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データベース

AlloyDB が Apex FinTech のマージン計算を 50% 高速化

2024年3月22日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2024 年 3 月 14 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

編集者注: Apex FinTech Solutions Inc.(「Apex」)は、スムーズなプラットフォーム エクスペリエンス、API、サービスのエコシステムを通して、最新の投資および資産の管理ツールを実現しています。Apex Fintech Solutions Inc. は、全額出資子会社である Apex Clearing Corporation が提供するクリアリングおよびカストディ サービスの一環として、取引と投資分野のフィンテックの顧客企業向けに、よりタイムリーかつ正確なマージン計算サービスを提供したいと考えていました。同社は従来オンプレミスで行われていた処理を AlloyDB for PostgreSQL に移行し、顧客と投資家がリアルタイムで意思決定を行えるようにしました。


とりわけ投資家にとって、まさに「時は金なり」です。取引と投資の分野において、フィンテック企業は、投資家が求めるさらに迅速で安全かつ直感的なエクスペリエンスの実現を主導しています。

しかしながら、テクノロジーへの精通度を増していくお客様に応じたソリューションを開発しようとすると、コンピューティング リソースへの負担が増す可能性があります。そのため、多くの企業が Apex FinTech Solutions に注目しています。当社の API とプラットフォームのモジュラー エコシステムには、取引所とマーケット メーカー向けのルーティングを提供するソリューションが含まれます。マージン計算のワークロードで最高水準のスピードとパフォーマンスを確保できるよう、データベースとして AlloyDB for PostgreSQL を選びました。

成功のためのプロセス見直し

最近、Apex の経営陣は、オンプレミスの処理を SaaS ペースのサービスに移行する取り組みを進めています。そして仲介業者にとって非常に重要なサービスである、マージンの計算方法を改善する機会を見出しました。マージンとは、投資家が投資商品を購入するために仲介業者から借り受けた資本であり、投資の価額と融資額の差額を示します。オープン ポジションを維持するには十分なエクイティ(自己資本)が要求されるため、投資家は常にマージンの要件をモニタリングして把握する必要があります。必要なエクイティの金額は、ポートフォリオの構成や最適化、値動き、基盤となる市場ボラティリティなどによって上下します。また、任意のタイミングにおいてトレーディング会社が特定のマージンの負担に割り当てられる資本金額は固定されており、これがオープン ポジションを維持するための要件と必要なエクイティに影響を与える点を理解することが重要です。

以前の当社システムでは、Microsoft SQL Server をバックエンドとする Java アプリケーションを使用してマージン計算をバッチ処理で行い、1 日の始まりに顧客と投資家に購買力の情報を提供していました。社内データセンターにおいてデータベースのエクスポート ファイル経由で処理を実行し、分割したものを複数のワーカーノードに分配して、ミニバッチでマージン計算を行っていました。

Apex のデジタル トランスフォーメーションとクラウド移行の一環として、お客様が即時にリスクを判断できるように、API からリアルタイムのデータを取得してオンデマンドでマージン計算を実行する必要がありました。この機能が Apex とお客様に戦略上の優位性をもたらすことを、当社は認識していました。

AlloyDB - 納得のいくソリューション

AlloyDB は、オープン性とスケーラビリティを提供するフルマネージドの PostgreSQL 互換データベース ソリューションです。厳しく規制された金融機関である当社にとって、全体のシステム可用性とパフォーマンスは重要な考慮事項です。AlloyDB は、当社の高可用性(HA)と障害復旧(DR)の要件をすでに満たしていることがわかっていたので、すぐに採用しました。

今では、新しいマイクロサービス アーキテクチャと AlloyDB を組み合わせることで、データベースに保存されているリアルタイムのアカウント データに対し直接クエリを実行できるようになりました。使用している機能は、AlloyDB リードレプリカGoogle Kubernetes Engine(GKE)クラスタ オートスケーラーPub/Sub イベントバス、AlloyDB カラム型エンジンなどです。アーキテクチャの最も重要な部分は、AlloyDB プライマリ インスタンスと AlloyDB リード レプリカの間の読み取りオペレーションと書き込みオペレーションを分離する能力です。この機能により、トランザクション クエリと分析クエリを分離する柔軟性が提供され、パフォーマンスとスケーラビリティが向上します。

AlloyDB はデータの保存に分散型の共有ストレージ システムを使用するため、データがプライマリ インスタンスからコピーされるのを待たずにオンデマンドでリード レプリカをスピンアップできます。ワークロードが完了したら、レプリカをスケールダウンして費用を最小限に抑えられます。

さらに、マージン計算はデータベース側から見れば分析クエリであるため、AlloyDB カラム型エンジンを有効化しました。コラム型エンジンによりデータベース上の CPU 負荷が全体的に軽減され、リード レプリカの数を最小化して費用を削減できました。Pub/Sub キューのメッセージ数に基づいて自動スケーリングするよう構成された GKE クラスタのおかげで、リソースが動的にスケールアップし、ワークロード全体をより効率的かつ並列に、迅速に処理できます。処理が完了すれば自動でスケールダウンします。

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図 1: Google Cloud を使用した最新のマージン計算のアーキテクチャ図

優れた計算力: 処理時間を 50% 削減

この新しい柔軟なアーキテクチャは Apex のお客様に、Apigee API を通じてオンデマンドで 1 つのアカウントのマージン計算を行うか、すべてのアカウントのバッチジョブを夜間に包括的に行うかの選択肢を提供します。当社にとっては、既存のサービスを拡張して、お客様の価値を高める機会となります。

AlloyDB ベースのソリューションは、処理時間の 50% 削減を達成し、1 分間あたり 100,000 件のアカウントのマージン計算を可能にしました1。これは効率とスケーラビリティの大幅な改善です。AlloyDB の柔軟性とスピードを活用すれば、さらなる調整を加えて結果を向上させられる見込みです。

Google Cloud と提携して当社のスケーラブルなアーキテクチャで AlloyDB を使用し、データの移動やコピーをすることなくバッチやリアルタイムのマージン計算を行えることを嬉しく思います。現在、当社では従来の PostgreSQL インスタンスのさらなる移行を検討しており、引き続き Apex のため、そして金融サービスの未来のためのディスラプションとイノベーションを促進していきます。

使ってみる

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1. 50% の処理時間削減は、Google のデータベースとサービスを使用して実施された 2023 年 11 月の内部テストおよびベンチマークに基づきます。
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Apex Fintech Solutions は、すべての人にシームレスなアクセス、スムーズな投資、投資家教育を提供する大手フィンテック企業です。Apex のスケーラブルなソリューションのオムニスイートは、今日の何百社ものマーケット リーダー、チャレンジャー、チェンジ メーカー、ビジョナリーの革新と進化を促進しています。同社のデジタル エコシステムは、すばらしい構想を持つ顧客が世界を変えるための環境を作り出します。Apex はパートナー企業が Apex Clearing™、Apex Advisor Solutions™、Apex Silver™、Apex CODA Markets™ の各ブランドを通して、カスタムメイドのソリューションにより業界の最前線で成功できるよう取り組んでいます。
Apex Clearing Corporation は Apex Fintech Solutions Inc. の全額出資子会社です。米国証券取引委員会(SEC)登録済みのブローカー ディーラーであり、FINRA および SIPC に加盟し、53 の州および領土において認可を受けています。本記事で参照した有価証券の商品とサービスは、Apex Clearing Corporation により提供されています。Apex Clearing Corporation の FINRA BrokerCheck レポートは、http://www.finra.org/brokercheck でご確認いただけます。
本記事は、有価証券の売買を推奨するものでは一切ありません。本記事に記載されている情報は信頼できるソースから取得するよう最大限取り組んでいますが、Apex はいかなる誤りまたは遺漏、または情報の使用から得た結果について一切の責任を負いません。本記事のすべての情報は「現状有姿」で提供されるもので、完全性、正確さ、適時性、この情報の使用から得た結果は保証されません。明示的、黙示的を問わず、パフォーマンスの保証、商品性および特定の目的への適合性を含めた、いかなる種類の保証もありません。いかなる場合であっても、Apex は本記事の読者または他のいかなる人に対しても、本記事の情報を信頼して行ったまたは下したあらゆる決定に関し、また結果的損害、特別損害または類似の損害に関し、そのような損害の可能性が指摘されていた場合を含み、一切の責任を負わないものとします。Apex に書面で許可を得ることなく本情報を配布することは禁止されています。

-Apex FinTech Solutions、テクノロジー担当シニア ディレクター Antro Peter 氏

-Apex Fintech Solutions、シニア ソフトウェア エンジニア Peter Hua 氏

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