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データベース

Stubhub、データセンター廃止を目指して Bare Metal Solution を導入

2021年1月21日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2021 年 1 月 12 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

編集者注: 本日は、世界最大級のチケット取引サイトである StubHub の CTO である Austin Sheppard 氏へのインタビューをお届けします。StubHub はクラウドへの移行の過程で Google Bare Metal Solution を採用し、Oracle への依存と総費用を減らすとともに、パフォーマンスを向上させています。今回はその様子についてお話を伺います。

StubHub は 2000 年以降、チケット取引サイト業界の最前線で革新をリードし続けています。当社が業界で初めて導入した技術には、チケット販売アプリケーションをはじめ、インタラクティブな座席マップ生成、360 度の座席仮想ビュー、画期的な価格おすすめテクノロジー、チケット最適価格の自動判定アルゴリズムなどがあり、今ではこれらはすべて業界標準となっています。

チケット取引サイトは、単なるチケット販売流通システムではありません。購入者と販売者が、信頼性の高い便利な環境の中で安全につながれるようにお手伝いをするビジネスです。年に数百万人におよぶ利用者にサービスを提供するビジネスにおいて、データは単なる改善要因ではありません。新たな可能性を見出したり、個々のユーザーに適したエクスペリエンスを提供したりするなど、ビジネスを推進させるために欠かすことのできない原動力となります。

Stubhub では、アプリケーションをすべてクラウドに移行するための取り組みを進めており、最終的にはデータセンターの廃止を目指しています。こうした取り組みの中で、特に移行が困難だったのは、e コマース プラットフォームを支える Oracle データベースです。当社では、Oracle に大きく依存するアプリケーション群を Google Cloud に移行する作業を進めていましたが、Oracle データベース自体を移行する簡単な方法を見つけられずにいました。オンプレミスの Oracle と、クラウド上の大規模なアプリケーション レイヤーという組み合わせによって、レイテンシの問題が生じていたほか、両環境間のデータ同期作業に人的なリソースを要していました。パフォーマンスの要件を満たすためには、すべてのデータをアプリケーションと物理的に同じ場所(または近く)に配置する必要があったのです。

それに加えて、当社で使用していた Oracle データベースはレガシーの塊で、まだ Solaris 上で動作していました。そのような環境では、パフォーマンス上の問題があるだけでなく、最新のサービスやメンテナンスを受けるのは困難です。定期アップグレードの際は、壮大な連携が必要となり、ダウンタイムやユーザーへの影響を最小に抑えるどころではありません。そうした状況の中で当社が目指したのは、この循環を断ち切ること、Oracle のようなレガシー テクノロジーへの依存を減らすこと、パフォーマンスの要件を満たすこと、そして、最終的にデータセンターを廃止することです。

Google Cloud に移行し、Bare Metal Solution を採用したことは、未来に向けて大きな一歩を踏み出すきっかけとなりました。

Bare Metal Solution: 脱 Oracle への架け橋

当社が最終的に選んだのは、Google Cloud のBare Metal Solution(BMS)です。パフォーマンスを犠牲にすることなく、Oracle データベースを使い続けられるという点が決め手となりました。ワークロードをそのままクラウドにすばやく移行できるので、レイテンシの問題が解消されるだけでなく、オンプレミス環境を完全に取り除くという目標を達成するための近道にもなります。BMS なら、すでに利用していたその他の Google Cloud サービスとシームレスに統合することもできます。

当社が重視していたのは、クラウドへの移行だけでなく、ビジネスの基盤をモダナイズすることです。今後 1 年間で、データセンターは完全に廃止できる見込みです。データセンターを廃止したあかつきには、Oracle データベースをクラウドネイティブの Spanner へとモダナイズし、そのすぐれたスケーラビリティ、強整合性、高可用性を活用したいと考えています。

Google Bare Metal Solution は、Oracle データベースから完全に脱するための架け橋となります。残りのプラットフォームをすべてクラウドに移行する自由が得られ、モダナイゼーションを加速化できます。具体的には Cloud Spanner 上でのワークロードのモダナイゼーションを計画していますが、Bare Metal Solution はそのための足掛かりとなってくれます。

Oracle を Google Cloud の Bare Metal Solution で実行するようになった初期の成果

Bare Metal Solution への Oracle の移行を開始した後に見られた初期の成果は、前途有望といえるものでした。オンプレミスの Solaris システムと、新しく構成した BMS サーバーを比較するパフォーマンス テストを行ったところ、パフォーマンスがすでに改善していることを確認できました。費用についても、環境の統合とハードウェア サポートの削減によって、全体的な運用費が削減する見込みであるほか、ライセンス費用はすでに減少しています。

少ない設備で多くのことをできるようになったことにより、費用の一部が直ちに削減されました。高性能、高速、低コストという特長を兼ね備えた Intel Cascade Lake プロセッサのおかげで、小規模のハードウェア設備で Oracle を実行できるようになり、Oracle データベースのライセンス費用総額が減少したのです。

なによりも最大のメリットは、BMS を採用し、Oracle のようなレガシー ベンダーへの依存を減らしたことにより、ビジネスを主体的に展開できるようになった、という点です。クラウドネイティブな組織へと生まれ変わるにつれて、自分たちの進む方向性について主導権を握れるようになりました。

StubhubGoogle Cloud への Oracle の移行について詳しくお読みください。

- Stubhub CTO、Austin Sheppard

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