Google Earth Engine と BigQuery コネクタによるサステナビリティの向上
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2023 年 8 月 23 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
このたび、Google Earth Engine から BigQuery への表形式データのエクスポートを簡素化する新しい機能が一般提供になったことを発表いたします。
Earth Engine と BigQuery はともに、さまざまなユーザーやアプリケーションが大規模データ処理機能にアクセスして使用できるようにすることを目標としています。Earth Engine は画像(ラスター)の処理に重点を置いているのに対し、BigQuery は大規模な表形式データセットの処理に最適化され、Google Cloud の多くのデータ分析ワークフローにおいて重要な役割を果たしています。この新しいコネクタは、2 つのプラットフォーム間の相互運用性の向上に向けた最初の大きな一歩であり、両方のサービスを使用するワークフローの使いやすさを向上させ、ラスターデータと表形式データを組み合わせた新しい分析を可能にします。
コネクタを使用して作物のサステナビリティを改善
Google Cloud Ready - Sustainability 認定を受けた Google パートナーである Woza は、Earth Engine と BigQuery を使用して次世代の地理空間インテリジェンス テクノロジーを開発し、気候変動、地理的リスク、サステナビリティといった地球規模の課題に取り組む政府や企業を支援するスタートアップです。新しいコネクタを利用することで、Woza は新しくより複雑な変数を作物とサプライ チェーンのサステナビリティ ソリューションに統合できます。
Woza が提供するサステナビリティに関する実用的な分析情報とソリューションは、サプライ チェーン内で最も環境に配慮したサプライヤーと参加者を(特定の農場に至るまで)特定することで、サプライ チェーンの最適化を目指す日用品(CPG)企業にとって有益なものです。技術的なインフラストラクチャを必要とせずにクラウドベースの情報にアクセスできるため、中小規模の生産者は非常にアクセスしやすい方法でプロセスを即座に検証でき、EU や米国などのより厳しい市場に参入する可能性が開かれます。
農業技術企業 Sima は、CPG 企業が圃場をモニタリングし、データの位置情報を特定し、情報を分析し、散布指示を生成することを可能にするインテリジェント農業ソリューションを開発しました。同社はこのソリューションを構築するために、サステナビリティの検証を実施し、現場の生産性をサポートし改善することを可能にする Woza のイノベーションを採用しています。
Sima のソリューションでは、グリッドを使用して情報が表示されるため、サプライ チェーン内の財務と経営の関係者は、サステナビリティのガイドラインを満たす潜在的な耕作地域をより適切に特定できる一方で、サステナビリティの基準を満たさない地域を特定して不適格とすることもできます。Earth Engine と BigQuery によるこのような集約された地理空間分析により、広大な地域のリソースの最適化が可能になります。これは、手作業による現場の耕作地ごとの分析では実現不可能です。
「BigQuery と Google Earth Engine の最近の融合は、最先端の地理空間アーキテクチャの新たな可能性を開く鍵を握っています」と Woza の CEO である Sebastian Priolo 氏は述べています。「このインテグレーションは、衛星画像を表形式データに変換する道を開き、地理空間データ処理の裾野を広げています。2 つのサービスがダイナミックに連携するため、高性能でスケーラブルなアプリケーションを作成することがこれまでになく簡単になります。」
「このコネクタは、地理空間データ サイエンス チームの従来のワークフローに革命をもたらし、貴重な分析情報を生み出すデータへのシームレスなアクセスを可能にします。以前は、地理空間データセットを処理する場合、クラウド ストレージへのデータのダウンロードや、特徴選択、変換、抽出用の分析データベースへのアップロードといった面倒な作業が必須でした。現在は、このコネクタにより、データの可用性が最適化され、納期が最大 5 分の 1 に短縮されたことで、真に付加価値のあるタスクのみに集中できるようになりました。」
コネクタの詳細
Earth Engine から BigQuery にデータをエクスポートするプロセスについては、こちらの詳細なガイドをご覧ください。このガイドでは、Google の地理空間ツールを使用して、冠水した道路を特定する実際の例を作成します。
この機能について詳しくは、Google Cloud Next ‘23 のセッション「Saving the world with geospatial data: Sustainability analytics on Google Cloud(地理空間データで世界を救う: Google Cloud 上でのサステナビリティ分析」にご参加ください。このセッションでは、世界中のサステナビリティに関する取り組みに変革をもたらす影響を与えているお客様のユースケースをご紹介します。