BigQuery Connector for SAP でクラウドでのデータ分析戦略を強化
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2022 年 2 月 1 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
Google Cloud は、お客様に変化をもたらすテクノロジーの問題解決に熱意を持って取り組んでいます。BigQuery Connector for SAP のリリースにより、SAP データを BigQuery(Google が提供する、ビジネスの俊敏性向上のために設計された、スケーラビリティと費用対効果に優れたサーバーレスのクラウド データ ウェアハウス)に迅速、簡単、かつ低コストな方法で統合することで、Google は SAP のお客様の抱える大きな課題を解決するための新たな一歩を踏み出しました。
データ統合の簡素化への取り組み
今日のほとんどの企業と同様に、SAP のお客様は増え続けるビジネスデータの中から即時に分析情報や活用機会を見出したいと考えています。しかし、多くのお客様が、クラウドを活用した最新のデータ分析戦略の最初の段階、つまり SAP データをその他のクラウドネイティブやエンタープライズのデータセットとリアルタイムかつ大規模に組み合わせる段階で、その難しさを実感しています。2020 年の SAPInsider の調査によると、調査対象の SAP ユーザーの半数以上が、データ統合が分析の最大の問題点だと回答しています。このように回答した企業は、SAP データを最新のクラウドデータ分析ソリューションと統合するための、迅速かつ持続可能で、費用対効果の高いスケーラブルな方法を早急に必要としています。
BigQuery Connector for SAP は、お客様に 1 つのソリューションを提供します。これは、お客様の既存の SAP Landscape Transformation Replication Server(SLT)ツールとスキルセットを活用して、BigQuery 内で SAP データに完全にアクセスできるようにする、高速かつシンプルで、費用対効果の高い非常にスケーラブルな方法です。追加のインフラストラクチャやサードパーティのミドルウェアを設定する必要がない、BigQuery 用として初めてのほぼリアルタイムの SAP SLT 直接コネクタであり、さまざまな組み込み型またはスタンドアロンのデプロイ オプションを使用してデプロイできます。事実、BigQuery Connector for SAP は、ほとんどの場合 1 時間以内にインストールできます。つまり、実証済みの定量化可能なビジネス上のメリットをお客様に提供する、業界をリードする分析ソリューションを非常に簡単に使い始めることができるということです。さらに、BigQuery Connector for SAP は、SAP アプリケーションを Google Cloud にデプロイしているお客様だけが対象ではありません。オンプレミスまたは任意のクラウドで SAP アプリケーションを実行しているお客様も、このソリューションをデプロイして分析上のメリットを実感できます。
お客様の要件と投資を念頭に置いたソリューションの設計
Google Cloud チームが SAP のお客様向けの分析データ統合ツールの開発に着手した際、まず初めに通常のコストと複雑さの原因を根絶するために設計された一連の要件に取り組みました。その要件とは次のとおりです。
差分をミリ秒単位で複製する、リアルタイム パフォーマンスの必要性
デプロイされている場所(オンプレミス、クラウド、Google Cloud)に関係なく、現在実行されているほぼすべての SAP Netweaver ベースのアプリケーションからのデータを統合する機能
最小限の変換で自動 BigQuery データ型をマッピング
必要に応じて、ソースから直接 BigQuery でターゲット テーブルを作成
データベースへの直接アクセスの問題を回避するアプリケーション レイヤの統合
お客様の既存の SAP スキルセット、変更データ キャプチャ、インフラストラクチャの活用
これらの要件を満たすための重要な契機となったのは、Google の親会社である Alphabet が、SAP と BigQuery 間の直接データ レプリケーションを社内環境向けに開発するための基盤として SAP SLT の活用を決定したことです。SAP の戦略的 Business Technology Platform の一部としての SLT は、SAP またはサードパーティ システムから SAP HANA へのデータのリアルタイム レプリケーションをサポートしますが、BigQuery などのターゲットとの直接統合は制限されていました。
SAP SLT は、次に挙げるような理由からコネクタを開発するための理論的な基盤でした。
SAP の分析データ統合に SLT をすでに活用している可能性が高い SAP のお客様の間で広く採用されている
現在実行されているほぼすべての SaaS SAP 以外のアプリケーション環境で動作する
大規模なリアルタイム レプリケーション パフォーマンスをサポートする
SAP を BigQuery に統合することに即時価値を見出した Alphabet のエンジニアリング チームにとって、これは当然の選択でした。
「BigQuery Connector for SAP は、最も重要な財務およびサプライチェーン データの 500 以上のテーブルに含まれる数十億件のレコードに対して、高速で低レイテンシのデータ レプリケーションを可能にしました。現在では、費用対効果の高い 1 つの BigQuery データレイク内で、この ERP データを他のデータソースと組み合わせることで、これまで不可能だったリアルタイム分析と ML のユースケースを実現しています。これにより、効果的なビジネスや業務、マネジメント、P&L レポートなどをサポートする、より深い戦略的洞察を引き出せます」と、Google のファイナンシャル システム部門シニア エンジニアリング ディレクター Anil Nagalla は述べています。
BigQuery と SAP データの統合が生み出す新しい価値
SAP SLT を活用することで、BigQuery Connector for SAP は、これまでお客様が行ってきた SAP 投資とスキルセットを活用しながら、あらゆる SAP システムからのリアルタイム データ ストリームを統合できます。
同時に、BigQuery Connector for SAP は多くの手間のかかる作業を単独で処理します。たとえば、BigQuery で使用するために SAP データ型を変換する複雑なマルチステップ プロセスを自動的に処理します。具体的には、SAP 環境と BigQuery 環境間でのデータ型の移行をマッピングしたり、変換されたデータ型のターゲット テーブル スキーマを BigQuery に作成したりします。また、BigQuery テーブルをターゲットにして SAP 環境に新しいデータ型が表示されたときの適応も行います。
BigQuery Connector for SAP の自動生成された推奨事項の微調整を希望するチームの場合、コネクタによって追加レベルのカスタマイズと選択が可能になります。しかし、単に仕事を終わらせることや、データ分析チームが価値の高い作業を行うためのサポートを強化することを目的とする場合は、BigQuery Connector for SAP がデータ統合の複雑な作業をいかに迅速かつ簡単に実現できるかということや、大量のデータを処理して役割を果たすパフォーマンスを高く評価していただけるはずです。お客様は、エンタープライズ データセットをリアルタイムで統合することによって差別化された価値を生み出し、競争上の優位性をもたらす新しい分析情報と行動を引き出すことができます。
BigQuery Connector for SAP は、SAP データの転送や変換を可能にして Google Cloud Cortex Framework(SAP のお客様がデータ分析への投資によって価値を迅速かつスムーズに得られるように設計された、リファレンス アーキテクチャ、デプロイ アクセラレータ、統合サービスの包括的なセット)のようなアクセラレータによって実現される分析ソリューションを強化するための有効化ツールとして非常に優れています。簡単に言うと、Google Cloud 内で利用できる SAP データを増やすほど、これらのソリューションから意味のある、多くの場合ビジネスの状況を大きく変えるような分析情報を得るのが容易になります。
BigQuery Connector for SAP についてもっと知る
Google Cloud で独自の SAP データ分析戦略を開始する準備はできましたか?Google Cloud BigQuery Connector for SAP をインストールして、企業のデータ分析戦略を強化するための、より速く、よりシンプルで、より持続可能な方法を確認してください。
- Google Cloud、プロダクト エンジニアリング リード Sujan Gade