データベース ワークロードの調査と評価: Migration Center を使用した Google Cloud への移行
Arkapravo Banerjee
Data Management Specialist
Nimrod Shavit
Senior Product Manager
※この投稿は米国時間 2025 年 1 月 23 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
組織は、より優れたビジネスおよび IT の成果を実現するために、パブリック クラウドの導入を進めています。しかし、移行やモダナイゼーションは複雑で、多面的な課題を引き起こします。そのため、インフラストラクチャとアプリケーションの現状を理解したうえで未来像を描き、その未来像を実現するために必要なことを見極めなければなりません。また、複数の関係者が多種多様なツール、プロセスを活用し、導入パートナーの力を借りる必要があります。しかし、ご心配にはおよびません。Google から朗報があります。
Google Cloud Migration Center は、現行のオンプレミス環境やクラウド環境から Google Cloud への移行を加速する統合プラットフォームです。クラウドへの移行を効率化するために設計されており、インテリジェントでデータドリブンなインサイトと実用的な推奨事項を提供します。これにより、組織は、最適な移行とモダナイゼーションの手法に関する重要な決定を下すことができます。
Migration Center では、IT インフラストラクチャの重要なコンポーネントであるサーバーとデータベースの両方を調査および評価できます。このブログ記事では、Migration Center 内で行うデータベースの調査と評価に焦点を当てます。
データベースの調査と評価は、主に以下の 3 つのフェーズで構成されます。
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調査: オープンソースの収集スクリプトを使用して、データベース構成(メタデータのみ)を収集します。サポートされるデータベースは、Microsoft SQL Server、MySQL、PostgreSQL です。
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技術的適合性評価: Cloud SQL や AlloyDB に対するソース データベースの技術的な適合性を評価し、詳細な技術レポートを作成します。
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費用予測: Cloud SQL や AlloyDB でのソース データベースの実行にかかる全体的な費用を評価します。異なる移行シナリオ(複数リージョン、マルチゾーン、シングル ゾーンなど)で、さまざまなサイズ適正化アルゴリズムを使用します。サーバーとデータベースの移行に予測される費用を 1 つのレポートにまとめて、インフラストラクチャの Google Cloud への移行にかかる全体的な費用予測を作成することもできます。
各項目について詳しく見ていきましょう。
ソース データベースの詳細の調査と収集
データベース構成と指標の収集: Microsoft SQL Server、MySQL、PostgreSQL のソース データベース構成の収集には、オープンソースの収集スクリプトを使用します。
このスクリプトは、ソース システム上で実行できます。データベース サーバーで直接実行するか、データベースにアクセスできるリモート サーバーから実行します。踏み台(ジャンプ)サーバーからスクリプトを実行する例を以下に示します。
このスクリプトを実行すると、抽出された構成と指標のアーカイブ(データベース インスタンスごとに ZIP ファイル 1 個)が自動的に作成され、このアーカイブを Migration Center にアップロードできます。
注: データベース サーバーではなく、踏み台(ジャンプ)サーバーからスクリプトを実行している場合は、パラメータ「--vmUserName」を渡してホストの仕様の詳細を収集します。
調査アーティファクトを Migration Center にアップロードする
出力ファイルを生成したら、以下の手順に沿って、それらのファイルを Migration Center にアップロードしてプロダクトの評価を行います。
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Google Cloud コンソールを開き、Migration Center のホームページにアクセスします。[探索] > [データ インポート] > [ファイルを追加] > [ファイルをアップロード] の順に選択します。
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次のステップで、ファイル形式に [データベース インポート ファイル] を選択し、すべての DMA 出力 ZIP ファイルをアップロードして [ファイルをアップロード] をクリックします。
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アップロードしたデータベース デプロイは Migration Center の [アセット] セクションで確認できます。
技術的適合性評価
Migration Center の [アセット] セクションで、検出されたすべてのサーバーとデータベースを確認できます。データベースのデプロイのリストには、検出されたデータベースの概要と、Cloud SQL および AlloyDB の適合性スコア(大まかな評価)が表示されます。
詳細な構成を確認するには、評価するソース データベースをクリックし、利用可能なデータ(ソース論理データベース構成、ホスティング サーバー構成、パフォーマンス データ、実現可能な Cloud プロダクト、適合性スコア、ターゲット インスタンスのサイズ)を選択します。
また、適合性スコア([適合(作業が必要)] など)をクリックすると、その技術適合性レポートが表示され、ソース データベースで特定されたサポートされていない機能、パラメータ、フラグを確認できます。これらについては、Cloud SQL や AlloyDB への移行時に対処する必要があります。
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費用予測
Migration Center でクラウドのサーバーとデータベースの実行費用は、以下の 3 段階のプロセスで評価します。
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評価対象のサーバーやデータベースのグループを作成する(複数可)。
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評価の移行シナリオとして利用する移行設定を作成する(複数可)。
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グループを最大 4 つの設定に割り当てて、TCO レポートを作成する。
1. グループを作成する
料金レポートを作成するには、費用予測の評価対象となるアセットを使用してグループを作成する必要があります。[探索] > [グループ] -> [グループを作成] の順に選択します。
グループとして評価する関連サーバーやデータベースを選択します。ソース環境(アプリケーション、環境など)に基づいてグループを作成することをおすすめします。
2. 移行設定を作成する
移行設定とは、基本的に、移行シナリオを表すために定義できるパラメータのセットのことです。複数の移行設定を作成し、それらを使用して TCO レポートに仮定のシナリオを生成することで、クラウド内のサーバーやデータベースの費用を比較できます。たとえば、高可用性やバックアップを有効にするオプションを使用して、Cloud SQL のさまざまなエディション用の移行設定を作成できます。
移行設定を作成するには、[Migration Center] > [探索] > [移行の設定] > [移行の設定の作成] の順に選択します。
3. サーバーとデータベースのワークロードの TCO レポートを作成する
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[レポート] > [レポートの作成] > [TCO と詳細な料金レポート] の順に選択して、レポートの作成を開始します。
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評価するアセットのグループ(複数可)を選択します。
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各グループに入力として最大 4 つの移行設定を割り当てます。
TCO レポートでは、ソース環境の詳細、サーバーやデータベースの費用予測を確認できます。また、Google スライドに取り込んだり、CSV 形式でエクスポートしたりできます。以下は、データベースの費用予測の例です。
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Google Cloud では、Migration Center により移行やモダナイゼーション プロジェクトの実行に必要な情報を提供し、お客様がこうしたプロジェクトに費やす時間、労力、費用を削減できるようにすることを目指しています。クラウドへの移行を進める際は、Migration Center と Google Cloud をぜひお役立てください。今すぐ Migration Center をご利用ください。詳細については、Migration Center および高速評価および移行プログラム(RAMP)のウェブページをご覧ください。
データ マネジメント スペシャリスト Arkapravo Banerjee
シニア プロダクト マネージャー Nimrod Shavit