Cloud SQL でデータベースの課題を克服して効率と費用対効果を高める
Devin Pratt
Research Director, IDC
※この投稿は米国時間 2025 年 7 月 3 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
編集者注: 今回は、IDC のリサーチ ディレクターである Devin Pratt 氏に、Cloud SQL に関する最新の調査に基づく分析をご紹介いただきます。この投稿で、MySQL、PostgreSQL、SQL Server のワークロードに対応した Cloud SQL の柔軟性に優れたフルマネージド データベース サービスが、どのようにパフォーマンスの向上と費用の削減を実現し、結果的にチームがコアタスクに集中できる環境を作り上げるかをご確認いただけます。Google Cloud のデータベース サービス全般について関心をお持ちの場合は、Google Cloud データベースのホームページをご覧ください。
昨今のデータドリブンな環境でデータベースを効果的に管理するには、パフォーマンス、スケーラビリティ、統合の課題に対処できるソリューションが必要です。データベース管理システム(DBMS)の分析に長年携わってきた私は、この業界が効率性とイノベーションに対する需要の高まりに応じて進化してきたことをよく知っています。この変革については、IDC が最近公開した、包括的なビジネス価値に関するホワイト ペーパー The Business Value of Cloud SQL: Google Cloud’s Relational Database Service for MySQL, PostgreSQL, and SQL Server で詳しく説明しています。
この調査では、データセンターまたはクラウド環境のセルフマネージド データベース サーバーからCloud SQL に移行した組織の経験を検証しています。私は、データベース市場の分析を通じて、こうした移行が組織の運用効率を大幅に高め、コスト構造を大きく変えることを実感してきました。調査結果は私の見解とも一致しており、運用コストの削減や高度な自動化と専門知識の活用などのメリットが明らかになっています。
これらの結果から、データベース市場が進化し続けていることを示すとともに、クラウド ソリューションを戦略的に導入することで、企業が業務を最適化できる貴重な機会を示しています。
最新のデータベース管理の課題
データベース管理の専門家として、今日の組織が抱える重要な課題をいくつか見てきました。
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パフォーマンスの需要: アプリケーションは、高負荷時でも応答性を保つために、より高速な読み取り / 書き込み速度を必要としています。
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ダウンタイムの問題: メンテナンス作業によってオペレーションが中断され、高額な損害につながることも少なくありません。
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スケーリングの制限: 技術的な制約により、データベースの拡張性や柔軟性が制限されることがあります。
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複雑な障害復旧: 信頼性の高い復旧プロセスの実行は、依然として困難でリスクが伴います。
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AI 統合の複雑さ: AI を組み込む場合、通常は外部ツールが必要となり、複雑さが増します。
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大量のリソースを必要とする管理: DBMS には専門知識が不可欠で、メンテナンス、アップグレード、システム リソースに多額の投資が必要なため、IT 予算を圧迫しがちです。
データドリブン化が進む世界において、イノベーションの促進とコスト効率の向上のために、こうした課題に対処することは不可欠です。
IDC のビジネス価値に関するホワイト ペーパーによると、Cloud SQL を利用する組織は、3 年間で平均 246% という驚異的な費用対効果を達成し、投資回収期間はわずか 11 か月と迅速です。調査参加企業は、この高い費用対効果の要因として、以下の点を挙げています。
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運用効率の向上: データベース管理者とインフラストラクチャ チームが、定期メンテナンスではなく戦略的なタスクや革新的なタスクに集中できます。
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費用削減: インフラストラクチャやデータベース関連の費用が削減され、データベース全体の運用コストを抑えられます。
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アジリティの向上: データベース リソースの迅速なデプロイとスケーリングにより、企業は開発活動をより柔軟に支援し、変化するニーズにも対応しやすくなります。
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ビジネスの成長: より迅速かつ高品質な製品やサービスの提供、アプリケーションのパフォーマンスやユーザー エクスペリエンスの向上により、ビジネスの拡大につなげている企業が増えています。
データベース管理のさらなる進歩
IDC の調査結果が公表された後も、Google Cloud は Cloud SQL を 2 つの重要な分野(価格パフォーマンスと生成 AI 機能)で強化してきました。
まず、Enterprise Plus エディションで、コアサービスに加えて、可用性と信頼性の高いデータベース ソリューションが提供されるようになりました。これには、読み取りスループットと書き込みレイテンシの改善、テーブル サポートの 10 倍拡大によるスケーラビリティの強化、スケーリング時のローリング アップデートで計画ダウンタイムがほぼゼロになったことによる効率性の向上、さらにフェイルオーバー プロセスとテストの強化で実現した障害復旧機能の改善が含まれます。
次に、Cloud SQL が包括的な生成 AI ツールと AI 機能を提供している点が挙げられます。これには、効率的なベクトル類似度検索を可能にする PostgreSQL の pgvector サポートと MySQL のネイティブ ベクトル サポートが含まれます。また、拡張機能による Vertex AI、LangChain、各種基盤モデルへの接続も効率化されました。これにより、データベース内で直接 AI アプリケーションを開発できるようになります。
まとめ
Cloud SQL について取り上げた IDC のビジネス価値に関するホワイト ペーパーには、私のクラウドベースのデータベース ソリューションに関する見解と一致するデータが多く示されています。特に次のような改善点が挙げられています。
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DBA の効率が 44% 向上
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3 年間で運用費用を 28% 削減
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新しいデータベースの作成とデプロイが 96% 高速化
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組織あたりの年間収益が平均 2,175 万ドル増加
これらの結果から、Cloud SQL のようなマネージド データベース サービスは、運用効率、コスト、収益面で大きなメリットをもたらす可能性があることがわかります。
これらの調査結果とその潜在的な影響について、より包括的な分析情報に関心をお持ちの方は、Google の後援を受けて作成された IDC のビジネス価値に関するホワイト ペーパー「The Business Value of Cloud SQL: Google Cloud's Relational Database Service for MySQL, PostgreSQL, and SQL Server」の全文をぜひご覧ください。
-IDC、リサーチ ディレクター、Devin Pratt 氏