クラウド テクノロジーにより中小企業の高い目標設定を支援

Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 3 月 5 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
編集者注: Keap は、まずオンプレミスのデータセンターが抱えるスケーラビリティの課題を克服するために Google Cloud を選択しました。今回は、Keap がこうした課題を克服するため、どのようにクラウドに移行してさまざまな Google プロダクトを使用し、常時稼働のミッション クリティカル サービスをユーザーに提供して、サービスをさらに開発、推進する時間とリソースを手に入れたかについて見ていきます。
Keap は、オールインワンの顧客関係管理(CRM)、販売、マーケティング自動化ソリューションを通じて、中小企業の成長加速を支援するテクノロジーとサービスを提供しています。ユーザー数が 20 万人を超える当社は、お客様が起業を実現するために必要とするサポート、コーチング、パートナーへのアクセスも提供しています。当社はインフラストラクチャを Google Cloud に移行し、また広範な Google エコシステムを活用して、お客様にサービスを提供してその成長を支援しています。Google Cloud により、コンピューティング リソースをスケールするための時間、労力、コストを節約できたため、お客様が必要としていることに先回りし、貴重な DevOps の時間をアプリやテクノロジーをモダナイズするために活用できるようになりました。そして冗長性やセキュリティに加え、オープンソース プロダクトの使用に最適なオプションを加えました。
簡素化とスケーリングのためにクラウドに目を向ける
当社は近年、複数のオンプレミス データセンターやまったく異なるテクノロジーによって生じるインフラストラクチャの課題に対処する必要があり、管理の手間とコストがかさんでおり、またインフラストラクチャをスケールする際、サーバーの起動に時間がかるという問題も抱えていました。多くのリソースがあり、冗長性と障害復旧の課題がありました。増え続けるお客様のご要望に対応するためにリソースをスケールする必要がありましたが、それに時間、労力、コストがかかりすぎていました。一方で、当社のエンジニアリング チームは、Keap 独自のアプリケーションとテクノロジーをモダナイズするため、そうしたリソースを DevOps に集中させたいと考えていました。
また当社の経営陣は、アーキテクチャのセキュリティおよび冗長性を高めるため、新しいクラウド プロダクトのビジネスの可能性について検討していました。そういった理由から、クラウドに移行すれば、オンプレミス インフラストラクチャの課題を克服することができ、ビジネス全体に強力な新しいメリットをもたらすことができると判断したのです。
プロバイダとして検討したのは、AWS(すでにいくつかのコンポーネントを使用していました)、Azure、Google Cloud でした。最終的に、費用対効果の高い価格設定、優れたセキュリティ機能、当社のオープンソース プロダクトと連携できる柔軟なツールといった要素から、すべてを Google Cloud に移行することにしました。Google Cloud は、特にデジタル トランスフォーメーションに対するパートナーシップ アプローチで際立っていました。Google Cloud のチームは、当社がお客様のニーズを満たすためのサポートに情熱を持って取り組むということでしたので、当社の従業員は Google Cloud チームと協力したいと判断しました。その約束は現在も果たされています。
Google Cloud は、通常のベンダーとしての関係性にとらわれず、さまざまなサービスを提示してくれます。これこそが真のパートナーシップです。
クラウドによる移行、モダナイゼーション、合理化
当社がすべてのワークロードをデータセンターからパブリック クラウドに移行するためにパブリック クラウド プロバイダを評価したところ、Google Cloud は移行を成功させる手順の特定作業において、他のプロバイダを上回り、際立っていました。全体として、当社のチームはクラウドへの移行を非常にスムーズに完了し(約 3 か月間)、すぐに大きなビジネス上のメリットが得られだしました。稼働時間が改善し、お客様のソリューションに対するキャパシティを効率的に追加することができ、スケーラビリティへの不安がなくなりました。言うまでもなく、全体的なコスト面での利点と、古かったホスティング アプローチよりもはるかに優れた安心感が得られました。
Google Cloud を採用することでモダナイゼーションが実現しつつある重要分野
インフラストラクチャ。オンプレミスのワークロード、データストア、インフラストラクチャを Google Cloud に複製するため、リフト&シフト方式を使用しました。当社は、仮想マシンをオンデマンドで起動するための高速かつ効率的な方法をユーザーに提供するため、Google Compute Engine を選択しました。また、Google Cloud が管理するデータセンターでウェブ アプリケーションを開発およびホストするため、Google App Engine を使用しています。当社のエンジニアは、App Engine を大いに活用してソリューション開発を行いました。
はじめるにあたり、まずはまったく新しい技術スタックを学ぶ必要なく既存のスキルを活用できる、Google Cloud の一般的なツールとオープンソース機能のサポートを利用しました。このアプローチにより、既存のテクノロジーと共通点のない新しいテクノロジーに対処する必要性がなくなり、チーム管理を効率化することができました。適切なスキル、トレーニング、資格を備えたスタッフがいるかどうかを考えることなく、インフラストラクチャを簡単にスケールして、ビジネス アプリケーションをサポートしたり、トラフィックや需要の急増に対応したりすることが可能になりました。このすべてを Google Cloud にオフロードして、日々の管理負担とビジネス全体のリスクを最小限に抑えることができます。クラウドに移行することで、稼働時間が改善され、キャパシティを効率的に追加できました。また、オンプレミス モデルよりもコストを削減できるというメリットもあり、クラウドへの移行を通じてオペレーションの長期的なスケーラビリティと信頼性に対する不安も軽減されました。


データ分析と可視化。Google Cloud を導入する前、社内のビジネス アナリスト チームは、分析やレポートを主に手動で操作し、さまざまなソースからデータを取得してそれらをまとめていました。このプロセスは時間がかかり非効率的で、迅速に対応してビジネスを推し進めるために必要なリアルタイムのインサイトが得られませんでした。
アナリストの貴重な時間を取り戻し、社員が信頼できアクションにつながるより多くのインサイトを利用できるように、データスタックをモダナイズすることを選択しました。モダナイズすることで、ビジネス全体の効率と機会が向上することはわかっていました。データの保存と分析には、Google Cloud のサーバーレス マルチクラウド データ ウェアハウスである BigQuery を選択しました。また、統一的な指標とアクションにつながるインサイトにセルフサービスでアクセスできるよう、Looker の最新のビジネス インテリジェンスとデータ アプリケーション プラットフォームを選択しました。当初は社内でプラットフォームを構築することを計画していましたが、Looker の機能を活用しながら、必要なコントロール性とカスタマイズ性を保てることがわかりました。Looker は、ワークフローに最も適した方法で、適切なデータを適切なユーザーに適切なタイミングで配信できるようにすることで、Keap のデータ文化を成長させてくれました。たとえば、当社の管理チームが特に気に入っているのは、モバイル デバイスから直接 Looker にアクセスして、どこからでもデータに基づいた意思決定を行えることです。今では Keap の従業員の大多数が Looker を日常的に活用しており、Looker を使用してお客様に優れたレポートとわかりやすい組織分析を提供しています。
そしてデータ アナリストは、レポートを常に実行するのでなく、より戦略的な分析に時間を割くことができるようになりました。ビジネスに関するより深いインサイトを手に入れ、お客様の理解を深めることができる、より込み入った質問ができるようになりました。現在、当社のデータチームは、コストセンターから、収益を生み出す機会に焦点を当てたチームに生まれ変わりました。たとえば、全体的な満足度を高め、アップセルを生み出すための貴重な機会として、組み込みの分析をお客様に提供しています。
API 管理。Keap ではまた、チームが API を設計、保護、管理する方法を改善し、お客様に気に入ってもらえる新しいエクスペリエンスを生み出すため、Google の Apigee API Management Platform を使用しています。パートナーからは毎年約 180 億の API 呼び出しがあります。Apigee を導入する前、当社では API ごとにポリシーが異なり、従来の API 管理プラットフォームではトラフィックに対応できませんでしたが、パフォーマンスを中断することなく、Apigee に API トラフィックを移行することができました。
Apigee によって開発プロセスが合理化および標準化され、当社の開発者はグローバル セキュリティ ポリシーやその他のコントロールをすべての API に適用できるようになりました。Apigee のホスト環境を通じて、開発者はアプリやサービスを構築し、その API を作成して管理するためのより効率的な方法を手にすることができました。また、パートナーによる API の使用をモニタリングし、調整、分析を行えるようになりました。パートナーの皆様も、Apigee によって実現した速度とパフォーマンスの向上に気づいています。API のパフォーマンスは今では 2~3 倍速くなりました。
現在当社は、Apigee を使用して、まったく新しい収益源として API トラフィックをマネタイズする方法を模索しています。考えられる方法として、API に対する課金、API を使用したマーケットプレイスに対するトラフィックの促進、プレミアム サブスクリプション パッケージのアップセルなどが挙げられます。
より良い顧客体験のために幅広いプロダクトを探る
移行の完了後、当社はビジネス プロセスを改善し、従業員の業務効率と業務の成果を高めるため、Google Cloud 以外の Google プロダクトを活用する方法をさらに見いだしました。Google と連携することで、Google アナリティクス、Google ディスプレイ ネットワーク、ファインド広告、Gmail メッセージ アプリなど、Google エコシステム全体を活用した高度なマーケティング キャンペーンを実行することができます。また、自社のデータを Google アナリティクス 360 に統合することで、トラフィックのコンバージョンに関するより完全な全体像を把握することができました。
また、当社独自の CRM プロダクト内で、Google Workspace も活用しています。たとえば、当社の中小企業のお客様の多くは、すでに Google カレンダーや Gmail をご利用になっており、それを保ちたいと考えておられました。プロダクト統合の結果、Keap CRM 内で直接 Google カレンダーからメールを送信したり、フォローアップ ミーティングを予定したりできるようになったため、お客様にとって Keap の CRM ソリューションの利便性が飛躍的に高まりました。
今後の道筋を描く
現在、オープンソースのコンテナ オーケストレーション プラットフォームを活用し、ユーザーがコンテナ化されたアプリケーションをデプロイ、管理、スケールする方法を改善するために、すべてのサービスを Google Kubernetes Engine へ大幅に移行することを計画しています。コンテナとマイクロサービスを使用することで、特定のプロダクト、サービス、アプリケーションの可視性が大きく高まることを確信しています。このことは、サービスの潜在的な劣化や中断を最小限に抑えるために重要です。
当社は、多くの異なるオプションを提供する Google Cloud を通じて新しい機会が増えることを気に入っており、1 ベンダーで非常に多くのソリューションを利用できることを嬉しく感じています。Google Cloud との提携により、通常のベンダーとの関係以上のものが得られました。ビジネスを成長させるための、さらに多くの機会を発見できることを楽しみにしています。
Keap と CRM ソリューションの詳細についてご確認ください。Keap が BigQuery と Looker を組み合わせて使用することで、他の企業がビジネス インテリジェンスをどのようにモダナイズしたかについて、最近のブログでご確認いただけます。
-Keap 最高技術責任者 Rajesh Bhatia