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データベース

Unico、Spanner ベクトル検索で最先端の ID テクノロジーを構築

2025年3月21日
Gustavo Monti Rocha

Engineering Manager, Unico

Vinícius Mariano

Software Engineering Manager, Unico

※この投稿は米国時間 2025 年 3 月 5 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

Unico は、ID 管理と不正行為防止という世界的な課題に取り組む、認証および生体認証の分野をリードする企業です。

ブラジル市場で 20 年近く事業を運営しており、ブラジルの 5 大銀行のうちの 4 行や大手小売業者など、800 社以上の企業に信頼されているサプライヤーです。2021 年以降、デジタル ID を通じて 12 億件以上の認証を円滑化し、当社のソリューションによって、2023 年末時点で 140 億ドル相当の不正行為を阻止したと推定されています。当社の評価額は 26 億ドルを超えており、General Atlantics、SoftBank、Goldman Sachs の支援を受け、ラテンアメリカで 2 番目に価値の高い SaaS 企業として位置付けられています。2024 年には、ラテンアメリカで 3 番目に革新的な企業として Fast Company に評価されました。

現在はグローバルな事業拡大に取り組んでおり、世界における主要な ID ネットワークとなるという野心的なビジョンを掲げて、従来の ID 認証の枠を超え、より幅広い ID 関連テクノロジーを取り入れています。この記事では、Google Cloud と Spanner(Google が提供するスケーリングの制限が事実上存在しない常時稼働のデータベース)が、Unico の目標達成にどのように役立っているかをご紹介します。

ベクトル検索が Unico のソリューションで効果的に機能

Unico は、革新的で最先端のデジタル ID ソリューションを提供することに取り組んでいます。この取り組みの基盤となるのが、ベクトル検索テクノロジーの活用です。これにより、1:N(1 対多)検索(画像にある多数の顔の中から特定の顔を検索する機能)などの強力な機能を実現できます。当社の ID ソリューションを推進するこのテクノロジーにより、特定のクエリに関連する一致を高精度かつ高速に複数検索し、ランク付けできます。

しかし、1:N 検索の開発には大きな課題があります。それは、数百万から数十億の顔ベクトルが登録されたデータベースの中から、顔の一致を効率的に検証する必要があることです。個人の顔の特徴を各エントリと 1 つずつ比較するのは現実的ではありません。この問題に対処するためには、ベクトル データベースがよく使用され、近似最近傍探索(ANN)を実行して、類似性の高い上位 N 件の顔を返します。

当社は、Spanner がベクトル検索機能をサポートしており、以下の機能により、これらの問題を解決できることを確認しました。

  • セマンティック検索: Unico のソリューションでは、ベクトル エンベディングを活用することで、完全一致ではなく、より深いセマンティックな関係に基づいて結果を取得できます。これにより、ソース画像とターゲット画像にわずかな違いがあっても、関連する顔の一致を特定するなど、本人確認の精度が向上します。

  • 多様性と関連性: ANN や厳密な k 近傍(KNN)ベクトル検索などのアルゴリズムを使用することで、多様性と関連性のバランスを考慮した結果が得られ、不正行為の検出と身元確認の信頼性が高まります。

  • マルチモーダル アプリケーション: ベクトル検索は、テキスト、画像、音声など、複数のデータタイプからのエンベディングをサポートしているため、複雑なマルチモーダル ID シナリオで使用できます。

  • ハイブリッド検索: 最新のベクトル検索フレームワークでは、類似性検索とメタデータ フィルタが組み合わされているため、地域やユーザーの好みなどのコンテキストに基づいて結果をカスタマイズできます。

ベクトル検索を統合することで、より迅速でスマートな不正検出ツールをお客様に提供することができます。高精度アルゴリズムを活用したこれらのツールは、不正な顔を非常に高い精度で識別でき、なりすまし犯罪やその他の脅威から企業や個人を効果的に保護します。このイノベーションは、テクノロジー リーダーとしての当社の地位を固めるだけでなく、人々の身元を確実に検証するための統合エコシステムを構築することで、より安全で信頼できる世界を構築するという当社のミッションを明確にするものです。

成果の一例

低レイテンシで動作しつつ、正確性を維持することは、Unico のビジネスにとって極めて重要です。銀行業務のような、リアルタイムのパフォーマンスが求められるアプリケーションにおいてはなおさらです。Spanner は、ベクトル検索のサポートが統合されており、専用のベクトル データベース ソリューションを別途用意する必要がないという点で、第一候補となりました。

Spanner は、運用データに対するトランザクション保証、最新かつ一貫性のあるベクトル検索結果の提供、水平方向のスケーラビリティを実現できます。GRPC(Google リモート プロシージャ コール)のサポート、地域別パーティションニング、マルチリージョン ストレージ構成、RAG と LLM の統合、高い SLA レベル(99.99%)、メンテナンス不要のアーキテクチャといった特長もあります。また、Spanner は現在、KNN と ANN のベクトル検索もサポートしています。

現在はブラジルとメキシコで 1:N サービスを運用しており、これまでに 10 億を超える顔画像のエンベディングを Spanner に保存しています。この設定により、高いパーセンタイルでの低レイテンシ、840 RPM の高スループット、96% の適合率 / 再現率を実現しています。これはまだ始まりにすぎず、毎月約 3,500 万件の新しい顔画像を処理しており、その数は増え続けています。

Unico は、顧客基盤の拡大、既存プロダクトの強化、国際市場における新たな機会の開拓に引き続き注力し、安全なデジタル ID サービスの提供範囲をブラジル国外にも拡大することを目指しています。Spanner と Google Cloud のエコシステムの力を最大限に活用することで、当社の野心的なビジョンが実現され、人々と企業の信頼関係を築く革新的なソリューションを提供できると確信しています。

詳細:

Spanner ベクトル検索ハイブリッド検索Spanner Graph のほぼ無制限のスケーリングによって AI アプリを強化する方法を確認する。

-Unico、エンジニアリング マネージャー Gustavo Monti Rocha 氏
-Unico、ソフトウェア エンジニアリング マネージャー Vinícius Mariano 氏

 

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