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Google Maps Platform

「買い物の拠点」に加えて「何でも届けてもらえる出荷の拠点」に。Google Maps Platform を活用した「7NOW」で 、さらに進化するセブン-イレブン

2024年9月9日
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Google Maps Platform Team

今日の記事では、株式会社 セブン‐イレブン・ジャパンの小寺 高載氏、株式会社 セブン&アイ・ホールディングスの大甲 隼土氏、株式会社 セブン&アイ・ネットメディアの相沢 春美氏にお話を伺いました。日本最大手のコンビニエンス ストア チェーンであるセブン‐イレブンは、お客様のスマホでご注文いただいた商品をお届けするサービスを2022年に「7NOW(セブンナウ)」と改称。さらに Google Maps Platform モビリティ サービスを導入するなど、「次の便利の扉を開き、世界中に豊かな暮らしを実現する」というミッションを追求し続けています。

日本最大規模の店舗ネットワークと高い商品を活かす「7NOW

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株式会社 セブン‐イレブン・ジャパン 企画本部 ラストワンマイル推進部 ロジスティクス戦略の小寺 高載氏は、同社のビジネスモデルと企業戦略、「7NOW」の開始に至るまでの流れを次のように説明します。

「セブン-イレブンは多くのお客さまにご利用いただいています。その基盤となっているのが全国約 2 万 1,000 店(2023年2月末時点)のネットワークであり、弁当やサンドイッチ、揚げ物といったオリジナル商品から、牛乳や卵、ペットボトル飲料などの日用品まで約 3,000 点の商品が購入できる豊富な品揃えです。近年はデリバリー サービスが台頭。特に新型コロナ禍以降は、ネットで商品を注文し、自宅で受け取るスタイルが日本でも普及しました。これは私たちにとって大きなビジネスチャンスでした。全国にある店舗ネットワークは、デリバリーにおいては他社にはない配送網となり圧倒的なサービスを展開できるからです。『7NOW』は時代の変化に対応し、私たちの店舗の側から、お客さまにより近づいていくための取り組みとしてスタートしました。」

「今、店舗にある商品」を「今、手配可能な配送業者」で届ける仕組み

「7NOW」では、「今、店舗にある商品」と、「今、手配可能な配送業者」を IT でマッチングする仕組みを実現しました。小寺氏によれば、2 つの新機軸は「新しい顧客体験」を提供するためのものでした。

「セブン‐イレブンでは、予約した商品を翌日以降にお届けするサービスは実施していましたが、サービスを展開する中で、店頭商品を今すぐ届けてほしいというニーズがあることがわかってきました。店頭では電話で注文をいただくケースもありますが、電話での注文は 1  件処理するだけでもかなり時間がかかっていました。それに対してネット上で各店舗の在庫を確認・注文できるようにすれば、お客さまは店舗で買い物をするように、自由で簡単に商品をお選びいただくことが可能になります。私たちが目指したのは、リアルな店舗とネット上の店舗の違いを超えて、シームレスに商品を購入いただける環境の構築でした。これをロジスティクスの領域で支えるのが、配送業者のマッチングです。当初は、最短 2 時間で商品をお届けする『セブン‐イレブンネットコンビニ』をスタートさせましたが、最短 30 分で届けるサービスを展開したときには、一気に売れ方が変わりました。これは店舗が近くにあるという便利さだけでなく、すぐに商品が手に入るという心理的 / 時間的な便利さ、『タイム コンビニエンス』も重要であることを示しています。いち早く商品がほしいというニーズに応えるため、専任契約を結んだ配送員ではなく、注文を受けた時点で手配可能な外部の配送会社とのマッチングを実施することにしました。」

続いて 2023 年 9 月には、「7NOW」のモバイルアプリの配信もスタート。開発を手掛けた株式会社 セブン&アイ・ネットメディア システム企画本部 7NOW推進部 企画開発チームの相沢 春美氏は、アプリに込められた狙いを語ってくれました。

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「そもそもアプリを開発したのは、より手軽で簡単に注文いただけるようにするためであり、設計においても使いやすさを最優先しました。7NOW はリアルタイム在庫連携により、店頭とほぼ同等の品揃えができるようになった反面、商品を見やすく選びやすくしたいという課題がありました。それを解決するため、まるで店頭で買い物しているような体験ができるシェルフデザインを実現しました。カテゴリーやテキスト検索を使って、画面上ですぐに商品を探せるようになっていますし、見やすくわかりやすい商品棚のような表示方法も採用しています。セブン-イレブンの店頭にいるような雰囲気を再現するために、棚には商品の落下を防ぐバーまで再現しました。こういう工夫を重ねることで、お買い物のついでにさらに多くの商品を手に取っていただけるようしたいと思っていました。」

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7NOW で注文する(※アプリ画面イメージ)

配送員の位置をリアルタイムで表示し、利用者に安心感を提供

「7NOW」の進化は、これだけにとどまりませんでした。アプリの開発開始に前後して、配送員の位置情報をリアルタイムで表示できるシステムの開発も始まります。小寺氏によれば、開発の目的は「安心感の追求」でした。

「おかげさまで『7NOW』は大変ご好評をいただいていますが、やはり私たちは「新しい買い物体験」を一層高めたいと思っていました。そこで浮かび上がったのが安心感の提供です。『7NOW』ではスムーズかつ確実に商品をお届けするために、ラストワンマイルの改善を一貫して追求してきました。住所を入力いただくだけでなく、マップ上で建物の位置をピンで指定していただき、配送に向かう際には通知も差し上げてきました。しかし、配送員が今、どこにいるかという情報までは表示できていませんでした。私たちは外部のパートナー様、しかもさまざまな会社に配送業務を委託しています。であればこそ現在位置をリアルタイムで表示し、配送会社の違いにかかわらず、安心して商品の到着をお待ちいただけるようにしたいと考えていました。」

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配送員の現在位置を表示する試みは、2022 年の暮れ頃から始まりました。プロジェクトを主導したのは、株式会社 セブン&アイ・ホールディングス DX統括室・開発ディレクションUnit 兼 グループシステム部・DXエンジニアリングUnitオフィサーの大甲 隼土氏です。

「開発作業は、配送員の手配などロジスティクスの基盤となる『ラストワンマイルDXプラットフォーム』に機能拡張する方式でスタートしました。最初はプロトタイプを内製し、過去のデータを用いて配送員の位置をシミュレーションで表示してみましたが、満足のいく結果は得られませんでした。配送員の現在地をリアルタイムで表示しつつ、正しいお届け時間をお伝えするためには、直線距離ではなく実際の道のりに基づいて所要時間を算出することも不可欠になります。それと同時に、お客さまが情報をご覧になる場合は、セキュリティも万全に確保しなければなりません。これらの課題をクリアして、お客さまに使っていただけるサービス品質に昇華させていくまで、相当な時間とコストがかかることは明らかでした。」

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7NOWの新しい挑戦

Google Maps Platform のソリューションが選ばれた理由

そこで大甲氏率いる開発チームが白羽の矢を立てたのが、物流 / デリバリー業界に特化したソリューション、Google Maps Platform モビリティ サービスでした。

「1 つ目の理由はシステムの拡張性と安定感です。今後『7NOW』のサービスが普及していけば、日本全国で相当な数の配送情報を同時に処理することになります。その点、Google Maps Platform は圧倒的なキャパシティやスケーラビリティを確保しているだけでなく、ロケーション情報の活用処理をGoogle Cloud や  API でオフロードすることもできるので、まさに理想的な選択肢でした。」

「次の理由は信頼性の高さです。私自身、Google マップは日常生活でよく使っていますし、Google Maps Platform や Google Cloud の製品は、ロケーション サービスを提供している多くの企業でも利用されています。これはサービスの信頼性や使い勝手の良さが、評価されているということに他なりません。開発サイドから見れば、既存のノウハウやナレッジがふんだんに活用できることも意味します。Google Maps Platform はサポートも充実していました。開発方式を検討するにあたって、私はGoogleの問い合わせフォームでコンタクトすることから始めましたが、すぐに開発パートナーとして Navagisさんをご紹介いただきました。解決するのが難しい課題に直面したときには、Navagis さんから幾多の貴重なアドバイスも受け、開発期間を大幅に短縮することができました。」

「最後はコストです。配送員の位置情報を正確に表示し、正しいお届け時間を表示し続けるためには API コールを繰り返さなければなりませんが、従量制で課金されるモデルでは、その運用コストが膨大にかさんでしまいます。しかし Google Maps Platform モビリティ サービスは、1 件の配達が完了するごとに固定料金が課金されるシステムになっていますので、お客様に安心体験をお届けしながら、コストを抑えることができます。」

現在「7NOW」上では 多くのAPI を利用しています。アプリで入力された配送先情報をもとに配送可能な店舗を検索し、配送員も確定。道のり距離や交通状況を踏まえて配送時間を算出しながら、配送員の現在位置を取得し、アプリにリアルタイムで表示されていきます。これら一連の処理を実装するうえで Google Maps Platform モビリティ サービスが利用されています。

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配達状況と配送員の現在位置

身近な『買い物の拠点』に加えて、さらに便利な『出荷の拠点』へ

アプリの実装は完了したばかりですが、小寺氏は早くも強い手応えを感じていました。

「今回の取り組みは、安心感の向上に大きく寄与しました。多くのお客さまは配送状況を確認されています。より便利になったという声も数多く寄せられています。一方、店舗側にとっては、お客さまから問い合わせを受けるケースが減っただけでなく、さまざまな相乗効果が得られています。」

「いつでも何でも買えるお店」から、「いつでも何でも届けてもらえるお店」へ。小寺氏は「7NOW」とGoogle Maps Platform モビリティ サービスがもたらしたインパクトの大きさを改めて指摘します。

「『7NOW』はお客さまに店舗に来ていただくのではなく、私たちの方からお客さまに歩み寄っていく画期的なサービスでしたが、最大の効果として挙げられるのは、注文単価の高い新たなお客さまを開拓しながら、既存の店舗の売り上げ増加も実現したことです。現にデータを見ると、アプリを通じて商品を知った方が店頭に足を運ばれる、あるいはこれまで店頭で買い物をされていた方が、ネットで別のお買い物をされるケースも出てきています。加えて配送員の現在位置が正確にわかるようになったことで、到着までの間にさっとシャワーを浴びたり、お友達が来るタイミングに合わせて、話題のスイーツをピンポイントで届けてもらうといったご利用の仕方なども増えてきているそうです。セブン-イレブンは身近な『買い物の拠点』ですが、『7NOW』 を通じて、自宅から外出先などお客さまとの接点をさらに広げることにつながっています。」 最後に大甲氏は、Google Maps Platform と共に目指していく「次のステップ」について、こう抱負を述べました。

「日本の住所は外国に比べて複雑です。この問題を解決する一つの方法として、住所情報だけでなく地図上にピンで表示された位置情報を参照することが考えられます。しかし、それでも配送時に不安を感じるケースがあるかもしれません。今回のプロジェクトでは、お客様の利便性を高めるシステムを構築しました。次の課題は『ラストワンマイル』の配送部分で、配送員のためにどのような機能を実現できるかを検討中です。Google Maps Platform モビリティ サービスを活用してナビゲーション体験を強化することで、配送員だけでなく最終的にはお客様の体験も一層向上させることができると考えています。」

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インタビュイー (左から)

株式会社 セブン&アイ・ホールディングス
・DX統括室・開発ディレクションUnit 兼 グループシステム部・DXエンジニアリングUnitオフィサー
大甲 隼土氏

株式会社 セブン‐イレブン・ジャパン
・企画本部 ラストワンマイル推進部 ロジスティクス戦略
小寺 高載氏

株式会社 セブン&アイ・ネットメディア
・システム企画本部 7NOW推進部 企画開発チーム
相沢 春美氏

NAVAGIS, Inc
(Google Cloud パートナー)
・ソリューション アーキテクト 赤澤 臣氏
・ビジネスディベロップメントマネージャー 山田 渉氏

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