ぜひお問い合わせください。技術仕様やプラットフォームのアーキテクチャなどの詳細に関しては、cloud.google.com/media-cdn でご確認ください。Media CDN の使用を開始するには、担当のセールスチームまでお問い合わせください。
- Google Cloud ネットワーキング担当バイス プレジデント兼ゼネラル マネージャー Shailesh Shukla