BigQuery データ クリーンルームでプライバシーを保護するデータ共有機能の一般提供を開始
Nikhil Gaekwad
Product Management Lead
※この投稿は米国時間 2024 年 4 月 6 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
データのコラボレーションと外部データソースの利用の増加により、プライバシーとコンプライアンスの堅牢な施策の必要性が高まっています。このように絶えず進化を続けるデータ エコシステムにおいて、企業は信頼性の低い環境でのデータ共有を可能にするクリーンルームに注目しています。クリーンルームでは機密データのアセットを安全に分析できるため、組織はプライバシーを損なわずに分析情報を獲得できます。
このようなデータ コラボレーションを促進するため、昨年データ クリーンルームのプレビュー版をリリースしました。このたび、BigQuery データ クリーンルームの一般提供が開始されました。
BigQuery でサポートされているため、お客様は分析ルールを使用してデータを動かさずに共有し、基盤となるデータを保護できます。このリリースには、Google Cloud コンソールで利用できるデータ提供者とサブスクライバー向けの機能のほか、次のようなご要望の多い機能が含まれています。
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結合の制限: データ クリーンルームで共有するデータの特定の列に対する結合の制限。意図しない、不正なデータの接続を防止します。
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差分プライバシーの分析ルール: 共有データへのすべてのクエリにおいて、指定したパラメータで差分プライバシーを必ず実施します。プライバシー バジェットを指定することで、バジェットを使い果たした場合にそのデータへのクエリを制限することもできます。
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リスト重複分析ルール: 出力を限定して、クエリで結合された 2 つ以上のビューで交差する行のみを表示します。
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ビューに使用状況の指標を表示: データ所有者または提供者はデータ クリーンルームで共有されるビューとテーブルに指標の集計値を表示します。


BigQuery のデータ クリーンルームの使用には、機密データをコピーしたり移動したりする必要はありません。データは BigQuery プロジェクトから直接共有され、完全に制御できる状態が維持されます。共有データを更新すると、リアルタイムでデータ クリーンルームに反映され、皆が最新のデータで作業できます。
BigQuery のクリーンルームの作成とデプロイ
BigQuery データ クリーンルームは、すべての BigQuery リージョンで使用できます。Google Cloud コンソールまたは API を使用してデータ クリーンルーム環境を構築できます。このとき、権限を設定し、データ提供者またはサブスクライバーとなる組織内外のコラボレーターを招待します。


分析ルールを適用して基盤となるデータを保護
データ クリーンルームでデータを共有するときは、分析ルールを構成して基盤となるデータを保護し、データの分析方法を決定できます。BigQuery データ クリーンルームは、集計、差分プライバシー、重複リスト、結合の制限など、複数の分析ルールをサポートしています。Cloud コンソールの新しいユーザー エクスペリエンスにより、データ提供者はこれらのルールを SQL を使用しないで構成できます。


最後に、デフォルトでは、データ クリーンルームは下り(外向き)の制限により、サブスクライバーが基盤となるデータのエクスポートやコピーはできません。ただし、データ提供者は、有効活用のような特定のユースケース向けに、クエリの結果のエクスポートやコピーを許可できます。
データ使用量のモニタリングと制御
データオーナーは常にデータ クリーンルームの各データを制御します。いつでも、データ提供者はデータへのアクセス権を取り消すことができます。さらに、データ クリーンルームのオーナーは、サブスクリプションの管理やプライバシー バジェットを使用してアクセス権を調整し、サブスクライバーによる詳細な分析を防止します。また、データ提供者は、集計されたログと指標を受け取り、データ クリーンルーム内でデータがどのように使用されるかについてのインサイトを得ます。これにより透明性が高まり、共同作業についての理解を深めることができます。
BigQuery データ クリーンルームのお客様の声
あらゆる業界のお客様がすでに BigQuery データ クリーンルームによって目覚ましい成果を上げています。先行ユーザーやパートナーから寄せられた声の一部をご紹介します。
「BigQuery データ クリーンルームのおかげで、効果的なデータをパートナーと共有して収益を確保しつつ、お客様のデータと戦略的なデータの保護を維持できるようになりました。」 - Carrefour、グループデータ アーキテクト、Guillaume Blaquiere 氏
「BigQuery のデータ クリーンルームが原動力となり、L'Oréal はデータを安全かつ持続可能な形でパートナーと共有し、使用して、管理することができるようになりました。」 - L’Oréal、エンタープライズ データ アーキテクト、Antoine Castex 氏
「BigQuery データ クリーンルームは、プライバシーを重視したデータのコラボレーションを推進し、増加傾向にあるシグナル損失に対応する高度な分析を可能にする高度なツールをマーケティング チームに提供します。LiveRamp と Habu はそれぞれ早い段階から BigQuery データ クリーンルームのパートナーでしたが、この基盤上に相互運用可能なソリューションを構築することになりました。Habu が提供する高度なアプリケーション レイヤは、技術者やビジネス ユーザーに迅速に価値を提供し、Google Cloud の RampID が備えるクラウドネイティブな ID により、すべての共同編集者に対してデータの忠実度とエコシステムの接続を最大化します。BigQuery データ クリーンルームにより、企業は行動につながるデータドリブンな分析情報を活用して、より戦略的な意思決定をできるようになります。」 - LiveRamp、エンジニアリング担当バイスプレジデント、Roopak Gupta 氏
「現在のマーケティングを取り巻く状況は、リソースが制限され、エコシステムが断片化されており、Google Cloud を使用して現在構築中のデータ クリーンルームのようなソリューションがクライアントのわずらわしさを削減するのに役立ちます。このコラボレーションに適したデータ クリーンルームでは、プライバシーとセキュリティを確保しつつ、Stagwell の独自データを統合して、Stagwell Marketing Cloud のプロダクトとサービスでカスタム オーディエンスを作成できます。Google Cloud との継続的なパートナーシップにより、クライアントに統合された Media Studio ソリューションを提供し、関連性が高いオーディエンスを持つブランド間を結び付けることで、カスタマー ジャーニーを向上し、メディア費用に対する効果をより多く引き出すことができます」 - Stagwell Marketing Cloud、最高技術責任者、Mansoor Basha 氏
「BigQuery データ クリーンルームが一般提供されることを非常に嬉しく思います。この取り組みで Google Cloud との連携は有意義だったので、市場に提供されるのは素晴らしいことです。このリリースにより、メディアや広告業界で本番環境グレードの安全なデータ コラボレーションが可能になり、相互運用可能な計画立案、有効活用、測定のユースケースが実現します。」 - Optable、最高製品責任者、Bosko Milekic 氏
次のステップ
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