2025 年度 Gartner® Magic Quadrant for Cloud Database Management Systems で Google がリーダーに
Andi Gutmans
VP/GM, Data Cloud, Google Cloud
Yasmeen Ahmad
Managing Director, Data Cloud, Google Cloud
※この投稿は米国時間 2025 年 11 月 22 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
Google は 2025 年 Gartner Magic Quadrant で 6 年連続となるクラウド データベース管理システム部門のリーダーに選出され、3 年連続で「ビジョン」の最高位を獲得しました。
今、世界はエージェント AI の時代に突入しています。大手企業は、ビジネスの中核機能を自動化するためにエージェントをデプロイする初期段階にあります。AI の原動力となる中心的な要素はデータです。Gartner によるこの評価(特に「ビジョンの完全性」における位置付け)は、企業データの未来はオープンな統合にあり、AI レイヤと切り離せないという Google の長年の信念の正しさの証であると私たちは考えています。これは、Google が「AI ネイティブ データクラウド」と呼んでいるものの青写真です。
AI ネイティブ データクラウドは、エージェント時代の複雑さと隠れたコストを解消するためにゼロから設計された唯一のアーキテクチャです。今日エージェントの力を活用する方法を学んだ企業が、明日の勝者となるでしょう。


エージェント企業のためのデータと AI の基盤
組織が AI を活用できるかどうかは、企業のデータ戦略にかかっています。エージェントは、ペタバイト単位の豊富な履歴データに対応できる分析プラットフォームと、リアルタイムでアクションを実行できる高パフォーマンスのトランザクション データベースを結合した新しいデータ基盤を必要とします。信頼できる出力をエージェントが生成するには、統制された企業データによる強固な裏付けが必要なのです。サイロ化し、断片化したデータスタックでは、こうした機能を提供するのは困難です。
Google のデータクラウドは、分析エンジンとしての BigQuery、業務処理用の Spanner や AlloyDB といったデータベース、ビジネス インテリジェンス用の Looker、データの管理とガバナンス用の Dataplex Universal Catalog の統合によって支えられています。また、業務システム、分析システム、AI システムが 1 つのネイティブ ファブリックとして共同で処理を行うという単一の統合されたビジョンに基づいて設計されています。プラットフォームのすべてのレイヤに AI が組み込まれているため、データ ライフサイクル全体にわたってタスクが自動化されます。ビジネスのコンテキストと企業データに基づいた信頼できるインテリジェンスが大量に提供されます。このアクティブな基盤は、リアルタイムのインテリジェンスを使用して継続的に状況に対応し、次世代のインテリジェント アプリケーションとエージェント エクスペリエンスを構築するチームの取り組みを支援するとともに、複雑さを最小限に抑えます。
以下では、統合された AI ネイティブ データクラウドで業務を遂行することで企業が実現できる 3 つのメリットと、エージェント時代に成功を収めるのに役立つ Google の最新のイノベーションをご紹介します。
自律型の設計で製品化までの時間を短縮
組織がエージェント時代に迅速に対応するには、データと AI 主導アクションが分離された手動プロセスを排除する必要があります。Google が提供する AI ネイティブ データクラウドは、AI の力を直接データに取り込み、自律型のエージェント システムを強化します。BigQuery で Gemini を使用して処理されるデータ量が 27 倍に増加していることからわかるように、お客様が AI 主導ワークフローに移行する傾向が強まっている現在、AI ネイティブ データクラウドの選択は時宜にかなったものと言えます。
Google は、一群の専門エージェントをプラットフォームに直接組み込むことで、このビジョンを実現しており、データ サイエンティストやエンジニアからビジネス アナリストまで、あらゆる種類のデータユーザー向けに自律型の専門データ エージェントをご用意しています。たとえば、複雑なパイプラインを自動化するデータ エンジニアリング エージェント、手動セットアップなしで ML モデリングを実行するデータ サイエンス エージェント、組織内のあらゆるユーザーと自然言語で対話して回答を提供する会話型分析エージェントなどがあります。これらのエージェントが形成する協調型 AI エージェント ネットワークにより、エンドツーエンドのデータ ワークフローを強化できます。
デベロッパーは、新しい Data Agents API や Agent Development Kit(ADK)など、特定のビジネス プロセスに合わせてエージェントを構築するのに必要なツールも利用できます。データチームは、Gemini CLI 拡張機能を使用して、自然言語で複雑な分析を行うことができます。また、ADK を使って構築された BigQuery の Agent Analytics を使用して、エージェントのパフォーマンス、ユーザー インタラクション、関連費用を収集、分析、視覚化できます。
これらの機能により、ビジネスの成果が実現されます。Lowe's は、Google のデータクラウドに AI ファースト戦略を実装し、見た目の好みを重視する買い物客向けに e コマースサイトとモバイルアプリの商品検索を改善しました。お客様が見た目の似ている商品を見つけられるようになったことで、ホーム デコレーション商品の年間収益が 1,500 万ドル以上増加し、販売促進コンバージョン率も向上しました。
単一の統制された基盤で運用コストを管理
データの断片化は AI コストの増加につながる可能性があります。Google のデータクラウドは、すべての運用ワークロードと分析ワークロードを接続する統合プラットフォームであり、AI モデルと AI エージェントを構築するためのプラットフォームである Vertex AI と簡単に統合できます。したがって、冗長なデータの移動と保管が最小限に抑えられ、より効率的な経済モデルが形成されます。実際、Google の分析によると、データと AI のワークロードを別々の分離されたシステムで実行するよりも、単一の BigQuery と Vertex AI プラットフォームで実行する方が費用対効果が 8~16 倍高くなります。
エージェント時代においては、信頼とコンプライアンスが最も重要です。データと AI が分離されていると、データ漏洩、エージェントのハルシネーション、結果のバイアス、規制違反といった重大なガバナンス リスクが生じる可能性があります。効率的なガバナンスは、エージェントの完全性を確保するのに役立ちます。それと同時に、プラットフォームのガバナンスおよびナレッジ エンジンは、クラウド資産全体でアクティブな AI カタログを作成し、データ環境を深く理解できるようにします。このカタログを使用することで、AI エージェントは従来の方法より 50% 以上高い精度で、使用に適したデータセットを特定できます。これによりエラーが減少し、信頼性が向上します。
Google は、この基盤を強化する新機能を継続的に提供しています。AI ではコンテキストが重要ですが、テキスト、動画、画像などのマルチモーダル データでエージェントをトレーニングする際には、コンテキストの提供が困難になる場合があります。そこで、Google は BigQuery 内で幅広い AI 機能を統合しました。ML モデルの構築、生成 AI による大量の非構造化データの処理、ベクトル エンベディングとハイブリッド検索を使用した検索拡張生成(RAG)アプリケーションの構築など、さまざまなことをデータが存在する場所で直接実行できます。一方、Spanner のベクトル検索は、複雑なマルチモーダル クエリを結合します。これにより、チームは全文検索、グラフ、ベクトル ワークロードを単一のシステムに一元化できます。
同時に、リアルタイムの金融取引に依存するアプリケーションや、グローバルな在庫更新を行うアプリケーションといったミッション クリティカルな自律型アプリケーションは、実績のあるデータベース上で構築する必要があります。Spanner の新しいカラム型エンジンは、トランザクション処理と分析処理を統合し、ライブ運用データに対する分析クエリの実行を最大 200 倍高速化します。
Google(Spanner)は、2025 年度 Gartner Critical Capabilities for Operational Cloud DBMS レポートにおいて、すべてのユースケースで 3 位以内にランクインし、「軽量トランザクション」では 1 位を獲得しました。また、Google(BigQuery)は、2025 年度 Gartner Critical Capabilities for Analytical Cloud DBMS レポートにおいて、「イベント分析」ユースケースで 1 位にランキングされました。これは、高パフォーマンスの自律型システムに必要なリアルタイム データ処理を提供する Google の能力が認められた証であると私たちは考えています。
統制された統合基盤の戦略的優位性は、Banco BV のモダナイゼーションの取り組みに見て取ることができます。同社は、ガバナンスの強化、データ インフラストラクチャのスケーリング、増大する顧客需要への対応を目的として、セキュリティを厳格に管理しながら、Databricks から Google Cloud への移行を行いました。同社は、移行、データ管理の一元化、AI モデルのテスト時間の短縮により、ビジネスの成果を 100% 向上させることを目指しています。
オープン プラットフォームでアーキテクチャの将来を保証
長期的な実現可能性を確保し、ベンダー ロックインを回避するには、オープン標準に基礎を置く AI 投資が必要です。オープン プラットフォームは、データ エコシステムをモダナイズし、あらゆるクラウド環境でデータを処理できる AI 搭載システムを構築するための柔軟性をチームにもたらします。このアプローチを取れば、データレイクの柔軟性とデータ ウェアハウスのパフォーマンスの間で妥協点を探る必要がなくなります。
Google は、スピード、セキュリティ、柔軟性を優先することで、オープン プラットフォームによるイノベーションの実現をお約束します。AlloyDB は、セルフマネージド PostgreSQL と比較して、トランザクション ワークロードの処理速度は 4 倍以上、コスト パフォーマンスは最大 2 倍です。さらに、AlloyDB Omni によりどこでも実行できるため、マルチクラウド環境とハイブリッド クラウド環境を実現できます。重要な Spark ワークロードについては、一般提供が開始された Lightning Engine for Apache Spark で高いパフォーマンスを実現しています。このエンジンは、オープンソースの Spark と比較して Spark のパフォーマンスを 4 倍以上向上させます。また、クエリ実行は Databricks Photon より 10% 高速です。
さらに、Google はお客様のデータ資産の将来を保証するため、BigLake(オープンデータを統合するファブリックとして機能する管理レイヤ)を通して、すべてのデータのアクセス可能性と相互運用性を維持します。最近一般提供が開始された Apache Iceberg REST Catalog を含むオープン フォーマットのサポートにより、お客様はデータのアクセス可能性を維持して将来のニーズに備えることができます。
オープン イノベーションに対する Google のコミットメントは、Deutsche Telekom の事例に示されています。同社は、ドイツの厳格なデータ主権規制に対応するため、40 を超えるレガシー データシステムを Google Cloud 上の「One Data Ecosystem」にモダナイズしました。さらに、Sovereign Cloud と Apache Iceberg をコア オープン プラットフォームとして使用することで、規制要件を満たす統合アーキテクチャを構築しました。このアーキテクチャは、信頼できる唯一の情報源を BigQuery や Spanner などのサービス全体で提供します。これにより、主要なユースケースのパフォーマンスが 22 倍向上しました。
次のステップ
Google の業界での位置付けと、Google がお客様のデータ ジャーニーを高速化するために提案する方法について詳しくは、2025 年 Gartner Magic Quadrant のクラウド データベース管理システム部門のレポート(無料)をダウンロードしてください。
Gartner、「Magic Quadrant for Cloud Database Management Systems」(Henry Cook、Xingyu Gu、Ramke Ramakrishnan、Aaron Rosenbaum、Masud Miraz、2025 年 11 月 18 日)
Gartner、「Critical Capabilities for Cloud Database Management Systems for Operational Use Cases」(Ramke Ramakrishnan、Masud Miraz、Xingyu Gu、Henry Cook、Aaron Rosenbaum、2025 年 11 月 19 日)
Gartner、「Critical Capabilities for Cloud Database Management Systems for Analytical Use Cases」(Aaron Rosenbaum、Ramke Ramakrishnan、Henry Cook、Xingyu Gu、Masud Miraz、2025 年 11 月 19 日)
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上の図は、リサーチ ドキュメントの一部として Gartner, Inc. より公開されているもので、ドキュメント全体の文脈に即して評価する必要があります。この Gartner のドキュメントをご希望の方は、Google までご請求ください。
-Google Cloud、データクラウド担当バイス プレジデント兼ゼネラル マネージャー Andi Gutmans
-Google Cloud、データクラウド担当マネージング ディレクター Yasmeen Ahmad
