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インフラストラクチャ

Google のネットワークがインターネット コンテンツの配信で果たす役割

2022年5月2日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2022 年 4 月 21 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

共有される動画、送信されるメール、ダウンロードされるアプリは、すべて国際的なネットワーク インフラストラクチャ内を移動するデータ トラフィックに依存しています。どのような仕組みによって、ミリ秒単位という驚くべき速さでコンテンツを提供できるのでしょうか。これを可能にしているのは、世界中の企業や人々にブラウジング、ビデオ会議、ストリーミングなどの最高のエクスペリエンスを提供するためのグローバル インフラストラクチャを構築している企業とローカル プロバイダで形成される充実したエコシステムです。Google の役割は、安全性の高いデータセンターや、地球を横断するネットワークの「基幹道路」の構築および運用から、人気のあるコンテンツをユーザーの近くに保存する Google Global Cache の維持まで、多岐にわたります。   

ここでいう「トラフィック」とは、Google からユーザーへ、そして Google Cloud からお客様へと移動する動画、メール、情報のことです。都市における交通(トラフィック)と同じように、家の数が増えれば、人々の移動や通勤のために道路網を改良する必要が生じます。そうしないと渋滞が増え、人々は回り道をしたり、狭い道路を通ったりするようになるため、交通状況がさらに悪化します。

インターネットの仕組みはこれによく似ています。現代ではガラス繊維の束が、インターネットで伝送されるすべてのデジタル コンテンツの主要な「道路」として機能しています。Google はその道路の上に、データを転送、処理、保存するための追加のサービスやインフラストラクチャを、目的地までの経路に沿って構築しています。この投稿では、Google のユーザーとお客様、そしてお客様のエンドユーザーの近くにコンテンツを配置し、優れたインターネット エクスペリエンスを提供するために Google が行っている数々の投資について説明します。

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ネットワーク

Google のグローバルなリーチを可能にしている基盤インフラストラクチャは、光ファイバー ケーブルのネットワークです。このネットワークは陸と海の両方に張り巡らされており、主要都市同士を結ぶ基幹道路のように、Google のデータセンターとポイント オブ プレゼンス(POP)を接続しています。Google は何年も、世界中のパートナーと協力して光ファイバー ケーブルを構築およびリースする事業に多大な投資を行ってきました。その例として、FirminaApricotTopaz などの海底ケーブルが挙げられます。これらのケーブルは、Google のインフラストラクチャを相互に接続し、エンドユーザーの近くにコンテンツを配置するのに役立っています。

Google は多くの場合、通信会社と協力して海底ケーブル プロジェクトの構築と運営を行っています。これには、OrangeDunant ケーブル)、SparkleBlue および Raman ケーブル)、Société d’infrastructures numériquesCSquared(トーゴの Equiano ケーブル)とのパートナーシップが含まれます。また、Google は通信会社からファイバーペアを購入することで、Google のネットワークの冗長性と復元力を確保しています。

十分な容量を確保することで、さまざまな国や大陸間を複数のケーブルで接続したメッシュ ネットワークを提供できるようになります。これにより、時折発生するケーブルの物理的損傷による影響を回避できます(一般に信じられているのと異なり、ケーブルは多くの場合、サメの攻撃ではなくトロール漁船や船のいかりによって損傷します)。この種のサービス中断が発生しないようにするための最適な方法は、複数の多様なネットワーク パスを構築することです。

データセンターと POP

Google のネットワークは、Google のプロダクトやサービスのコンピューティング エンジンとして機能する世界中のデータセンタークラウド リージョンに接続されています。世界中の人々が利用している Google 検索、Gmail、YouTube などのプロダクトはこうしたデータセンターで運用されており、インターネットを 24 時間年中無休で提供することに貢献しています。Google Cloud Platform のリージョンは、企業や組織がデジタル変革を行い、業界全体を刷新し、運用効率を高めて長期的な成長を実現するために必要な演算能力やサービスを提供しています。

Google は世界中で継続的にネットワークを拡張し、データセンターとクラウド リージョンのロケーションを新設していますが、最寄りの Google データセンターまたはクラウド リージョンが地理的にかなり離れているお客様とユーザーも一部いらっしゃいます。動画の視聴やメールの確認、同僚や友人との Meet への参加のために、8 時間も車を運転しなければならない状況を想像してみてください。この問題に対処するために、Google は世界中で何百もの POP を構築し、ローカル インターネット サービス プロバイダ(ISP)の近く(つまりエンドユーザーの近く)にコンテンツを配置しています。トラフィックはこれらの POP に到達するまで、速度と信頼性において最適化された専用ネットワーク上を流れます。POP からコンテンツをリクエストしたお客様までのローカルの配信は、そのお客様が契約している ISP が担当します。

ピアリング

パズルのもう一つのピースはピアリング(相互接続)です。Google はピアリングを使用してローカル ISP とトラフィックを交換します。ユーザーが自宅で YouTube の動画を視聴したり、YouTube に動画をアップロードしたりする場合、ISP はエンドユーザーとの契約に基づいて、Google のネットワークから ISP のネットワークへ、そして「ラスト ワンマイル」を経由して、動画をユーザーの自宅やモバイル デバイスに配信します。

ISP、コンテンツ プロバイダ、学術機関のネットワーク、またはインターネットに参加しているその他のネットワークの間の責任の引き渡しは、コロケーション施設と呼ばれる共通のロケーションで行われます。参加している各ネットワークは、コロケーション施設への情報の伝送にかかるコストを負担し、そこからトラフィックの送受信を行うことで、ユーザーがインターネット コンテンツにアクセスできるようにします。これらのコロケーション施設は、Google のデータセンターでも ISP が所有するデータセンターでもなく、通常はさまざまな事業者がアクセスできる中立的な施設です。コロケーション施設はネットワーク同士の集合地点として機能し、ここで ISP の道路と Google の道路が交差します。また、コロケーション施設はピアリング機能を備えた POP を構築する場所として最適です。

Google Global Cache

コンテンツを ISP とエンドユーザーの近くに配置する POP 施設への投資に加えて、Google は Google Global Cache(GGC)と呼ばれる任意に参加できるプログラムも維持しています。ISP はこのプログラムに参加することで、Google のトラフィックを ISP のネットワーク内で配信するためのキャッシュをホストできます。このキャッシュには、ISP の利用者の間で人気のある静的コンテンツが一時的に保存されます。ISP はキャッシュを使用してコンテンツを ISP のネットワーク内から取得できるため、トラフィックを Google の POP から ISP のネットワークに伝送する必要がなくなります。いわば「道路渋滞」の軽減です。こうすることで、ISP は利用者のエクスペリエンスを向上させるとともに、コストを削減することができます。

つまり、データ トラフィックは、出発地と最終的な目的地(エンドユーザーのパソコンやモバイル デバイス)をつなぐ曲がりくねった長い道路を移動します。Google は、パートナーや他のインターネット テクノロジー企業と協力しながら、そうした道路の大半を構築および維持することに貢献しています。この投稿が、インターネット コンテンツが世界中のエンドユーザーに配信される仕組みを理解するための一助となれば幸いです。


- Google Global Networking 担当バイス プレジデント兼責任者、通信業のための Google Cloud テクノロジーおよび戦略担当責任者 Bikash Koley
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